翌日、海神公園で海斗と龍人、胡桃、楽人、時は集まっていた。

「今日は女1人なのか」胡桃は言う。

「そうだね。珍しい」

「やぁ」

5人が振り返ると卓三が現れた。

「お前…」楽人と時は驚く。

「知り合いか?」龍人は聞く。

「例のストーカーだ」

「なんだと」海斗は警戒する。

「君達に一つ報告がある。俺は新しい恋人を手に入れた。そしてその女は君達を裏切り捨てるらしい」

するとそこに湖南がやってきた。

海斗達は目を疑う。

「俺の新しい恋人、湖南だ」

湖南は下を向いていた。

「裏切るとはどういう事だ?」龍人は聞く。

「彼女は君達がいらなくなったんだ。そして俺だけが側にいれば良いという結論に至った」

海斗達は困惑する。

「何で…何が気に食わなかったの?」

胡桃は聞くが湖南は黙っていた。

「ふさげるな。友達を裏切って捨てる事は簡単だが取り戻すのは難しい、湖南はそれでいいのか?」海斗は怒る。

その時、卓三は言った。

「お前、パラレルトラベラーだな」

その言葉に6人は思わず驚いてしまう。

「なぜそれを」

「実は俺は悪魔と契約をしこれからパラレルトラベラーとして別世界に行く事に決めている。だから君の事も聞いているんだよ」

卓三はパラレルトラベラーになろうとしていた。

「悪魔がお前に力を貸したのか?」

「そういう事だよ。じゃあね」

そして卓三は湖南を連れて去っていった。

「何で湖南があんなストーカーといるんだよ!絶対におかしい」楽人は感情的になる。

「落ち着いて」胡桃は諭す。

「でも何がどうなってんだよ」龍人は考える。

「何とかして湖南を取り戻そう」海斗は言う。

ふと時は思った。

「……もしかしたら湖南、何が脅迫されているかもしれないな」

「脅迫? どんな」

「それは分からないがそんな気がする」

「もしかして」海斗は気付いた。

「奴が悪魔と契約しパラレルトラベラーとして別世界に行こうとしているならもしかしたら…湖南を別世界に連れて行こうとしているのかもしれない。悪魔ならそれも可能だろうし」

「そうだ、それだ」

「もし別世界に湖南が連れて行かれたら助け出すことは出来ない」

その時、海斗はある考えを思いついた。

「椿に協力を頼もう」

全員が注目する。

「何であいつの力を貸りなきゃいけないんだろ」楽人は拒否する。

「でも今、あいつは復讐屋として活動している。復讐屋なら相手の情報を入手するぐらいたやすいだろ」海斗は楽人を説得する。

「それに今は選り好みしてる場合じゃないだろ」時は言う。

すると天気が曇ってきた。

「……分かった。椿が切り札なら椿にに力を貸してもらおう」楽人は決めた。

早速、海斗達は椿のマンションに行きインターホンを鳴らすと椿が出てきた。

「椿、依頼がある」

「お前達が依頼をするとは珍しいな」椿は興味を持つ。

そして海斗達は部屋に事情を話した。

「そうか。ちょうど浅木卓三への復讐の依頼があるがなぜそいつの事を知りたい?」

「湖南が卓三に連れ去られた。本人はそれを望んだ事らしいがでも脅されてると思う」

椿は表情を変える。

「……分かった。情報を教えよう」椿は真面目な態度となる。

「ありがとう」海斗は安心する。

「でも意外とあっさりだな」龍人は怪しく感じる。

「彼女には世話になっているからな」

「そうなの?」胡桃は驚いた。

「料金はいくらだ?」

「金は取る気はない」

椿は自分が集めた卓三の情報を海斗達に見せる。

「これは…」

「卓三の過去を調べた所、色々な事が分かった」

「卓三は小中学校の成績が優秀で将来を期待されていたがしかし同時に危険な思想の持主でもあったそうだ。自分が欲しいと思ったものはどんな手を使っても手に入れそのためなら周りの人間も平気で巻き込む」

そのため流石の椿も卓三にはかなり警戒していた。

「とりあえずやつの家は分かっている。行ってくる」

椿が行こうとした。

「待て、俺にも行かせろ」楽人が頼む。

「これは俺の仕事だ。お前達は待っていろ」

「俺も湖南を助けたい。それに万が一何があったとき2人いたら安心だろ」楽人は椿を説得する。

「…まぁ良いだろう」

「なら俺も行かせてもらおう」時も頼む。

「生きたい奴は来い」

しかし海斗たちには好きにしろというように見えた。

そして6人は卓三の家に向かう。

その頃、湖南は卓三の家にいた。

側には両手を縛られた加奈がいた。

「ごめん湖南。私のために脅されて」

「いいのよ。友達だし」

湖南は卓三を見る。

「…加奈を解放して」

「まだ駄目だよ」

「湖南、俺は君の事が好きなんだ。愛しているんだ。だから復讐屋と付き合っているのを見て俺は気に食わない」

卓三は湖南が椿とキスをする瞬間を偶然窓から見ていた。

それを初めて知った加奈は驚く。

「あの復讐屋に頼んで湖南の友達を潰そうと頼んだが奴は拒否した。同情できる所がないただ一方的な恨みのために復讐をする気はないと」

「……貸すわけないでしょう」湖南は怒りがこみ上げた。

「椿はやり方は間違っているけど本当は心優しい人なのよ。そんな椿があなたに力を貸すわけないでしょう」

「ストーカー、あなたは自分の事しか考えないから誰も相手にしてくれないのよ」加奈は言う。

「黙れ!」卓三は怒鳴った。

「どうせ今まで1人ぽっちだったんでしょ? でも分かるわ。あなたと関わりたくないもん」加奈は怯まず反論する。

そして落ち着きを取り戻す。

「……湖南…椿と付き合っていたの?」

「…付き合ってはいない。でも椿の事は好きだよ」

卓三はさらに腹を立てる。

その時、インターホンが連打で鳴った。

「うるさいな、誰だ」

卓三がドアを開けると海斗達が突っ込んできた。

楽人と時は卓三を取り押さえる。

「大丈夫? ていうより何で加奈が…」海斗は驚く。

「くそぉー」卓三は悔しがる。

「警察に通報する?」胡桃が聞く。

「悪いけど警察に通報しても無駄だ。何故なら俺は悪魔と契約し別世界に連れていってもらう事になっているからな」卓三は笑いが止まらなかった。

「俺は…俺はずっと湖南の事が好きだった、なのに湖南は復讐屋の事を愛していた。俺はそれが憎い、憎いんだよ」

するとそこに悪魔が現れた。

海斗達は警戒する。

「悪魔、俺を別世界に…」卓三は笑顔で頼む。

「残念だがお前には興味がなくなった。この世界で生きろ」悪魔は笑顔で返答する。

「何だよそれ、俺達約束したじゃないか」卓三は焦る。

「お前の姿を見て考えが変わったんだよ。女を捕まえるために女を餌に脅しをかけるお前を見て面白みがなくなった」

「ふさげるな。もし俺を別世界に連れていってくれなきゃ俺は監禁罪で警察に捕まるかもしれないんだぞ」卓三は慌てる。

「お前の事情など知るか。この世界で生きろ」

悪魔はそう言い残し消えた。

卓三はショックを受け楽人と時を押しのけ逃げていく。

海斗達が追いかけると卓三は廃れた工場に入っていった。

そして海斗達も卓三の元にたどり着くと卓三は震えていた。

海斗達の前に現れたのは水崎天都、海斗の兄だった。

天都の手には刀を握っていた。

「兄貴…」

加奈達も思わず注目する。

「久しぶりだな海斗、まさかこの世界に来るとはな」天都は不敵な笑みを浮かべる。

「まさか兄貴がパラレルトラベラーだったなんて。どおりで警察が大掛かりで捜査しても見つからないわけだ」海斗は混乱していた。

「卓三、お前には失望した。お前には何の感情もない。だから病院で気の済むまま休め」天都が刀を上に掲げる。

「危ない」時が飛び出す。

時は卓三を庇って天都に刀で斬られた。

背中から血が流れ時は倒れこむ。

「時!」胡桃は叫ぶ。

海斗達はすぐに時に駆け寄る。

「ガムテープないか?」海斗が聞く。

「セロテープならあるけどそれで大丈夫なの?」加奈は慌てていた。

海斗と龍人はその場凌ぎですぐに時の背中に貼りつける。

「これって大丈夫なの?」胡桃が聞く。

「今は血が流れにくくすることを優先しないと」海斗は焦っていた。

「いや、そんなんじゃ駄目だ」

椿はある液体の薬を出して時の背中につける。

するとその液体は皮膚のように固まった。

「当たり前だが刀で切られた場合の対処法は習った事がない。だがこの薬があれば少しだが血を止められる」椿は時を処置しながら話す。

湖南はすぐに救急車を呼んだ。

卓三は恐怖に陥る。

「貴様!」

楽人は天都に向かおうとするが湖南が止める。

「これ以上負傷者が出たらどうするの?」

「海斗、俺は自分の正義を貫くだけさ」

そして天都が去る姿を海斗は悔しそうに見ていた。