この時期10月、海斗たち達にとって高校生活最後の文化祭が近づいていた。
胡桃と時以外の海斗たちは手芸部からも展示する事に決めていた。海斗と加奈、龍人と楽人、湖南は手芸部の教室にいた。
製作作品は88星座の刺繍を繋げた巨大カーテンだった。「ところで何を作る?」加奈は聞く。
「そうだな…マフラーにしようかな」海斗は答えた。
「マフラーか…なら俺は手袋にでもするか、もうすぐ冬だし」龍人は言う。
「じゃみんな頑張って作ろうね」
湖南は帰ろうとした。
「え? 帰るのか?」楽人は聞く。
「今日は用があってね。でももうすぐ制作も終わるから」
そして湖南は帰っていった。
「湖南、やっぱりしっかりしてるね。もうすぐ終わりだなんて」加奈は関心した。
そして良い作品を作るため海斗は部員ではない胡桃と時にも頼んみ文化祭が終わるまでの間、手芸部で海斗たちに協力する事にしていた。「本当だな。俺達なんて今から作るというのに」
夕方一方、胡桃が帰ろうとしたとき玄関のところに時がいた。
胡桃は時の側に近づく
「何しているの?」
「いや~今からどこに行こうか考えているんだ」
「サボってないで家で作品制作しなさいよ」「幸せだね。ところで受験勉強は?」
「指定校推薦で合格したからもう終わりだよ」
「いいじゃないか。明日は土曜日なんだから」わね。受験が早く終わって」
胡桃と時は笑顔で会話をする話す。
「そういえばもうすぐ文化祭だな」
「気が早いよ。まだ3週間あるよ」
「そういえば受験勉強しているのか?」
「勿論やっているよ。でも今のままじゃ志望大学に行けそうにないけど」
「じゃあ俺は行くぜ」
時は帰ろうとした。
「……待って」胡桃は声をかける。
「どうした?」時は振り返る。
「…やっぱり何でもない」胡桃は寂しく感じた。
「そうか、じゃあな」時は行く。
胡桃は今の状況が虚しく感じた。
そして胡桃が一人帰っていると洋服屋でマフラーを見つける。
「もうすぐ冬か」
ふと胡桃は思いつく。
――時にマフラーをプレゼントしよう。
翌日、胡桃は手芸部の教室に行くと湖南が作業をしていた。
「湖南、一つお願いがあるんだけど」
「何かな?」
「マフラーの作り方を教えてほしいんだけど」
「誰かにあげるの?」湖南は少し微笑む。
「……まぁね」
湖南は察した。
「誰にあげるか知らないけど教えてあげるわ」
そして湖南は胡桃にマフラーの作り方を教える。
「……複雑だね」
「慣れれば出来るわよ」
胡桃は不器用ながらもとりあえず作ってみた。
そして家でも受験勉強の傍らマフラーを編んでいく。
何度も間違え何度も出来るか不安になるがそれでも頑張って作業していく。
湖南も出来る限り胡桃の面倒をみてあげる事とした。
そして文化祭一週間前、海斗と加奈、龍人は帰ろうとした。
「そういえば作品は出来たの?」加奈は聞く。
「俺はもうすぐ終わる」海斗は言う。
「俺はまだかかりそうだ」龍人は呑気だった。
「じゃやらないと」
「でもどうせすぐ終わるだろ」
すると3人は足を止めた。
目の前には天都がいた。
「兄貴…」
「しかしあの復讐屋、今兵庫県にいるのか?」天都は笑顔で言った。
「なぜ分かる?」
「前にお前のパラレルトラベラーを見抜く能力の分を俺がもらったと言っただろ。俺はその能力が倍になった分、日本のどこにパラレルトラベラーがいるかを見抜く事出来るようになったからな」
海斗は天都の側による。
「兄貴、こんな事してもただ悲しみが生まれるだけじゃないか。悲劇をなくすために悲しみを作っていいわけがない」
しかし天都は態度を変えなかった。
「何で兄貴はここまで冷酷になってしまったんだよ」海斗は悲しかった。
「光島での出来事を思い出すと俺は毎回思う事がある。人間は悪魔だと。理由があるとはいえ罪のない家族を奴らは傷付けているのに自分達の行き過ぎた正義を悪だと気付いていない」天都は涼しげな表情で主張する。
「あなたも変わらないでしょう」加奈が言う。
「言ってくれるね」天都は思わず加奈を見る。
「その人達はそれを正義だと信じてやっているならあなただって人を傷付ける事を正義だと思ってやっているじゃない」加奈は天都を見つめる。
天都は刀を向ける。
龍人は加奈の前に立つ。
「…冗談さ」
そして天都は消えた。
「中々面白いな」
振り返ると悪魔が現れた。
「お前…」海斗は前と同じように警戒する。
「電龍人、お前に一つ良いものを見せてやる」
悪魔は手から光線を出すと立体映像が現れた。
海斗達はそれを見て驚愕した。
そこに映っていたのは龍人の父親の眠る姿だった。
「これは…」
さらにモニターに映ったのは椿だった。
「椿!」加奈は驚く。
「一体これは…」海斗は混乱した。
そして考えた。
父親と椿には何が関係があると。
数日後、胡桃はマフラーを完成させた。
――後は時に渡すだけだ。
放課後、胡桃が帰ろうとした時、そこに時がやって来た。
「時」胡桃は声をかけた。
「胡桃」
「時、渡したいものがあるんだけど」
胡桃はバックを探すがマフラーがなかった。
――しまった…忘れた
――何でいつも忘れ物しないのにこんなときに忘れちゃったの。
胡桃はショックを受ける。
「どうした?」
「家に忘れちゃった。明日持ってくる」
「そうか…胡桃、一緒に帰ろう」時は誘う
「え?」胡桃は一瞬ドキッとなる。
「いいよ」胡桃は笑顔になる。
そして2人は一緒に帰る。
胡桃は緊張していた。
「もうすぐ文化祭だな」時が言う。
「そうだね…龍人ギリギリまでやってる」
「夏休みの宿題みたいだな」
すると2人の前に天都が現れる。
「あなた…」胡桃は怒りがこみ上げる。
「安心しろ。お前を斬ったりはしない」
天都はそう言うものの胡桃は警戒する。
「でもお前達2人は入学して当初、悪事を働いていたようだな」
「確かに俺は力に溺れて人を傷付けた。でも今は違う。俺は自分の過ちに気付いて罪滅ぼしをしている」
「そのようには見えないな。前回はお前は卓三を庇って斬られたが生還した。しかし今回はお前の悪のために切る。2人まとめてな」
天都は刀を握る。
「俺は傷付いても良い。でも胡桃だけは傷付けるな」時の言葉に胡桃は胸がときめく。
天都が刀を持って向かって来た。
時は胡桃を抱きしめ天都に背を向ける
胡桃は固まってしまう。
『その人たちはそれを正義だと信じてやっているならあなただって人を傷付ける事を正義だと思ってやっているじゃない』
『あんたはいいじゃないか。まだ家族がいて。俺なんて家族はいないんだから』
加奈と龍人の言葉を思い出し天都は腕を止める。
時は振り返る。
そして刀を下に下ろし天都は無言で去っていった。
「良かった…」時は安心する。
そして体を離そうとしたときどさくさに紛れて胡桃は時にキスをした。
時は驚く。
そして2人は顔を離す。
「……私、時の事……」
「……いいぜ」時は返答した。
胡桃は思わず顔を上げる。
「いいの?」
「勿論だ。胡桃の笑顔好きだし」
「ありがとう」胡桃は嬉しく感じた。
「でもちゃんと言わせてよ」
「察してしまってつい」
しかし2人は笑顔になった。
文化祭当日、多くの人が海斗達の作品を見ていた。
そして海斗達も遠くからその作品を見ていた。
「良い作品に仕上がったな」楽人が褒める。
「ありがとう」加奈は言う。
「しかしギリ間に合ったぜ」龍人は昨日の夜中に完成させていた。
「芸術性にこだわりすぎてしまってな」
「たださぼってただけだろ」海斗は突っ込む。
胡桃と時は隣に並んでいた。
「…みんな…俺…胡桃と付き合う事とした」
その話に海斗達は注目する。
「2人か付き合うのか…なんか面白いな」海斗は笑う。
「馬鹿にしてるの?」
「いや…なんか問題児同時が付き合うって聞いて」
しかし加奈は胡桃が時と結ばれて嬉しく感じた。
