授業が終わり蓮は帰ろうとした。
ふと奈美を見るとずっと座っていた。
「どうしたんだ?」蓮は声をかける。
「明日、合格発表の日なの」
「そうだったな。明日合格発表か…でも早いな」
「指定校推薦だからね」
そして奈美と別れ蓮は剛と月美と帰っていた。
「そうか、合格発表明日か」
「合格していたらみんなで祝ってあげよう」月美は提案した。
「そうだね…でも月美、成長したね。自分から祝おうだなんて」蓮は言う。
「そうかな…」
「俺は将来医者になりたいと思う」剛は話す。
「医者?」
「そうだ。そして多くの人の命を救いたいと思っている」
剛は亡き兄の力を思い出す。
「月美は何になりたいんだ?」剛は聞く。
「私はまだ決まっていないけどとりあえずまずは大学だね」
ふと蓮は思った。
――俺は何になりたいんだ
夜、蓮は大学について調べていた。
卒業と同時にこの世界から消えるものの蓮は元の世界に帰ったときの自分の将来が心配になっていた。
「俺は何になりたいんだ…」蓮は混乱する。
翌日、蓮は千、美羽、修に聞く。
「何になりたいか?」
「俺は何になりたいのか分からない」蓮は悩む。
「俺はサッカー関係の仕事だ。多少は出来るだろうし俺の代わりに誰かを一流のサッカー選手にしたい」修は教えた。
「私は教師かな。まだ未定だけど」美羽は言う。
「俺は家電関係を希望している。特にテレビをもっと進化させたい」千も教えた。
「みんな夢とかあるんだな」
「お前にはないのか?」千は聞く。
「俺はみんなより先に社会人になった人間だ」
3人はパラレルトラベラーを思い出した。
「俺は夢とかそんなのどうでも良かった。収入さえ良ければなんでも良い。別に誰になんと思われようが」
「でも今思うと高校大学なんか行かなくてもなんとかなるなんて考え甘かった」
蓮は空を見上げる。
「俺が元の世界に帰ったら23歳、そこからやり直せるのかな」
「元の世界に帰る?」千は聞き返した。
蓮はその事を伝えていない事を思い出した。
「……帰るよ…卒業と同時に」
「じゃ大我も?」美羽は恐る恐る聞く。
「帰ると思う」
3人は虚しく感じた。
蓮も遠いようで現実になってきた別れが少し寂しく感じた
一方、大我が教室にいると嬉しそうな奈美がいた。
「どうした?」
「指定校推薦合格したの」
「そうか…良かったな」
「これで来年から大学生だわ」
「……奈美は将来何になりたいんだ?」
「私は不登校の子供達を支える職員になりたいかな」
「この学校の生徒達みたいな人を支えるのか」
「この学校の経験を生かしてね」
大我は未練を乗り越えたとはいえまた来る奈美との別れに心を痛めた。
「大我は?」
「呼び捨てになったのか」
「良いじゃない」
「俺は特に決まっていないさ」
「そう」
蓮が帰ろうとすると目の前に鎧がいた。
「鎧」
「蓮か」
「受験どうだ?」
「大変さ。毎日勉強勉強で昨日は10時間やってね」
「お前も意外と頑張ってるんだな」
ふと蓮は思った。
「でもお前、御曹司だから別に大学行かなくても」
「その事だがやっぱり俺は俺のやりたい事をやろうと思う」
「やりたい事?」
「花火職人だ」
「何があったんだ?」蓮は思わず聞いた。
「日本の花火の美しさを改めて知ってね。だから日本の花火をもっと世界に広めたいと思って」
蓮は面白く感じた。
そして同時に何もない自分に絶望を感じたようだった。
ふと蓮は思った。
――俺はこの世界で新しい物をたくさん見てきた…もしかしたらこれを生かせたりしないのか