去年この映画を観たのだが、周りの観客があまりにも号泣していた人が多かった。自分も泣きたいのに、隣の人の鼻を啜る音で感動が半減・・という苦い?記憶がある映画ともいえる。

「北京ヴァイオリン」中国の田舎出身の天才バイオリニストである息子チュンと、彼の才能をなんとか認めさせようと奔走する父親の物語。 この映画では、親子の愛情がメインテーマで、感動要素がとても多いのだが、音楽のあり方や厳しい現実にも触れている。
映画の中で、父親がより高名な先生につこうとしてあの手この手をつくしたり、学校のコンクールで優勝するのは金持ちの子供であったり・・。
中国でも、お金や人脈がないと才能があっても芸術面で成功出来ないのは、他の国と同様。中国人の国民性かもしれないが、ストレートな欲望や感情表現もそれを加速させているような気もしてくる。

監督チェン・カイコー自身がチュンを指導する教授役で、出演するのだが、彼はチュンに言う。

「君の音楽には魂がある」(技術に長けている、ライバル役の女の子と比較をして)

「私は技術は教えられるが、感情は教えられない」

こういう言葉にも、監督の芸術感、音楽への深い思い入れが現れているような気がする。(現代の音楽界への批判もややこめて)最後にライバルの女の子とチュンを交互に、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲を弾くシーンを見せているが、明らかに人々を感動させるのは、チュンの音楽であるということを証明している。

と、ストーリーだけでなく音楽も丸々と楽しめる作品です。まだ見てない方はぜひビデオ・DVDで見てください。

ちなみに、英語版タイトルは「TOGETHER」。DVDでは英語の予告編が入っているのだが、日本語のものと比較するのも結構面白い。日本は感情に訴える、US版ではストーリー重視でこの作品をPRしていた。

タイトル: 北京ヴァイオリン 特別プレミアム版