先日の休みに、岩手の花巻に行ってきた。温泉で有名な場所だが、宮沢賢治の生まれた場所としても知られているところである。

宮沢賢治の小説は、「注文の多い料理店」や「銀河鉄道の夜」など子供のときにいくつか読んだことがあるが、私がちゃんと覚えているものは実は少なかったりして。。文章は、読みやすかったのだが、内容は言い回しが難しいところがあったように思える。

大人が読む童話としての方が、彼の小説の中の核となる部分~ノスタルジーのようなところがもっと共感できるところが、あるのではないかなあ。と。

 
今回花巻にある「宮沢賢治童話村」や「宮沢賢治記念館」など、彼に関する資料館や施設を色々まわって彼のバックグラウンドを知ったのだが、宇宙や森や海などの自然から、果てまた音楽・宗教まで幅広く知識を持っているのには、本当に驚いた。しかも彼が生きていた時代などはましてやネットなんか、無い時代。どうしてそこまで、短期間にいろんなことを習得できたのか、不思議に思えてならない。

彼の書いた小説の中に「セロ弾きのゴーシュ」というオーケストラのチェロ弾きが主人公になった話がある。チェロが上手く弾けないゴーシュが、毎晩彼の家に珍客?として現れる動物たちの相手をしているうちに、いつの間にか、チェロもマスターし、終いには本番で耳障りな曲と思って弾いた「インドの虎狩」という曲が観衆から大喝采を受けるというなんとも、痛快なストーリーだ。
この話も、私はちゃんと覚えていなかったのだが、記念館のパソコンで読みかえしてみると、オケの演奏曲やチェロの弦のことなど音楽的な知識もところどころ押さえてあったことを知って結構驚いた。(トロイメライを弾いてみて、なんていう節も出てくる。)

宮沢賢治は、実際にチェロをもっていて、しかもプロのオーケストラの人にも習っていた時期があったらしい。記念館には、彼が愛用していたチェロも展示されていた。どこまで弾けたのかは、謎だが、展示している練習譜を見た限りだと細かく書き込まれていてかなり苦労したんじゃないだろうか?

セロ弾きのゴーシュは、宮沢賢治自身がモデルだったといわれている。散々練習に苦労していて、「あ~、駄目だなあ」なんて思っていて、チェロがちゃんと弾けたらいいなあという思いが小説のヒントになったのかもしれないと思ったら、なんだかちょっと身近に彼を感じたりして。笑。

ちなみに「インドの虎狩」という曲は調べてみたが、実際にはないようだ。

ちょっとどんな曲だったのか、気になっている。


宮沢賢治記念館