来年高校受験の娘と
十歳になる息子
連れ添って二十三年の妻。
6年前彼らを地元に残し上京。
音楽と仕事を両立する為に野望に燃えていた。
ずっと仕事をくれ支え続けてくれた元請けさん。初めての音楽事務所。
大成功とまではいかなかったが
様々な出来事が頭を過る。
自分勝手に生きてた中で何人もの大切な人が、目の前を去ったこの6年。
知らなかった自分が溢れでてきた。
野望と不安と絶望の繰り返し。
この知りもしなかった街で、そんな俺を笑顔と楽しい時間で支えてくれた友人や人生の先輩達。
仕事関係しか知り合いがいなかった始まりから6年、今は沢山の愛したい仲間がいる。こんな出会いがあるなんて思いもしなかった。
けどその間俺をずっと待っててくれていた家族。
帰る約束をしてからもう10ヶ月目。
一年なんてあっちゅうまと思ってたけどあまりにも早過ぎやないか。
寂しい。
強烈に寂しい。
あと半年を過ぎた頃から
日増しに込み上げる寂しさ。
この寂しさの量がどれほどみんなが好きで幸せだったとゆうことか。
人を想う気持ちに順番なんてつけたくない。もちろん家族との時間を大切に思っている。だからこその踏ん切りをつけたんやが。
あと2ヶ月ちょっと。
俺を想い泣いてくれる先輩。
兄貴と慕ってくれる仲間達。
誰かが誰かを想い
喧嘩したり泣いたり笑ったり。
この街はめんどくさいと言う人もいた。
けど俺にはそれ以上の良さがあるように思えた。
今は毎日のように
数々の場面が浮かび泣けてくる。
ひとりの時間が多いからかな。
やっぱり今は音楽は出来ない。
残された時間を彼らと共に過ごし
精一杯愛してから、胸張って地元に帰りたい。
その分来年から
寂しい想いをさせた家族と
また素晴らしい時間を作りたい。
仕事もまた一から出直し。
そして今までの構想を全て封印して
宏樹と
ミズトと
裕介と
仲間と
ずっと応援してくれるみんなと
創り上げてきた
音鬼
第三期を始める。