昨日、テレビで「エンド・オブ・ディズ」がやっていた。2000年になるとき、悪魔がやってきて、世界を支配するというストーリー。そういえば、ノストラダムスの予言が一時期、もてはやされていたなあ。。と思いかえす昔が懐かしい。今ではそんな「悪魔」よりも「テロ」のほうが怖い。この映画では、悪魔が人間の男にのりうつり、様々な呪術を使ってヒーロー(なんと!シュワルツネッガー)を狙うのだが、ふと思い出した小説がある。



「真昼の悪魔」

キリスト教徒である遠藤周作が書いた、異色のサスペンスタッチの小説である。
ある医大付属病院で、謎の事件が続発する。患者が失踪、池に廃棄された実験動物の死骸・・日々退屈な思いを抱きながらも、大勢の患者たちを診療する一人の女医が居た。彼女はまるで「悪魔」にとり憑かれたかのように、罪がない子供や患者たちを悪の道に陥れ、自分の満たされない欲望を満たしていく・・
「悪魔」という形あるものではなく、「悪」という観念が、人間の心の中で巣をつくり次第にはこびっていく様が、とても怖い。この小説の中では「"埃"のようにそっとしのびこんでくる」と描かれている・・。
「悪」という心は誰にでも生まれるという怖さと人間の持つ「弱さ」を作家は、私たちに伝えている。キリスト教の「善とは?悪とは?」という重いテーマをこの作品ではリアルな私たちの世界に置き換えて問いかけてくる。

興味を持った方は、ぜひ手にとって読んでもらいたい。