海斗とと加奈、龍人は屋上にいた。

そして海斗は椿の事を考えていた。

「しかしどうする?」龍人が聞く。

「俺は止めたい。こんな復讐を」海斗は過去の事を思い出す。

それは現場でたまたま見た書類から知った事だった。

「よぉ久しぶりだな」

3人が振り向くとそこには悪魔がいた。

「お前はこの間の」海斗は驚いた。

そして龍人と加奈は警戒する。

「何してるの?」

そこに胡桃もやって来たと同時に初めて見た悪魔に恐怖を感じた。

「草麦胡桃、君は頑張って生きているから1つ笑顔になれるプレゼントをあげよう。死んでしまった大切な人を蘇らせてやろう」

すると悪魔は手から黒い光線を放つとそれは人の形となり水崎高馬に変化した。

「高馬!」

「兄貴!」

海斗と胡桃はお互い顔を見る。

加奈と龍人も突然生まれた人間に驚いた。

「こんなことが……」海斗は動揺する。

「それじゃあ」

そして悪魔は消えた。

「本当に高馬なの?」胡桃はゆっくりと近づく。

「久しぶりだね、胡桃」

胡桃は嬉しくなった

しかし海斗は高馬を見て思った

――この人は自分の知っている兄貴じゃない。この世界の兄貴なんだ。

「よく分からないけど凄い……凄すぎる」龍人は興奮する。

「でも何で悪魔が」海斗は疑問に思った。

「分からないけどでも今はいいんじゃない」加奈は言う。

とりあえず胡桃は高馬を自然緑川公園に連れていく。

「なんで復活したのか分からないけどでも胡桃、まだ会えてとても嬉しいよ」高馬は泣きそうだった。

「私もだよ、高馬」胡桃は笑顔だった。

「でも胡桃が立ち直って嬉しいし友達もたくさんできてよかった」

「私は色々な人を傷付けた。自分の目的のために」

「反省してこれからやり直していけばいいじゃないか」高馬は励ます。

「でも自分の行いに気付いて良かったな」

その頃、海斗達は楽人、湖南、時と合流し胡桃の件について話しをした。

「死者が蘇るなんてあり得るのか」時は混乱していた。

「でもパラレルトラベラーがいるんだから死者が蘇ってもおかしくはないだろう」龍人はそう考えた。

海斗は何が嫌な予感がした。

夕方、海斗が帰ろうとした時、加奈が海斗のところにやって来た。

「どうした加奈?」

「海斗、高馬さんの事だけど」

「……高馬さんって海斗のお兄さんでしょ」

「……そうだ。たださっきの兄貴はこの世界の人だから俺とは関係ない」

「そうなんだ…」加奈は切なく感じた。

「まぁ別世界とはいえ、また兄貴と再会できてとても嬉しかった」

「でも俺は疑問に思っている。こんな簡単に命を蘇らせていいのか。いくら悪魔でもそんな事して良いのかと思っている」海斗は悪魔に対し疑問に思っていた。

「それは私には分からない。でも胡桃が幸せなら私は嬉しい」

最初は胡桃が嫌いだった加奈だが今では胡桃の事を仲間だと感じていた。

夜、海斗は家の中に入ると暗闇の中に一つの影があった。

「誰だお前」

それは天使だった。

「あなたはどうやら悪魔に連れてこられたパラレルトラベラーですね」

「天使?」

――天使もいるんだ。

「実はあなたに話があって」

「さっき悪魔が俺の兄貴…いや高馬さんを蘇らせたんだが……」

天使は一気に表情を変える。

「……悪魔の奴、何で事してくれた!」天使は怒る。

「どういうことだ?」

「天使の世界では死者を蘇らせる事は絶対にしてはいけません。しかしどうやら悪魔は死者を蘇られたようですね」。」

「そうなのか…じゃ高馬という人はどうするんですか?」

「残念ながらその死者には消えてもらいます」

「そんな……」海斗は戸惑う。

「胡桃に言えない……言えるわけがない」

海斗は自分も兄の高馬を失っているため胡桃を自分と重ね合わせて見た。

天使も深刻に考える。

「何で悪魔はそんな事をする」

「それは分かりませんが彼にも彼の正義というのがあるんだと思います。でも悪魔ですけど」

海斗は人生で最大最悪の問題に直面した。

――こんな事胡桃に言えない、でも兄貴をこの世に残す事も出来ない。

海斗は1日中考えるが結論は出なかった。

翌日、海斗が自然緑川公園に行くと胡桃と高馬がいた。

海斗はとても嫌な気分だった。

「どうしたの海斗?」胡桃が笑顔で聞く。

「何でもない」

「遅くなっちゃたけど僕は水崎高馬。よろしくね」高馬は笑顔で挨拶した。

「よろしくお願いします」

ふと胡桃の方を見るととても笑顔だった。

その笑顔を見るとますます言いづらくなった。

「ところで二人はどこで出会ったの?」

「私と高馬は前に同じ町に住んでいてそこで仲良くなってよく遊んでいたの。高馬の方が4歳年上なんだけど」

「胡桃は昔は泣き虫だったけど今、こうやって見ると随分貫禄が出たな」高馬は笑顔で言う。

二人のやり取りを聞いた海斗はますます苦しむ。

同時に海斗にはある感情があった。

別世界の人間とはいえ海斗にとっては兄でもあるため蘇っている間だけでも話をしたいと思った。

しかし別世界の人間に何を話したら良いか分からず気持ち悪がられるだけじゃないかと不安だった。

夕方、海斗は龍人と楽人、時と共にいた。

そして海斗は過去の事を話し相談する。

「光島の件、そういう事だったのか」時は理解した。

「普通に話せば良いんじゃないのか?」楽人は言う。

「その普通が分からないんだ」海斗は頭を抱える。

「でも海斗にそんな過去が」龍人は困惑していた。

「俺の過去は気にするな」

しかし海斗は過去のトラウマが中々消えず苦しんでいた。

翌日、海斗は屋上のベンチに座っていた。

「どうしたの?」

そこに加奈と龍人がやってきた。

「別に……」

「何が困っているようだが」龍人は言う。

「実は……」

海斗は高馬の真実を加奈と龍人に話した。

「そんな……」加奈はショックを受ける。

「この事は胡桃と兄貴に黙っていてほしい」

加奈は表情が曇る。

「でもいつか言わないといけない時が来るんじゃないか?」龍人は言う。

「でも……言えるわけがない」海斗は生気が抜けたようだった。

一方胡桃と高馬は自然緑川公園で話をしていた。

「しかし今日は良い天気だね」高馬は笑顔だった。

「そうだね」

胡桃は勇気を出して聞いた。

「高馬、もし私がこれから別の男と付き合ったらどう思う?」

「嬉しいよ。いつまでも死者に囚われず前を向いていて」

「それに胡桃が楽しくしている姿が俺は一番好きだから」

高馬の言葉に胡桃は涙を堪える。

それを海斗と加奈も陰から見ていた。

「何か俺達ストーカーみたいだな」

「確かにね。でも堂々と見るのもなんか」

その時悪魔がやってきた。

「悪魔!」海斗は思わず声を上げる。

「海斗」胡桃は2人に気付く。

「草麦胡桃に一つ教えておく。高馬は復活したがもうすぐまだ死ぬ事になる」悪魔は微笑んでいた。

――最悪だ。バレちゃった。

しかし胡桃と高馬は驚かなかった。

「水崎高馬、お前を復活させたつもりはない。お前が死んで草麦胡桃が悲しむ姿を見せるためにお前を一時的に蘇らせたんだ」悪魔は笑いながら話す。

「あなた……最低よ」加奈は感情的になる。

「悪魔…お前という奴は」海斗は震えていた。

「…そんな気がしていた」胡桃が下を向きながら言う。

「何?」笑顔だった悪魔は表情を変えた。

「死んだ人間が蘇るなんていう都合の良い話なんてないと思っていた。だから高馬が蘇った時、きっといつかまだ別れの時が来ると覚悟していた」

胡桃の言葉に悪魔は動揺する。

「胡桃、お前は既に気付いていたんだな」

「そうよ、だから高馬と別れる時が来ると前から覚悟していたわ」

しかし胡桃は辛い表情だった。

その時、高馬の体は透明化していく。。

「高馬……」胡桃は別れの時が来たと悟った。

「胡桃、お別れだね」高馬は無理矢理笑顔に振る舞う。

「胡桃、君と出会えてよかった。こんな嬉しい事なんてないよ」

「高馬、私も同じだよ。高馬と出会えたから私はこんな良い人生を送れた」

「こんな良い人生送れたとかまだまだ人生これからだろ」

海斗も思わず話しかける。

「兄貴……すまない、あんたが俺の死んだ兄貴に見えてつい兄貴と呼んでしまった」海斗は我慢できなかった。

「俺はもっと兄貴と一緒にいたかった。いつかまだ家族みんなで旅行に行きたかった」海斗は涙を流す。

「兄貴じゃないと分かっている。でもそれでも俺にとっては兄貴と再会出来たようで嬉しいんだ。気持ち悪く感じるかもしれないけど」

「そんな事ないよ。俺で良ければもっと甘えてあげても良かったのに」高馬は海斗の肩に手をのせる。

海斗は思い出した。

――もう二度と会えないんだ

「じゃあね胡桃、弟」

そして気が付くと高馬は消えていた。

「ありがとう…高馬」

「じゃあな…兄貴」

胡桃は海斗を見る。

「ごめんね海斗。私ばかりが高馬を独占して」

「良いんだ。俺の方が悪いんだ。死んでもう二年も経つのに未だに心の中で兄貴の事を消せないでいるんだから」海斗は自分の弱さを責めた。

「私も同じよ。高馬の死を乗り越えていたと思っていたのにまだ心のどこかで高馬が消えないでいた。いつかまだいなくなるのも分かっていたのに…覚悟していたのに…でもやっぱりいなくなるととても悲しい」胡桃は泣きながら話す。

加奈は胡桃に寄り添う。

「大切な人を心から完全に消す事なんて出来ないよ。大切な人だからこそ心のどこかに残るものだしそれに心のどこかに大切な人が残っていてもいいじゃない」

加奈の言葉に海斗と胡桃は励まされた。

翌日、海斗は胡桃の事を龍人達に話した。

「そうなんだ……」湖南は悲しく感じた。

「何でこんな酷い事を」楽人は怒りを覚える。

加奈は空を見上げる。

「高馬さんはきっと胡桃の側にいるよ。絶対に」