あの日の風景は何処に消え 
 
 
そんな眺めからは?穏やかな印象を受けますが?
 
 
きょうは天候が荒れ狂う大嵐の只中です。
また能登に滞在してますが、春の花の季節も近いのに寒気と波浪。
ほんとに雪こそ降りませんが今年は荒れている厳しい環境ですね。
 
先日までが救いのような天気。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今年の元旦に発生しているアースクエイク
 能登半島地震 2024 
 
奥能登でも最大級の漁業拠点が突然の地殻変動に破壊され既に数ヶ月。
 
 
半島の東岸にある珠洲市は深刻な津波被害に襲われ。
そして北部から西岸に至る広範囲に起きた破壊的な地殻変動と史上初の異常な隆起に市町村は壊滅的な被害。
 
 
 
 
 
 
 
 
否応なく能登半島全域に及んだ地震の影響です。
 
この地を知る地元の人々すら己の目を疑う変貌した自然環境、災害に伴う最大の特徴は 海岸部地盤の隆起!!
 
襲う津波よりも甚大な被害を与えた異常現象の顛末に住民も悲嘆しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
写真の様に水深不足でフロートが吊り下がり強固な防波堤が亀裂だらけ、視れば誰にも一目瞭然。
 
天然の岩牡蠣が付着した位置は水面の下でした、さらに干潮時に低くなる水位の違いに陸地が動いている痕跡が。
 
整備された港湾内が極度の浅瀬に変貌した事実。
 
 
 
 
 
 
 
 
湾内の海底地形が不均一な歪さに隆起の可能性。
弊害として起きた水深の変化で、どの船も身動きを封じられてしまいました。
 
当初、未体験の激震で大被害。それでも津波を避けようと沖合に避難させる筈が潮位が問題で港から動けない漁船。
警戒した津波こそ大被害を免れましたが?。
 
問題の元凶である隆起が船舶を行動不能に追い込み、極度な海面低下から大津波を覚悟した漁師も想定外のこと。
 
結果として海嘯の規模は過小な範囲、多くの船も波による破壊は免れます。
幾度も味わった過去の震災体験も役に立たない程の恐ろしい揺れ。
 
暖冬の穏やかな天候と裏腹な、次第に闇が訪れ周囲がパニックに陥る中でも懸命に助け合い無我夢中で対処は続きました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
閉じ込められた港
 
不意を突かれた激震で死を覚悟した心理に追い込まれ。
 
震災直後に家が損壊し傷付いた家族、助け出し非常事態にと現場に走るだけで精一杯。
自らの船も底付きで立ち往生、これを強引に動かすと即座に座礁してしまう危険性。
 
もちろん危険を顧みずに作業を続けるしかない。
津波の恐怖が脳裏を掠めても男達は戦った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これから先に何が起きるのか?老練な漁師ですら経験値でも判断し難い破壊される情況に陥った港湾内。
 
もちろん国際社会から経済など全般に関したグローバリズムに即応した思索と分析力の高さが現代の漁師というスタンス。
再建と後継者の育成や家族の保護まで多様なビジョンを感じます。
 
野心の無い武骨で大らかな人が多い能登の男性。それでも様々な計画や戦略を練っていることでしょう。
 
 
同時に近隣の町が阿鼻叫喚という巨大地震の影響である信じ難い被害が目前で起き伝わる度に削がれる意志、風土に鍛えられた屈強な男も蒼白になりそうな絶望感と記憶すら霞む鳴動が能登沿岸を一変していくのでした。
 
 
さらに港で大小の規格で密集しているが故に漁船同士が動きを封じられ、小舟すら転舵も不能になり港から出られない。
 
規則的で整然とした並びに対してもフリーズを余儀なくされていますが。
 
 
 
 
 
 
 
 
誰しも立って歩くのすら困難な揺れの夜を明かし、訪れた朝の救いどころか漁協の水揚げ場所も冷凍庫も大破し周囲の陸地も破壊され業務再開のメドすら立たないまま無念の春を迎えた輪島港。
 
 
輪島市だけでも100人を越える死者の大半が家屋倒壊に於ける残酷な圧死という悲惨さ。
 
頻発した余震に怯え、時だけが虚しく流れ去り。
混乱した当時から瓦礫を片付けても追い付かぬ廃墟の風景と烙印の如き爪痕だけを残して。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
以後も調査と支援の専門家を交え各方面の協力と努力が繰り返されていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
本来ならば津波の異常な潮位に多くの漁船がダメージを受けた上に港を失いかねない。
 
それだけは免れた海岸線
 
 
 
ところが北部の地震被害に対し、一部を除いて船舶被害は最小限。
港湾施設の能力は守護の要として生かされた。
当時も不確定ながら情報が入るほどに困惑と落胆を煽る停電の闇、晴れた天候に放射冷却され鋭い寒さが肌を刺す。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いま現在の取り組みは?
 
整理しても漁船が動かないと浚渫すら無理。
どうしたらいいのか互いに接触しそうな距離。
解決策を求めると如何にして船体を浮かせるか?
水深に対して船底を離すため軽くしようと作業に乗り込むと人間ですら余剰なウエイトで、より浮力を得ようと船舶から重量のある網やロープなど降ろして僅かでも軽くし浮力を上げる試みに。
 
こうした漁業に使用するロープは長くて桁違いに重い。
 
誇らしい大型の漁船ほど積み荷の影響で海底に干渉してしまう。
 
苦肉の策となる軽量化対策で少しでも浮かせれば効果が上がるかもしれないでしょう。
 
隙間を作り、そこに浚渫など行うしかありません。
 
船底やスクリューが少しでも海底に接触しない様に繰り返すテスト。
単体でも高価な漁船を活かすには知恵が必要。
 
寒風の只中で試行錯誤が続く輪島港でした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
もう数ヶ月も経過して漁場に行けなくなった船舶。
 
生活の糧である海の仕打ち、土地からも避難によって人手が足りない、ようやく電力も燃料も取り戻せたというのに人影も消えた輪島港。
 
近年、漁獲量も激減し人員の慢性的な不足と今後に悩んでいた地元の苦境。
 
さらなる悲しい経験は初めてでしょう。
 
 
 
昔のように勇気や勢いだけでは海に出れません。
 
近年の環境変化による漁業資源の枯渇も問題視。
地震が海に与えた影響が未知数な為に手探り、いままで知り尽くした海域が調べようもない別世界になり地元漁民も意気消沈。
 
悲惨な光景として間近の門前町には、防波堤の先まで干上がり海ごと消えた小さな港が点在。
能登半島の全域で出漁出来ない事態が続けば、当然ながら漁業資源の増減も変化の対象となります。
 
 
近年、よく沖合いで目撃されたというイルカの群れや小型のクジラは?どうなったでしょう。
鋭敏な野生動物の直感で海域を去ったなら、もう魚の群れを追いながら戻る頃かもしれません。
地震被害の前に動向や生態に変化も観測できたはずです。
そこまでは地元も余裕が無かったようですね。
 
 
 
 
 
春の日本海、沖に出て海底を覗いたことはありますか?。
 
どこまでも美しい横顔でありながら底無しの不気味で静かな水平線が逆鱗の如く大時化で荒れ狂う二面性を秘める。
 
 
こうして人間活動の停止により、プラスに転じるかマイナスに陥るのか?自然の恵みこそ不明瞭なまま。
 
数か月の経過時間では、安全確保や見通しは立たない。
全国からの尊い支援があればこそ再生は叶います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
未曾有の体験に戸惑い失望や失業する漁師さん達には、親戚に助けを求め家族の為にと遠方に一時避難した人も。
家屋倒壊で重軽傷を負い総合病院に収容された患者も他院に緊急移送されて久しく、市内でインフラ再建の中心は病院機能などの復旧と電力や水道の整備に圧倒的な尽力が注がれている状態です。
 
 
 
能登エリア、同市では震災の死亡者数が最悪のケース。
 
三月も終わりが近づきながら、凍える指先で守ってきた素朴な伝統と閉鎖的な因習にも根差した定住型社会の典型、過疎と言われる農村も漁村も家屋敷と家庭を守ることを大事にしていることが伝わってくるライフスタイルの生命線。
 
 
今回ほど悲しい喪失感の痛手は大き過ぎる重圧。
背負う苦難は去らず次第にPTSDなど苛まれながら疲労感の隠せない地元へのケアを考えます。
 
いま崩壊した能登の漁業に限らず始まって以来の損害と人身が危機的な情況に翻弄されています。
圧倒的に不足した人的パワーを痛感する市民。
 
復興の背景となる政治や国内経済が不振な現在は、いずれの被災地よりも再建が困難な時代といえるでしょう。
 
 
故郷を愛することに尽きる想いのチカラが必要なのです。
 
より深く分析し必要な思考の転換や自然環境に学ぶことが再建を促進し最善の未来に繋がるでしょう。
 
 
 
賢人は、闇の中でこそ奮起するもの
 
 
 
 
 
 
 
 
 
環境の不思議さも
 
こうした港湾内には、夜になると沖から様々な魚たちが人知れず産卵したり漁船の下にある穏やかな環境で営んでいるサイクルもあります。
 
私も観察していたら、昼間にも関わらず?とても大きな魚影をいくつも見ました。
 
 
もしかしたら、再開する頃に今後の福音として蘇った豊かな漁場が待っているかもしれません。
 
大津波の被害でなかった代わりに隆起で動けませんが、受け継ぐ財産であった大切な船だけは残されたんです。
 
それは永年を海で糧を得てきた御先祖が守ってくれた奇蹟なのかもしれない。
 
険しい情況に苦しむ人々ですが、港も船も流されず次の機会に向けてチャンスが残された希望です。
 
変貌した風景、沿岸部に起きたドメスティックな環境変動。
それでも私なりに、希望は残され決して悪いことばかりでもないと思っています。
 
 
 
信じて戦い諦めずに出漁する日が訪れるでしょう。
 
起死回生の挑戦が報われることを祈っています。
 
人間も含めた生命のサイクルこそ永劫に育む大海原の奇蹟なのです。
 






 
がんばってください能登半島
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

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