この世界にある青年がやってきた。

「久しぶりだな。まだ帰ってくるとは思わなかった」

海斗と加奈、龍人はマンションに行きインターホンを鳴らすと椿がドアを開けた。

「久しぶりだな、どうしたのかな?」椿は笑顔だった。

「お前」龍人は平然を装う。

「……お前に聞きたい事がある」

「部屋に入れ」

そして椿は3人を部屋に入れ話を聞く。

「お前に聞きたい。お前は俺の父親と何か関係があると知ったんだが」

龍人が言うと椿は表情を変える。

「悪魔から聞いたか」椿は悟った。

「椿、何があったか俺からも教えてくれ」海斗は頼む。

「断る。話す必要もない」

「そこを何とか教えてくれ。龍人の父親は龍人を捨てて出ていったんだ。だから父親の事を聞けば龍人を捨てて出ていった理由も分かるかもしれない」海斗は頼み込む。

「教える気はない」椿は態度を変えなかった。

「でも」

海斗は更に頼もうとするが加奈が止める。

「…たぶん今日は無理だと思う」

仕方なく海斗達はマンションから出ていく。

「椿は何で龍人のお父さんの事を教えてくれないのかしら」

「何が言えない理由でもあるのか」

「言えない理由って何?」龍人は聞く。

「それは分からない」

龍人は父親との日々を振り返る。

「俺が知りたいのはなぜ俺を捨てたかだ。それを知る事が出来ればもう用はない」龍人に憎しみがこみ上げた。

一方、椿も暗い表情をしていた。

同時にある依頼の準備をしていた。

「父親の事はまだ明日椿の所に行こう」海斗は言う。

「別に俺は父親の事なんてどうでもよい。俺を捨てた親なんだから」

龍人は父親を憎んでいた。

翌日、海斗達は椿に呼ばれて部屋に入る。

胡桃、楽人、湖南、時も一緒だった。

海斗は椿が龍人の父親の話をする気になったと思い期待した。

「お前達を呼んだのは復讐の件についてだ」椿の話に海斗達は警戒する。

すると椿はホワイトボートに指さす。

そこには奈美の名前が書かれていた・

「今回のターゲットは海野奈美。彼女への復讐が今回の依頼だ」

海斗達は驚愕した。

「ふさげるな! 彼女は俺に勇気をくれた人だ。そんな事出来るわけないだろ。それに彼女には大切な恋人がいる。その人を悲しませたくない」海斗は奈美からもらったキーホルダーを握りしめ怒る。

「でもなんで私達を誘うの?」加奈は聞く。

「悪魔が言っていた。水崎海斗は海野奈美と会った事があると」

「知っているならついでに俺の復讐屋の素晴らしさを知ってもらいたいと思い誘ったわけだ」

「やっぱりお前最低だな。時を助けてくれたとき、少しはお前を見直したがでも俺は馬鹿だったし甘すぎた」楽人が椿を見直した事に後悔した。

「それとこれとは別だ」

「椿…もうやめよう」湖南が説得する。

「これは俺の正義であり医療だ。俺は自分の正義を貫くだけだ」

湖南は悲しく感じた。

海斗達は部屋を出ていき自然緑川公園に集まる。

「一体どうすればいいんだ」海斗は頭を抱える。

「分からないけどでも椿は変わらないかもしれない」胡桃は言う。

「でも椿の復讐も他の誰かにとっては正義じゃないのか?」

時の言葉に全員が注目する。

「あいつを一方的に悪党扱いするのも悪い気がして」

「でもそれでもやり方が正しいとは思えない」楽人は否定する。

湖南は思い悩む。

「椿は人を救いたいだけだけどやり方を間違えているだけだと思う」

全員が椿の説得を諦めかけた。

「お前か、海崎海斗というパラレルトラベラーは」

7人が振り向くとそこに氷崎大我がいた。

また大我は泉蓮の仲間の最後の1人であった。

「あなたは…」海斗は驚いた。

「俺もお前と同じパラレルトラベラーだ。一度元の世界に帰還したが奈美への復讐を知って奈美を守るために再びこの世界にやってきた」

「奈美は誰かに復讐をされるような悪い事はしない。それに奈美の事を大事に思っている恋人や仲間がいる。その人達を悲しませないために俺は奈美を守る」

大我の言葉に海斗は心強く感じた。

海斗は大我に椿の状況を話す。

「話は分かった。俺に考えがある」

「考えって何ですか?」。

その頃椿は計画を実行しようとしていた。

それは奈美の出身校である優ヶ丘高校に犯罪者であるという紙を大量に張り付けるという方法だった。

しかし椿の中には何が迷いがあった。

海斗は大我に伝えた。

「椿は確かに復讐屋をやっていてそれを正義であり医療であると言っている。だが根は悪い奴ではないしそれに椿のおかけで危うく死にかけた命を救ってくれた事もあった。だから俺はあいつを悪だと思いたくない」

「そう思うのならそれを信じれば良いだけだ」

そしてその日の夜、椿は優ヶ丘に侵入しそして紙を貼っていく。

さらにスプレーで中傷を書こうとした。

「もうやめよう」

振り返ると海斗達と大我がいた。

「今のは動画で撮影させてもらった。これを警察に届ければお前も捕まるだろう」大我は言う。

「よく分かったな。でもまさかパラレルトラベラーに止められるとはな」椿は驚いていなかった。

「この学校は俺にとっては故郷だ。お前のような騙された奴に汚されてたまるか」大我は言う。

「騙された? どういう事だ」

「天使がお前の事を見ていた。そしてお前がある依頼者と契約を交わしたと聞いている。だがその依頼者は天使によればかつて蓮や奈美がある仲間の恋人を守るために戦った相手だ。お前はただ逆恨みをしているやつと契約をしただけだ」

「あり得ないな。俺がそんなミスをするわけがない」

「天使は万能の力を持っている。それを考えれば不思議じゃない」

大我の言葉に椿も疑問を抱き始めた。

「……そんなはずがない、俺が間違えるだなんて…お前ら…嘘を言っているのか?」

「嘘などつくわけない。もし嘘だと思うのならやれ。だが本当だったらお前はまだ人を傷付ける事になる」

大我に言われ椿は信じ始めた。

そしてかつて医療ミスを犯し患者を死なせてしまった事を思い出しまた人の人生を奪う寸前だった事を考えると心がおかしくなりそうだった。。

「もうやめよう。人を救う方法はまだ他にあるはずだ。それにお前を思っている人だっているじゃないか」海斗は椿を説得する。

椿は湖南の事が頭をよぎる。

自分が復讐屋だと知ってもそれでも自分を思ってくれたのが湖南だった。

椿にとっては湖南は大切な人でありずっと一緒にいたいと思った人でもあった。

それなのに人を傷付けたら湖南は悲しむだけではないかと考えた。

「…やめておこう…」

椿はその場を去っていく。

「悲しいものだな」大我は呟く。

「あいつは一人ぼっちだと思う。やり方は悪いがずっと一人で人を救うために動いていた。

大我が歩き出す。

「どこへ行くんですか?」

「俺はしばらくこの世界で過ごす。もう戻る事はないかもしれないから思う存分この世界で過ごす事にする」大我はそう言い去っていった。