- 田辺 聖子
- ジョゼと虎と魚たち
この映画が好きで、DVDを買ったのに原作は読んでいなかった。
最近のハヤリの「世界の~」「いま、会い~」系の純愛と呼ばれているジャンルの小説は、本屋でわんさかとつまれているが、買うには躊躇してしまう自分です。(どうも、『ぜったい泣ける』というキャッチがついている帯の本は、まず買わないな~)なんだろ、気恥ずかしさというか、むずかゆいというか、何万人という人がおんなじ文章で涙する、というのも、なんか変じゃないか?
「ジョゼと虎と魚たち」は、上記の純愛ジャンル系小説とは一線を画していました。作家は大御所的存在の田辺聖子。(バリバリの関西人で、文章も関西弁満載でつづられています)
もちろん足の悪いジョゼと優柔不断な恒夫の設定は同様なんだけど、文章からイメージされるジョゼの印象が全く違う!
小説の表現では、「市松人形のような」精巧に作られた綺麗な顔&伸びた細い足といった表現。強がっても本音は恒夫に「いかんどいて」と、最後に追いすがるセリフ。昭和ノスタルジーというか、ちょっと少女と女の混じったような艶かしいエロスぽさを感じる。
映画は池脇千鶴がヒロイン役でなんか市松というよりも単なるあどけなさしか残らない顔だし、犬堂一心監督の意向なのか淡々としたロードムービー的な演出手法が前面に。いまの風潮を察して、ある意味ドライ&ファッショナブルにアレンジして、最後のエンディングもアレンジして追加しちゃった(2人で恒夫の実家にいこうとしたり、ホテルにとまったことなど)ようだけど、要らない要素だったのでは。。残念!!
ps;前の映画批評 では、かなり良いと言っていましたが・・
この小説は他に、妙齢な年齢の女心を取り上げた短編がざくざく、入っています。
自分を慕う年下の親戚の男の子との恋のカケヒキ「恋の棺」、関西女のしっとり&したたかな男性観「雪のふるまで」、妹が先に結婚した姉の動揺ぶり「うすうす知ってた」などなど。。
田辺さんは、いまは70歳を過ぎてますが、今どきの女性像を、うまく描きだしています。山田詠美さんもあとがきで、女の子だけが許されるというか味わえる醍醐味が田辺さんの小説にあると告白してるのも納得いきました。
この本を手にした多くの女性たちは、これらのストーリーのヒロインの誰かに当てはめて、ハッとしたり思わずうなづいちゃったりしちゃうんだろうな、と考えると私も思わずニンマリです。。