帰り道、海斗と龍人、加奈が歩いていると龍人は体験入部について話す。
「2人も何か部活に入らないか?」龍人は提案する。
「いいね、やろう」海斗は賛成する。
加奈は少し考える。
「……分かった、体験入部だけでも行ってみる」
翌日の放課後、海斗と加奈は龍人の提案で手芸部の体験入部に行く事とした。
「でもなんで手芸部なんだ?」
「何となくだ」龍人は適当だった。
「でも手芸部も面白そうだね」加奈は興味を持つ。
そして手芸部の教室に入るとそこには手芸をする風凪湖南がいた。
彼女は上品で優しそうな女子生徒だった。
「君も体験入部?」龍人は話しかけた。
「いやもう入部しているよ、でも私含めて4人らしいよ」湖南は笑顔で答える。
「4人なのか…寂しいものだな、まぁいいか」海斗は言う。
湖南は3人に針と糸などを渡す。
そして試しに作ってみるが海斗は何を作ろうか思いつかずにいた。
龍人は何故かカマキリの袋を作っていた。
「何でカマキリなの?」加奈は疑問に思う。
「何となく思いついて」
すると湖南は聞いた。
「ねぇ…3人は医者になりたいからこの学校に入ったの?」
「まぁそうだけど」
「君は医療の道に進むために入ったんじゃないの?」海斗は聞く。
「私は親に言われて入ったけどでも医療って本当に自分のやりたい事が分からなくて」湖南は今の状況に不満を感じていた。
「俺は別世界から来たからまぁ成り行きで花式高校に入ったっていう感じだな」
海斗はまだ別世界からやってきた事を言ってしまう。
――またこの話か
加奈と龍人はそう思った。
「何それ?」湖南は笑う
湖南も信じていなかったが海斗は湖南とも距離が縮まったように感じた。
夕方4人は部活を終え一緒に帰る。
「どう、入部する?」湖南は3人に聞く。
「面白そうだから入ってみる」海斗は決めた。
「俺も入るか」
「私も入部する」加奈と龍人も同じだった。
「分かったわ」湖南は嬉しそうだった。
そして海斗にまた新しい友達が出来たようだった。
翌日、海斗が入部届けを提出しに行こうとした時、湖南とすれ違う。
海斗は思い出したように湖南に聞く。
「そういえば君はもしドクターになるとしたらどんな事をしたいの?」
「…たぶん助産師かな? まだ分からないけど」
「そうか」
「みんな偉いな。誰かのために働きたいだなんて」海斗は前と同じ事でまだ感心する。
「あなた面白いね。本当に別世界から来たんだね」
するとそこに胡桃がやってきた。
「あなたたちそこで何やっているの?」
海斗と湖南は胡桃に気付く。
「別にただ話しているだけさ」
しかし胡桃は気に食わなかった。
そして胡桃は湖南に対して警戒心を抱いた。
すると加奈がやってきた。
加奈を見た途端、胡桃は立ち去った。
加奈は胡桃を追いかけた。
「あなたもしかして今度は湖南に目をつけているの」
「海斗と付き合うのは私。彼女は私にとってかなりの脅威になる」
胡桃の言葉に加奈は呆れた。
「……あなた勇気がなさすぎるのよ」加奈は呟く。
「何が言いたいの?」
「だって海斗と付き合いたいとかそんな事言っているくせにあなた海斗と関わる事恐れてるように見えるよ」
「それは……」胡桃は動揺を見せる。
「あなたは勇気がないのよ、勇気がないから今の状況が変わらない」
「何偉そうに説教してるのよ」
「説教じゃない。主張だよ」
「似たようなものだよ」
しかし加奈の言葉は胡桃に響いていた。
――自分は海斗に振り向いてもらう事よりも周りの障害を排除しようとしている事を優先している。
胡桃は自分の弱さに気付いたようだった。
海斗と加奈、龍人は放課後忘れ物をしたため体育館の中に入る。
「しかし3人同時で忘れるとか偶然だね」海斗は面白く感じる。
そして体育館の中に入ると血まみれのクラスメイトの荒木と空川時がいた。
荒木は時に挑むが時は後ろへはじき飛ばす
3人は荒木のそばによる。
「何でこんな事する」龍人は激怒する。
「こいつが先に襲って来た。ただそれだけ」時は悪びれた様子はなかった。
「だからってやり過ぎだぞ」龍人は反論する。
「正当防衛だ。俺は戦わなければやられてたからな」
「そりゃ…そうか」海斗は納得した。
「でもあなた将来医療の道に進むんじゃないの? 明らかにやり過ぎだよ」加奈は強く言う。
「そんなの興味ねぇな」
龍人は怒りがこみ上げる。
「俺に挑むなら相手になってやる。ただし容赦はしないが」時は去っていった。
その後、3人は荒木の手当てをする。
しかし荒木は悔しそうだった。
海斗達は時を危険視する。
3人が手芸部の教室に入るとそこに湖南がいた。
「どうしたの、元気なさそうだけど」湖南は心配する。
海斗は先ほどの出来事を話した。
「彼は強さに執着する人で相手を屈服させ手下にしようとするから嫌っている生徒も多い」
「それに自分を侮辱するような者は誰だろうか容赦せずに圧力をかけたり怖がらせたりするなど力で人をねじ伏せようとする性格よ」
「何でそんな奴がこのチャレンジスクールにいるんだ」海斗は疑問に思う。
「審査が甘いから本来条件に当てはまらない人でも入れたりするのよ」湖南は返答する
「でもそんな人が将来ドクターになると考えるととても嫌だ」加奈は胡桃と同じく時に対しても不快感を持っていた。
「止めるしかないな」龍人は決意する。
「でもどうやって止めるんだ?」海斗が聞く。
「それは内緒だ」龍人にはある考えがあった。
翌日、海斗と龍人が屋上にやってくると時が他の生徒の胸倉を掴んでいた。
「お前、俺を簡単に潰せるらしいな」
時の迫力にその生徒は半泣き状態だった。
周りには女子生徒も何人かいた。
「やめろよ」
海斗が声をかけるとその隙に生徒は逃げていく。
「邪魔するなよ」
「お前、何で人を力でねじ伏せろうとする? 人を傷つけるなんてドクターのする事じゃない」
「ドクターじゃねぇしそもそも興味がない」
時はそう言い残し立ち去った。
「大丈夫か?」海斗は生徒に寄る。
しかし生徒は悲しそうだった。
「好きな子の前で泣きそうになるなんて…」
龍人は怒りに燃える。
――人の心と体の救うのがドクターだ、それなのにあいつがやっている事はドクターどころが人の未来を貶す行為だ。
そして海斗にもその生徒の気持ちは痛いほど伝わった。
「あいつは許せないな。ちょっと懲らしめるか」
放課後、海斗と龍人、加奈は時を体育館に呼ぶ。
「お前、さっきお前のしたことで1人の生徒に深い心の傷が出来た」海斗の言葉にも時は何の反応もしなかった。
「力の強い者が繁栄し弱い者はゴミとして屈服する、それが現実だろ」時の発言に三人も呆れた。
龍人は前に出る。
「俺と勝負しようぜ、もし俺が負けたらお前の手下になってやるからよ、ただし俺が勝ったら俺の言う事を聞け」
それを聞いた時は笑顔になる。
「面白い、いいぜ、瞬殺してやる」
時は不意打ちで龍人にパンチをするが龍人はそれを避けて時を転ばせる。
海斗と加奈、時は驚く。
「まぐれだ」
時は今度は掴みかかるが龍人は時の手首を掴み握り絞める。
時は苦しみ出し龍人が手を離すと時は倒れこむ。
「お前……」時はビビっていた。
「なぜ殴らない?」。
「これは誰かを助けるために鍛えた力で喧嘩のために鍛えた力じゃない、それにドクターを目指す人が血を出させちゃいけないだろ」
「……」
「分かっただろ、今までお前がやってきた事を。やられたみんなはお前と同じがそれ以上の痛みや精神的な傷を負わされたんだよ。」
時は悔しそうだった。
「こんなに早く終わるなんてありえない」
時は続行しようと龍人に殴り掛かるがしかし龍人は華麗にかわす。
「お前は何でそこまで強さにこだわる?」海斗は問う。
「……俺は力が弱いせいでい中学校でいじめられていた」
「不良たちにいじめら毎日殴る蹴るなどの暴行を受けた……それで俺はやがて学校に行くのをやめた。でもせめてそいつだけには復讐をすることに決めた。その日から俺は毎日トレーニングをした。そして学校に行き見事いじめていた奴をボコボコにしてやった。その日以降俺は誰にもいじめられなくなった。そこで力こそが1番大事だと理解した。」
「復讐を成し遂げたという事か」
「そうだ。ついでにいじめていた奴は病人だったし」
「お前、病人を殴ったのか?」
「関係ないだろ? あっちから殴ってきたんだ」
3人は呆れた。
「お前のやっている事はそいつとさほど変わらない」
「俺をあいつらと一緒にするな」時は否定する。
「暴力に暴力は更なる暴力しか生まない」
「そんなありがちなセリフなんか言うなよ。」
時は感情的になり動揺する。
「だったら何が正しいんだよ」時は何を信頼して良いか分からなかった。
「なら俺たちが支えてやるよ、友達として」
「友達? ふさげるな」
「ふさげていない、友達が側にいればお前の心も少しは癒されるんじゃないのか?」
それを聞いた時はしばらく考える
「……まぁ暇つぶしには丁度良いかもしれない、だが俺が負けたことは言うな」
「安心しろ。言わないさ」
海斗と龍人は快く時を仲間にするがしかし加奈は複雑だった。