沢木耕太郎。「深夜特急」を読んでから彼のファンである。まさに、私のような経緯で、沢木ファンになる人が多いのでは、と思う。これは、33の実在する人たちのエピソード集。普通の人々、中には有名人の日常生活を独自の視点で描かれている。野球選手や歌手の知られなかった日常で見せている素顔の部分は、決して派手ではない。でもその日常の中に、彼らのスタイルが存在していることを見出した沢木さんはやはり、秀逸な作家だ。
色々な話の中で、私は「ミッシング<行方不明>」という章が印象深い。ある父親から息子が旅行の途中で消息を絶ったという連絡をうける。自分の書いた小説が原因かということで、この息子の家族と奇妙な縁でつながることになる。。
どのストーリーも小説のようなエンディングはなく、永遠に続いていくような締めくくり方で終わらせるところが、上手い。
今後の展開は、読み手に任せられているところ。事実は小説よりも、奇なり。なのだろう。