時は救急車で搬送されたものの容態は危険な状況だった。
「あいつ絶対に許さない」楽人は怒って出ていこうとする。
「どこに行く」龍人が聞く。
「あいつをぶっ潰すんだ。時を傷付けた復讐として」楽人は正常な判断が付かないでいた。
「今は落ち着きなさい。今行ってもあなたに何が出来るの? ただ死ぬだけかもしれないのよ」胡桃も説得する。
「それでも俺は」
湖南は楽人にビンタする。
「あなたは時よりも復讐が大事なの?」湖南は怒る。
「時が負傷したとき海斗や龍人は処置をしていたのにあなたはそれよりも男の方に向かっていって…あなたにとって時は仲間じゃないの?」湖南は涙を流す。
「あなたは椿を否定しているけど私はそれでも楽人より椿の方が好きなのよ」
楽人は黙り込む。
湖南が椿の事を好きだと知った海斗達だが特に聞き返さなかった。
そこに医者がやって来た。
「内臓を深く損傷しています。この病院で手術出来るドクターは現在いません。なので緊急でヘリでドクターがやってきます。そのドクターは難しい手術を幾度もこなしていますがしかし問題なのはこの手術も出来るかです。今までこんな事例ほとんどなかったもので」
それを聞いた加奈達は絶望する。
その時、海斗はあるひらめきを思いつく。
「椿、お前は別世界では凄腕ドクターだったな」
「そうだが」
「それなら時の手術をやってくれ」海斗は頼み込む。
予想外の提案に龍人達は注目する。
「何言っている? 俺は無免許医だぞ。闇医者の俺が手術をやらせてろと言ったって出来るわけないだろ」椿は言う。
「いや、ちゃんと合法の方法でやる」。
「天使!」海斗が呼ぶとそこに天使がやって来た。
「どうしましたか?」
「天使、頼みがある。今から仲間の手術があるんだがそのドクターに椿を取り憑かせる事は出来ないか?」海斗が聞く。
「そうか。そのドクターに取り憑けば椿は無免許医ではなくちゃんとした医師になるのか」
龍人は気付いた。
「……本来なら私達天使は人間に介入しません。しかし憑依だけで最後は自分達でやるなら良いでしょう」天使は許可した。
「椿、それならいいだろ」
「だが俺は…」
「私は信じるよ。椿の事を。椿ならきっと時を救ってくれると」湖南は説得する。
「……分かった。久しぶりにやってやる」
楽人はそのやり取りを黙って見ていた。
しかし椿にとってもこの手術は難しい手術であり成功率も低いと感じていた。
しばらくしてドクターがやって来た。
そして椿の体から精神が抜けてドクターに憑依する。
ドクターは海斗達のところに行き伝えた。
「必ずこの手術を成功させます」
「お願いします」海斗達は頭を下げる。
そしてドクターに憑りついた椿は手術室に入る。
そして真夜中、早速手術を始める。
まず麻酔師が時に麻酔をかけた。
椿はメスで時の体を切る。
手術の結果を海斗たちは廊下で待っていた。
側には時の両親がおり両親は憔悴しきっていた。
海斗達は敢えて言葉をかけなかった。
椿は慎重に手術をしていき周りの医師達も緊張しながら見守る。
椿は怖がった。
――血は大量に溢れ出ないだろうか
――本当にこれであっているのだろうか
――突然死んでしまったらどうしたらいいんだ
椿の頭の中で不吉な事ばかり考える。
しかし余計な事は考えず手術を進めていく。
海斗たちが待っているとランプが消えた。
そして椿が取り憑いたドクターが出てきた。
「息子はどうでしょうか?」両親は緊張していた。
「手術は成功しました。後は本人次第です」
海斗達は安心する。
そしてドクターから椿が抜ける。
「先生、今日の手術、とても素晴らしかったです」医師達は賞賛する。
「私も不思議だよ。何か不思議な力に導かれてというかなんかよく分からない力が働いて」
翌日の朝、安心した海斗達は時の病室で眠っていた。
しかし楽人は窓を見ていた。
楽人は自分の愚かさが嫌になっていた。
