救急搬送が増える厳寒の夜。

 

 

 

 

 

 
 
 

 

 

 

搬送が遅れてたら危なかったね。



CTの画像には、くっきりと輪郭まで解るな。

 

内科医の所見でも大動脈解離、この患者は下行大動脈の解離が始まるⅢb型。

 

 

胸部のレントゲン写真、本来なら大動脈は映りづらい…というより鮮明に映らない。

 

この患者さんの画像は、明らかにそれと解る輪郭まで見てとれるほど。

 

 

通常は、しなやかで弾力性に富んでいるのが若い人の動脈壁。

 

きっと長年の高血圧による影響、つまり加齢のためにと考えるんだが。

 

かなり高齢の患者さん独り暮らし。

耐え難い激痛だし辛かっただろうね。

 

 

そうした動脈硬化と伴う高血圧が引き起こしてしまう『大動脈解離』の特徴。

 

 

 

臨床検査技師からの検査結果も確認してるけれど。

今夜の態勢では緊急手術も無理だから、異常な血圧の高さを緩和したいと思う。

 

内科的な治療が行われているところ。

 

とりあえず心臓血管外科のドクター(医師)にも連絡したところだし。

 

 

 

こうして血圧を下げていけば、まず患部の解離を抑えていけますからね。

 

血管の偽腔にある血液を固めながら、膨れ上がる状態を緩和しながら処置する。

血管って、あんなに細いのに3層からなる構造なのです。

その層との隙間ができて血が溜まる動脈瘤に変化。

さらなる層が乖離して膨らみ薄くなる箇所になるでしょう。

 

それが破れたら大出血ということ。

 

 

 

 

なんとかこれで痛みがとれてくれれば。

 

(普通の治療なら早ければ一ヶ月ほどで、退院してもらえます。)

 

 

CTの画像で左の胸腔に溜まる血液の様子が解る。

 

 

通路でストレッチャーを押していた緊張から … ひと息ついた。

 

指導医について習熟に励む頃は、漠然と受け止めていたが。

実際に過疎地の総合病院に搬送されてくる高齢の重症患者も頻度が多い。

 

研修医の頃は、なんでも目まぐるしい処置室の動きに翻弄される自分がいたけれど。

 

研修期間も外科とか志すと長くなる。

 

 

 

 

それよりも医療の現場は、新しい発見ばかりだ。

 

医師は横柄な人はいないし(身内養護の意見?)個性ありすぎるし(変?とかいえない)、患者の家族も複雑?(困らせる)な人はいる。

 

同期も小児科や婦人科、泌尿器科みたいな大事な分野なのに目指す人間は少ない。

増える頑迷な患者とのトラブルから、医学の最高学部まで進んだ自分たちが法廷闘争に時を失いたくない。

…正直な感想だろう。

 

あの頃、地方こそジェネラリスト(総合医療の)が必要だと叫ぶ人達も年月に揉まれ消えた。

 

 

 

それと同じように生体認証並みに?

 

症状は同じでも厳密に言えば、 誰一人として同じ体質も症状もない。

 

『まさしく患者(傷病)との一期一会だな。』

 

 

 

まあ驚くほど高かった血圧も130から…さらに下降して安心できるね。

 

気のせいか、患者さんの表情も穏やかになってるようだし。

ナースは優秀だから気が休まる。

 

最近かなり寝不足なので、外来にいると暖房もキツいから眠気が。

寒い時期の体調管理に気を遣うよ。

 

 

血圧だけ異常に上昇する症状に、珍しいけれど原発性アルドステロン症などもあります。

 

けっこう痩せ型だとか、普段思い当たる節のない人も検査すれば解る。

 

それは体内の副腎に腫瘍が出来ることで発症するんですが。

近頃、ゆっくりと増えています。

 

 

ボヤキともども、今度にしましょうか。

 

 

そんな治療を担当したり院内での仕事も煩雑になるから、たまに客観性の高い自己観察を兼ねてシチュエーションごとに独自の診断ルーチンのようにチェックを行うといいってアドバイス。

 

 

大学病院にいるのと違い、僻地や地方診療に携わると、どうしても仕事に追われて自己のリスクマネジメントも甘くなる傾向があると先輩医師が励ましてくれたっけ。

 

 

お互いに切磋琢磨している気風を感じた学生時代も懐かしい。

理想論って正直なところ重荷になるもの。

 

コーヒーブレイクさえ惜しんで研究していた仲間も去年結婚したよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンファレンスのモニターに照らされる互いの顔が近づく…

昔のシャーカステンは蛍光灯仕込みだったが、現代はモニターになる。

 

 

内部に縦隔(大動脈の)あたりの僅かな出血があるかもしれないけれど。

 

こうした症状の患者さん、それも高齢ということで予後の状態が悪いのが普通。

 

(かなりの確率で後に大動脈瘤の破裂という結果も)

 

 

手術となれば、少なくともこの病院では、オペは難しいだろうね。

 

 

 

ER、つまり救命救急センターでは、早く症状を特定して、より専門分野の医師や設備ある医療機関に搬送するなど、処置と判断のスピードが重要です。

 

 

 

ようやく夜中になって家族も到着したようだし。

 

動脈硬化が酷いが、出血が治まってるようだから、モルヒネを投与して今夜は安静に処置室で眠ってもらいます。

 

 

患者さんの場合、手術に体力がもつかどうか、いつも問題はそっちかな。

大きなオペも70代以上だと侵襲による負担から忌避するものなんです。

 

 

心臓血管外科の医師も高度な手術に挑めない理由はあるんです。

麻酔科医も熟練した人にいてほしいし。

 

皆さんの想像よりリスクは大きくて、手術って簡単に踏み切れないんです。

 

 

家族の希望次第ですけど、明朝は県下の大学病院に搬送されることでしょう。

 

 

大丈夫ですよ心配ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家族さんもデイルームでよければ、毛布も用意させます。

 

 

もうすぐ朝になりますね。

 

 

 





 

 文中に間違いを多く含めました。探してみてニャ?。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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