海斗は龍人と加奈とキャッチボールをしていた。
加奈は以前に比べ心を開いているようだった。。
「そういえば2人は彼氏や彼女とかいるのか?」龍人は聞く。
海斗はドキッとした。
「私はいないよ。高校生まで恋愛しないと決めていたし」
「俺もいないさ。いつか出来たら良いけど」
加奈の返答を聞いた海斗は安心した。
「そうか、まぁ高校生活の中で彼出来たら良いけどな」
放課後、加奈が屋上で休んでいるとそこに草麦胡桃がやってきた。
彼女は美貌の持ち主だがどこか冷めた性格でもあった。
「火高さん、悪いけど今後海斗とは関わらないでくれないかな」
「何で」加奈は驚く。。
「私は海斗が好きなの、それなのに海斗はあなたとばかり一緒にいて他の女子は気にもとめない、このままじゃ海斗は手に入らない」胡桃はいじめっ子のように話す。
「でも時々関わっているよね?」
「そうだけどでもあなたがいたんじゃ駄目なのよ」
「なんか意味が分からないしそもそも海斗は私の友達だけど恋人関係になりたいとは思っていないわ」
「そうかしら…まぁあなたには楽人の方がお似合いよ」
それは光楽人の事だった。
名前のかっこよさとは裏腹に肥満体質で眼鏡をかけていて不潔だったため入学してすぐにクラスから嫌われその結果、海斗が来る前に不登校になっていた生徒だった。
胡桃はそんな楽人を見下ろしていた。
「あのデブ、あの見た目でよく入学してすぐに私に告白してきたものだね、もう少し自分の身の程を知るべきなのよ。だから『何であなたみたいなゴミと付き合わないといけないの』と言ってやったの」胡桃は面白話として話す。
「あなたドクターを目指している人間じゃないの?」加奈は感情的になる
「何が言いたいの?」
「ドクターは人の命を救い悲しみを消して笑顔にするのが役目、でもあなたは人を平気で傷つけてそして今笑っている。そんな人が将来命を救うとは思えない」
「あなた意外と気強そうだね」胡桃は言う。
「もういいわ」胡桃はその場を立ちろうとした。
「あなた将来何になりたいの?」
「獣医よ、でも何でそんな事聞くの?」
「あなたが何を目指しているのか気になって」
胡桃は立ち去った。
しばらくすると入れ替わりで海斗がやってきた。
「どうした、そんな顔して」海斗は声をかける。
「何でもないよ」
翌日、授業が始まり全員席に着く。
この日は助産師の映像を見る動画だった。
加奈は出産シーンを見て思った。
――なぜ生まれてくる時は可愛いのに大人になると性格が悪くなったりするの
加奈は胡桃の件もあってそう考えてしまう。
――でも医療って人の死も見るんだよね
覚悟していたとはいえ加奈は少し不安になる。
放課後、加奈が校庭にいるとそこに胡桃がやってきた。
「火高さん、あなたに協力してもらいたい事があるんだけど」胡桃は何故が加奈に頼み事をする。
「何」加奈は警戒する。
「あなたが海斗の目の前で私をいじめて。すると海斗は私を助ける。そうすればそれがきっかけで私と海斗は結ばれるのよ」胡桃は笑顔で話す。
「そんな事出来るわけない。第一そんなことしたら私は友達を失うだけじゃないの」加奈は断る。
「あなた、失うものがないからいいじゃないの。それにここにはたくさんの生徒がいるのよ。いくらでもあるんだからいいじゃないの」
「そういう問題じゃない、自分の幸せのために他人を利用しようとしているのが嫌なの。というよりそんなことしてたらいつか海斗どころが誰からも相手にされなくなるよ」加奈はそう反論する。
胡桃は加奈を睨みつける。
「あなた意外と挑発的ね」
「他人を利用して自分が幸せになる、そんなのドクターを夢見るものがする事じゃない」
すると胡桃の態度が変わる。
「あなた勘違いしているけど私は動物の命を救いたいからドクターになりたいんじゃない。ドクターは高収入だから医療の道に進むだけよ」
加奈は呆れた。
加奈は思わずそこに置いてあった空き缶を胡桃に投げつける。
「何するのよ!」
「あなた最低よ! 人の顔を被った化け物だわ!」
そこに海斗と龍人やってきた。
「何しているんだ?」海斗は心配する。
「別に何でもないよ…ところで海斗はどんな女がタイプなの?」胡桃は何となく聞く。
「俺は特にこれといってないな、ただ楽しければいいだけだし」海斗は明るく返答する。
「そう……」
胡桃は去っていった。
「胡桃と友達なの?」龍人は聞く。
「違うよ、あんな人」加奈は否定する。
夕方、胡桃は屋上にいた。
胡桃はどうしたらさらに強い立場になれるのか考えていた。
胡桃は自分の存在価値にこだわっていた。