目が覚めたら、涙が。





ユメカガミ



自分を泣かせる人間がいたなんて。



涙が出たから目が覚めたのか。


それとも、泣くのが嫌だったからなのか。


もう、声を思い出すこともできない。


顔さえも浮かべることが出来ない相手。


けれど夢に出てきた、ただそれだけで


涙が零れた。


夢の内容は全く覚えていない。


でも、あなたが出てきたことは覚えてる。


どうしてコレほどまでに


私を揺さぶることが出来るのか。


もう二度と会うことなんて出来ないのに


あなたの姿を写すものはないのに


その姿を見れば、あなたがダレだかすぐわかる。


声も、顔も浮かべることなんて出来ないくせに。


夢の中で


夢の中でなら


あなたの姿が見える


まるで自分が鏡になったかのように


私はあなたを写し出すのでしょう。


あなたはまだ私の中にいるのですか。