ある日、突然誰かが
1番強いのはダレ?
なんてことを言い出した。
カラフル
赤 は思った、情熱的な自分はじゅうぶんに強いと。
青 は思った、空と海を象徴する自分の包容力を。
オレンジ は思った、太陽のような自分の輝きを。
黄色 は思った、未来や希望を表す自分を。
紫 は思った、自分の高貴さと独自性を。
緑 は思った、安らぎを与える穏やかさを。
灰色 は思った、自分は平坦ながらも安心感を表すと。
茶色 は思った、落ち着きのある安定感を持つ自分を。
けれど誰しもが、敵わない相手がいる
自分は負けることがない相手がいると
感じていた。
黒 は知っていた、圧倒的な自分の暗さを。
白 は思っていた、自分は消えても
誰かの一部になれると。
自分はその中に残るのだと。
ある時白が
黒の中に交じって消えた。
白はそれで満足だった。
一方、黒は自分が
完全な暗さを失ったことに気づいた。
そして、それが可能なただひとつの
モノに気づいてしまった。
その時から、黒と白は
互いを照らしあうモノとなった。
それでみんな気づいた
1番の強さなんてありはしないことに。
そんなもの必要がないことに。