映画やテレビを見る暇がちょっとなくなってきている。だが、会社の通勤時間には、本(小説)は読める。ので、最近記憶に残った小説について、今回は書くことにする。石田衣良の「娼年」(文庫版)
この作家は、ドラマにもなった「池袋ウエストゲートパーク」の小説を書いたひと。恋愛モノ~社会問題・バイオレンスまで幅広いジャンルのテーマで、ヒット作を連発している。私も、「娼年」と「1ポンドの悲しみ」の2冊しか読んだことはないが、男性作家にしては、女性的なやわらかい筆致の印象だった。
「娼年」はまさに言葉のとおり、娼婦と少年(青年くらいの年齢なんだろうけど)を掛け合わせたもの。20歳の大学生がある日、謎の女性と出会い、男娼の道に踏み込みはじめる。そこで、相手をするさまざまな女性たちと接することで、彼女たちの「身体」だけでなく誰にでもある「心の闇」や「生き様」を見通していく・・。
非常に興味のそそられる、妖しいタイトル。ややもすると、下卑た表現に陥る官能的な表現までもが、非常に文学的・芸術的に描かれている。まったくのエロさは感じさせないのは、作家の中性的なキャラのせいかもしれない。
この作品が映画化するとの話なのだが、主人公はもとより売春倶楽部の謎の女性オーナーを誰が演じるのだろうか?映像によって内容を表現するのは、非常に難しいと思うのだが。