加奈は手芸部の教室で編み物をしながらある事を考えていた。

「加奈」

胡桃が教室に入って来た。

「何が悩みでもあるの?」胡桃は笑顔で聞く。

「別に悩んでなんか…悩んでないよ」

胡桃は察した。

「あなた海斗の事好きなんでしょう、もしくは龍人の方」

「……何で分かったの?」加奈は恥ずかしくなる。

「だってあなたいつも2人をよく見ているんじゃない。それにいつも3人仲良くしているし」

加奈は下を向く。

「……私は海斗も龍人も好き…付き合いたい」

「両方とも好きなの?」胡桃は驚いた。

「でもどちらかしか付き合えないし」

「そうね…でも悩んでいるなら私に相談してよ。出来るだけ力になるから」

「胡桃……あなたがそんな事言うなんて」

「そりゃ最初は対立していたけど今は友達だから」

加奈は少し感動した。

「何をしている?」

そこに時がやって来た。

「別に」

「そうか、しかし胡桃、やっぱりお前は笑顔が1番だ」時は言った。

「何よいきなり」

「俺も相手を褒められる人間になるべきだと思って」

「お世辞じゃん」

胡桃は笑顔で突っ込むが同時にある感情が生まれる。

その頃海斗は校庭で悩んでいた。

すると龍人が隣にやって来た。

「龍人」

「なぁ海斗、人を好きになるってどういう感情なんだ」

龍人の突然の質問に海斗は困惑する。

「……なぜそんな事聞くんだ」

「……俺は加奈の事が好きだ。今まで出会った誰よりも」

想定外の言葉に海斗は返答できなかった。

「そうか…そうなのか…」海斗はとりあえず反応した。

「なぁ俺はどうしたら良い?」

「俺には分からない…加奈に聞いて」

「その加奈が好きなんだよ」

「そうだったな」海斗は混乱した。

そして海斗は決めた。

――龍人には悪いけどすぐにでも加奈に告白しよう、じゃないと奪われてしまう。

しかし同時に龍人を傷つける事になると考えると悲しくなった。

だが海斗はすぐにその場を離れ加奈に電話した。

「もしもし加奈」

「どうしたの?」

「今から会えないか?」

「ごめん、この後、用事があるの」

「…そう…分かった」海斗は電話を切った。

――何でよりによって用があるんだろ、いつも一緒にいるのに。

その頃、龍人は自然緑川公園のベンチに座っていた。

龍人は加奈について考えていた。

するとそこにサッカーボールが飛んできた。

「すいません、取ってください」

子供の呼びかけに龍人は蹴る。

しかしそのボールはある男にぶつかる。

「すいません」

龍人が謝るとその男はボールを蹴る。

それは上手く子供の所に届いた。

龍人がその男の顔を見るとそれは霧島修、泉蓮の友人の1人だった。

「あなたは霧島修選手、プロのサッカー選手ですよね? 小学生の頃、憧れていました」龍人は驚いた。

「最近復帰したばかりだよ。それにまだ病気で休業するかもしれないし」

「修!」

そこに修の恋人、川上美羽がやってきた。

また美羽も泉蓮の友人の1人だった。

同時に海斗もやってきた。

海斗は思い出した。

蓮から見せてもらった写真の2人だと。

「もしかして泉蓮さんという人の知り合いですか?」海斗は聞く。

「蓮? もしかして蓮の知り合い?」美羽は笑顔になる。

「まぁ知り合いというがなんというか」

「俺も小学生の時サッカーをやっていたんです。やめてしまいましたが」龍人は言う。

「俺も高校生の頃に病気になって引退した。でも最新医療で少しずつだが出来るようになっているさ」

「サッカーが上手いなんていいな」海斗は昔兄の高馬と共にサッカーで遊んだ日々を思い出す。

「しかし蓮の知り合いと会うなんて偶然だね。蓮元気だった?」美羽は海斗に聞く。

「元気でした。良い人でしたし」

「じゃ俺達はここで」

修と美羽は去ろうとした

ふと龍人は修に質問した。

「あの~俺は好きな人がいるんですが告白出来ないでいます。どうしたら告白出来るようになりますか?」龍人は修が美羽と付き合っているからこそ相談した。

「そんなのその場の運と諦めない心だ」

――この人いい加減すぎ

海斗は心の中で思った。

「ありがとうございます。勇気が出ました」何故が龍人は元気が出た。

翌日、海斗は体育館で待っているとそこに加奈がやってきた。

「話って何?」

「加奈…言いたい事がある…俺…俺は…加奈が好きだ。だから…俺と付き合ってくれないか?」海斗は勇気を出して告白した。

「…ごめんなさい」加奈は断った。

「…そうなんだ…なんか悪いな」海斗はショックを受ける

加奈は黙ってその場を去った。

同時に海斗と両想いである事を知った加奈は嬉しさと悲しさで複雑な心境になっていた。

その後海斗は校庭のベンチに座っていると龍人がやってきた。

「元気ないようだな」

「まぁあな」

海斗はその場を立ち去ろうとした。

「加奈に告白したんだろ?」龍人が言う。

「何で知っているんだ?」海斗は気まずくなる。

「たまたま見ていた奴から聞いた」

海斗は恥ずかしくなったが口を開いた。

「龍人…俺も加奈が好きなんだ……それがたとえ龍人だろうが加奈は譲れない」海斗は強気で主張する。

「当然だよ」龍人は声を上げる。

「俺だって加奈は譲れない。気を使って譲ってもらいたくなんかないしそれぐらいなら正々堂々と勝負してほしい」龍人も強気だった。

そこには友であり恋のライバルである2人がいた。

その後、龍人が教室に入りバックを取ろうとした時そこに加奈がいた。

加奈は寂しそうだった。

「なぁ加奈…」

龍人の声に加奈は振り返る。

「何?」

「俺は本当は高校には何も期待していなかった。中学を卒業したらそのまま就職し適当に人生を送れば良いなと思っていた」

「でも加奈と出会って高校が楽しくなったし恋の素晴らしさを知った。俺は…」

「龍人…」加奈は察した。

すると龍人は加奈に駆け寄り抱きしめる。

加奈は鼓動が激しくなった。

龍人は海斗に悪いと思いながらも加奈を強く抱きしめる。

そして龍人は加奈から体を離し顔を見る。

「……ごめんなさい」加奈は断った。

龍人は黙り込む。

そして加奈は教室から出ていく。

それから数日後の夕方、龍人は校庭のベンチに座っていた。

龍人は悔しくて泣きたくなった。