トゥルーエンディング

 

フレイムアイスシリーズ第1作目

 

あらすじ

この作品はもしもの世界にやってきた主人公とその世界に住む7人の仲間がそれそれ待ち受けている試練を乗り越え成長し友情を築きあげていく物語である。

 

登場人物

泉蓮 

この作品の主人公。クールで真面目だが無欲な性格。人間関係では何も求めない青年だったが天使に与えられた高校生活の中で8人の仲間と出会い成長していく。

純崎剛

明るくて優しい好青年。蓮が最初に出会う青年で蓮を成長させるきっかけとなる

海野奈美

この作品のヒロイン。暗く常に上目遣いのロングヘアの少女。強力な美貌の持ち主で男を虜にする力を持っている。蓮と剛と出会い彼女もまだ変わっていく。

谷月千

クールだが仲間思いの青年。人を信じやすい性格でそれが後にある問題を引き起こす。

川上美羽

リーダー的存在のショートヘアの少女。明るくて気が強いが仲間思いの性格である。美意識が高く、下品な言葉使いなどを控える奈美とは違う美しさを持つ。

霧島修

威圧的な性格で問題の多い青年。人を挑発し敵を作るなど問題行動が多いがしかしある事がきっかけで彼は変わっていく。

雪中月美

美人だが暗くて男嫌いなポニーテールの少女。頭の回転が速く疑問を持ちやすい性格。

湖田鎧

無邪気な性格の青年。臆病だが親しみやすい青年でもある。

 

氷崎大我

………

 

プロローグ

「10年前、当時25歳の男性会社員が行方不明となる事件が起こりました。警察の懸命な捜査も虚しく、今も行方不明のままとなっています。男性の周りでは特に金銭などのトラブルはなく同じ会社で働く従業員の話でも男性は真面目な性格だったと言います。しかし気になる点がありそれは何故か男性の戸籍情報などが存在せず、残された情報も今から6年前の情報しか残されていませんでした。この奇妙な事件。当時のニュース映像でその男性の知り合いである女の子のインタビューが残っていました」

「お兄さんは私の目の前で光の砂になって消えました」少女は暗い表情で答えた。

そのドキュメンタリー番組を奈美は家で見ていた。

「不思議なこともあるものね」

母の言葉に奈美は「そうだね」と返すだけだった。

奈美は不安だった、高校生活は楽しいものになるかどうかが。

 

 

夜仕事終わりの泉蓮は1人居酒屋で飲んでいた。

蓮は昼休憩での部長との会話を思い出す。

「そういえば泉君は彼女いないのか?」

「彼女はいませんし恋愛に興味はないんです」

「勿体ないね。恋愛って言いものなのに」部長は残念な表情となる。

「自分はただ問題なく仕事をこなし給料が貰えればそれだけで良いんです」

「そうか…なんか人生勿体ないね

しかし蓮は思っていた。

なぜ友達や恋人がいたほうが良いのか。

友達や恋人がいる人は本当にそれで満足しているのか。

むしろ周りに合わせているのではないのだろうか。

蓮は聞かれるたびにそう思っていた。

周りはそんな蓮を人間としてつまらない人と否定していた。

蓮は、なぜそう思われているのか理解できなかったがしかし別にどう思われようが気にしていなかった。

そして居酒屋を出た蓮がマンションに向かって帰っていたときだった。

「お仕事、お疲れ様です」

振り返るとそこには紳士的な男がいた。

「あのう、どちら様ですか?」

すると男は話した。

「あなたはなぜそんな人生を送っているのですか。私には理解できないし、ある意味こんな人生で満足していて羨ましい」

何を言いたいが分からないが馬鹿にされているのは確かであると蓮は腹が立った。

「一体何なんですか?」

「私は天使です。でも魔法使いのような存在でもあります。人の人生には常にいくつもの道が立ち塞がります。その道は選んだものによって幸福もあれば不幸もあります。人間はそれを繰り返していき、1つの人生が作られていくのです。私は自分が選んだ人間にもう1つの選択の人生を体験させることが出来ます」

蓮は何を言っているが分からなかった。

夜中の11時なのに男の話は続く。

「あなたは非常につまらない人生を送っている人間だと天使の間では一時期話題になって人気がありました。有名人でした。しかし時間と共に皆、あなたに飽きてしまい今では忘れ去られています。まぁあなた達の世界で言うならあなたは一発屋という所でしょう」

「あんた失礼だな」蓮は思わず怒る。

蓮は非常に腹が立った。

「あなたは高校に行きたかったですか?」

蓮は考えた。

正直な所、高校よりも会社に入りたいと思っていたし社会人として良い生活を送れていたから興味もなかった。

「このチャンスを逃したら今後、後悔するかもしれません」

――天使とかって痛いな、いい大人のくせに。

「分かりました。高校に戻りたいです」蓮は適当に返答した。

すると天使は手から七色の光線を放った。

気が付くと天使は消えていた。

「何だったんだ」

蓮は何が起きたが分からなかった。

「まぁいいか」

蓮はそう思いながらマンションに入る。

そして部屋の前に行き鍵を開けようと鍵を探すがなかった。

「落としたのかな」

鍵がなかったため大家の所に行く。

しかし大家が若く見え蓮は疑問を抱いた。

「俺、随分疲れているようだな」蓮はそう思った。

「その部屋には別の人が住んでいます」

「そんなはずないですよ。鍵をくださいよ。もう眠いし早く」

大家は怪しげな目で睨み付ける。

「どちら様が知りませんがその部屋の人は独身ですよ。もしこれ以上言うなら警察呼びますよ」

――この人なら本当に呼びかねない。

蓮はそう思い引き下がった。

どういうことだと考えながらマンションを出ようとした時、鏡を見たらそこには若返った自分の姿があった。

蓮は戦慄した。

「これは夢なのか?」

そこに光のドアから再び天使がやってきた。

蓮は目を疑った。

「あんたの話本当だったのか?」

「そうです。あなたが望んだことではないじゃないですか」

「天使ってほんとにいたんだな」蓮は驚いた。

「この世界は別の可能性軸世界でありあなたはこの世界の自分と融合してここに存在します」

「それじゃ本来の自分は」

「ここはゲームでいうデーターのような世界であるためこの世界の人間は生命のようで無機物的存在でもあります」

ふと日付を調べると8年前に戻っていた。

なぜこの時間にしたんだと天使に聞こうとしたがもういなかった。

代わりに光の紙が落ちていた。

それは家の地図だった。

地図を見ながら行くとそこには今にも壊れそうなおんぼろのアパートがあった。

「俺、ここに住むのか」

蓮は考えたがもし高校生だったらここに住んでいたと納得した。

とりあえず部屋に入って見回りは明日にするとして蓮は寝ることにした。

 

 

翌日、朝、起きて洗面所に行き鏡を見てみるとそこにはやっぱり15歳の時の自分がいて蓮は再び驚いた。

驚く蓮の所に光のドアから天使が現れた。

蓮は昨日の事を思い出して理解した。

「時間が戻ったのではなくここはもう1つの選択の世界です。つまりここはあなたが高校の入学を選択していたらの世界です」

「この世界で手に入れたものは記憶以外持ち込むことは出来ません。つまりどんなに友情を持ったとしても現実世界に帰ればなかったことになります」

「そうなのか……」

その時とてつもない恐ろしい事が頭をよぎった。

もしここがもう1つの世界なら蓮のいた世界には蓮はいない。

つまりその期間、無断欠勤をする事になってしまう。

「天使、すぐに元の世界に返してくれ、帰って会社に行かないと」蓮はすぐに帰りたいと頼む。

「ここは私と出会ってから次の日の朝の時間の間となっています。つまりあなたのいた世界の時はあなたが帰ってくるまで止まっています」

「そうか。まぁそれなら良いか」蓮は安心する。

「それに3年間はゆっくり休めるし。でも家賃とかはどうなる? お金元の世界の銀行にあるけど」

「心配しなくてもいいですよ。私が毎日、ご飯を置いていきますし、家賃もこっちで払います」

「いいじゃないかそれ」蓮は喜ぶ。

天使はさらにこう付け足す。

「今のあなたはパラレルトラベラーという存在ということになります」

「パラレルトラベラーか…面白いね」

「それでは心いくまでお楽しみください」天使は光のドアから帰って行った。

そして天使が置いていった光の地図を見ながら高校に行ってみる事とした。

登校するとそこには今まで見たことのないような建物をした高校があった。

そして知らない10代の若者がたくさんいた。

「嘘だろ。ものすごい気まずいだろう」

若返ったとはいえ社会人がここに入るのは勇気があった。

「ところで今日は何日だろう」

カレンダーをみたら4月21日火曜日だった。

さらに予定表をみると昨日入学式だったらしい。

「どういうことだなぜ1日ずらしたんだ」蓮は疑問に思う。

そして蓮の入る学校は優ヶ崎高等学校というチャレンジスクールだった。

その学校は記念すべきチャレンジスクールの第1号であり中学校で不登校や勉強についてこれなかった人を救済する学校であった。

そのため中学校の時、不登校などの理由で学校に行けなかった生徒がたくさん入学している。

さらに普通は3年制度だがこの学校は4年制度というのも特徴の1つであった。

蓮が教室で待っているとそこに先生がやってきた。

蓮は驚いた。

その先生は部長だった。

蓮は混乱する。

――これはどういう事だ、要するに部長はこの世界では先生になっているということか。

蓮は色々な可能性を考えていた。

昼休み、蓮は混乱して疲れていた。

スマホを取り出そうとしたら出てきたのはガラゲーだった。

なぜと思ったがスマホにしたのは20歳のときだからガラゲーなのは当たり前であると納得した。

「よぉ」

振り返ると純崎剛がいた。

「ねぇ君、どこに住んでいるの? なんの部活に入るの?」

めんどくさい蓮は適当に返事をする。

そして教室に戻ると「あの子可愛いよね」と男子達の声がした。

見るとそこには周りの女とは明らかに違うオーラを持った女がいた。

彼女は海野奈美であった。

周りの女よりも美しい彼女だがとても暗かった。

蓮は美貌の割に勿体ないと感じた。

 

続く