12月になり世間は再びクリスマス時期となった。

鎧が蓮達と別れて歩いて帰っているとそこに一台の車が止まった。

窓が開くと乗っていたのは鎧の父親の勇だった。

「久しぶりだな。鎧」

「父さん…」

「高校生活はどうだ?」

「普通だけど」

「だったら鎧、3年生の4月から新しい高校に入学しなさい」

「嫌だよ、何で転校しないといけないの?」

「本当はもっと金持ちの集まる私立高に行かせたかったがお前の意見を尊重して優ヶ丘高校に行かせてあげたんだ」

「もし高校に転校すれば今よりも良い高校生活を送れるかもしれないぞ」

それを聞いた鎧はある事を思った。

「…この学校にも飽きていたし転校すればもっと良い高校生活を送ることが出来るのか…いいかもね」

鎧は転校を前向きに考え始めた。

「勝手な事を言うがもしそうなると友達ともお別れだな。ちゃんと別れの挨拶をするんだぞ」

そして鎧は車に乗り勇と帰っていった。

翌日、蓮達は美術室にいた。

そこに鎧がやってきた。

「俺今度転校するんだ」

その言葉に蓮達は驚いた。

「家の都合なの?」美羽は聞く。

「この高校にも飽きていたんだよ、だから転校する事に決めたんだ」

鎧は笑顔で言うが蓮達は呆れていた。

「別にお前の勝手だが何も言う気にもならないな」

修はそう言い残し教室から出ていった。

「そうか。それは悲しいものだな」

千は棒読みでそう言い修に続いて教室を出た。

「残念だよ。鎧」奈美は寂しそうだった。

「家の事情とかならまだ仕方ないけど簡単に飽きるほど私達の関係は浅かったんだね」

奈美も珍しく怒りが湧いていた。

「鎧、私達と別れて寂しくないの?」美羽は聞く。

「寂しいけど…」鎧は言葉が詰まる。

「…でも人間変化も大事というじゃないか」

鎧はこれまでの歩みを思い出す。

「……父さんは言っていた。なんでもやってみる方が世界は広がる。だから俺は小学生の頃から何度も引っ越し習い事も何度も変えた」

「それで長く大事に思えるものはあったの?」月美は質問する。

「いやそれは…」

剛はため息をつく。

「自分を強く見せたいの次は変化が大事とかお前は何がしたいんだが」

鎧は思わず黙り込む。

蓮はただ何も言わず聞いていた。

夜、勇は鎧に話した。。

「鎧、お前の転校先は男子校だ」

「男子校!」鎧は凍り付いた。

「いやだ、なんで男子校なんだ」鎧は反論する。

「高校は勉強するところだ、ただ周りが男なだけで対して変わらないだよ」

「いやいやいやそれはないよ父さん」

「女がいない高校なんて俺の人生計画にはないよ」

鎧は納得がいかないようだった。

寝る前、鎧は落ち込みながらベランダでスマホのアルバムを見る。

そこには1年生の文化祭で書いた絵があった。

しかし特に何も感じなかった。

翌日、美術室に行くとそこには月美以外誰もいなかった。

「みんなは?」

「みんな体調不良やオープンキャンパスなどで休んでいるよ」

月美は寂しそうに聞いた。

「みんな鎧に対して呆れていたよ。特に千と修は」

「あいつら以外と俺の事、思ってくれていたんだな」

「だって友達だから」

鎧は思った。

——どんどん自分の周りから人が離れていく

鎧は何故が寂しさを感じた。

「じゃ私帰るね」

月美は教室を出ていった。

月美までいなくなって鎧は切なく感じた。

そしてスマホのアルバムを見るとそこには8人で撮った記念写真が目に入った。

鎧は7人との思い出を振り返る。

出会った事、一緒にお祭りに言った事、文化祭の事、時にシリアスになった事もあったがしかしそれでも一緒にやってきた仲間。

「転校するようだな」

振り返ると大我がいた。

「そうだ。でも望んだ高校に行けないかもしれないから」

「愚かだな。せっかく手に入れた友を簡単に手放すなんで。友なんて簡単そうに見えて実は作るのは難しいというのに」

「それに俺は奈美とクリスマス過ごせないんだからな」

「お前奈美が好きなのか?」鎧は驚いた。

「好きさ。だがお前には関係ない事だ」

大我は去っていった

同時に鎧は気付いた。

「あいつらとは飽きるほど一緒にいたのか…飽きるほどのものでもそれでも俺にとっては大事じゃないのか」

鎧は目が覚めたようだった。

翌日、12月25日のクリスマス、蓮達が屋上にいるとそこに鎧がやってきた。

「転校はやめた」鎧が謝罪する。

「俺は愚かだった。ただ飽きたという理由だけで高校を転校しようとして。でも気付いた。俺はただ今の現状から逃げようとしていただけだと。そんな俺が転校したってまだ同じことを繰り返すだけだ。だから俺は誓う。今、俺はもう可愛い女がいるかもしれないという理由だけで転校はしない。そしてお前たちのことを引き立て役だと思っていたがでももうそう思わない。ごめん。本当にすまなかった」

「あなた私たちのことを引き立て役だと思っていたの」美羽は頭に来ていた。

鎧は思った。

——余計なことを言ってしまった。

「まぁいいじゃないか。今は違うんだし」千が美羽をなだめる。

そして蓮たちは下校し共に帰る。

蓮達が町を歩いていると雪が降ってきた。

「そういえばクリスマスまで後1週間だね」美羽は言う。

「今年もみんなでどっか行くか?」修は全員に聞いた。

ふと鎧は思った。

「俺がご馳走してやるよ」

「いや悪いよ」

「いいよ。俺金持ちだしクリスマスぐらい」

「悪いな。じゃご馳走になろう」

ふと蓮は立ち止まった。

「どうした?」剛は振り返る。

「これも友情というのか?」

「何を言ってるんだよ、早く行くぞ」

蓮は思った。

――高校生活も後半か…それが終われば俺はこの世界からいなくなるのか

蓮は少し寂しく感じた。