我が漠逆の友？である前田慶次郎殿の風流を物語らねばなるまい。
北陸は加賀の国…金沢城下。
前田家中には前田利家公の甥という武士がおりました。
なにせ、自嘲的に己を傾奇者（かぶきもの）と名乗るほどの変わり者。
（傾奇く・・ など、武士どころか 巷を徘徊する野卑で粗暴な与太者の如き烙印）
醜欲と見栄が渦巻く世相に反旗を翻す無茶な男でございます。
強さの名と引き換えに あまりに多くの命を奪う己への戒めかも。
まあ傾奇者（かぶきもの）などと名乗ろうと武芸の極み
戦功は数知れぬ 武勇の誉れ高き大豪の武将でありました。
華麗で豪奢な生き様を知らぬ者など天下におるまいという剛の者。
そんな加賀城下、武家の家中一統による『馬揃え』が行われることに。
いざ戦支度には欠かせない軍馬の飼育や錬度 つまり健康状態。
自慢の馬を引き連れて参上する慣わしでありました。
金工や漆芸など優れた工芸の職人技も名高い金沢城下
秀でた馬具の細工は国中よりも優れております。
いずれの馬も見事な毛並み。 愛馬には豪華な装具を纏わせ
どの武士も 見よ ここぞとばかりに競いあいに馳せ参じる念の入り用。
次第に 戦も減る時世に 武士道も意味を失いがちな印象。
かといえば、慶次郎は、渋めの黒染めにした粗服を身に纏う姿。
目立つ馬？どころか一頭の牛の背に跨って堂々と入場してきました。
どの家中も気合と精進を込めた馬を品評するかの場所柄
その慶次郎の姿を見た人々は、いずれも呆れ返り開いた口が塞がらぬ。
『いかに慶次郎殿といえど、馬揃えの場に～牛などに乗って参るとは、
なんとも人を馬鹿にするにも程があるであろう！』
殿（前田利家）の甥子であろうと、怒りにまかせて家臣達は
早い話しが 自慢大会？ここぞとばかり 口々に罵しった！。
すると慶次郎は、ゆっくりと冷静に口を開いた
『なにぶん我は、小禄（軍功はあれど報償は僅か）の分際であるゆえに、
馬（見栄えのいい バイクまで）を飼う余裕がないのでござるよ。』
『よって、屋敷では 牛（遅くて 安いバイクとでも？）を飼うておるのだが。
馬同様に用にさえ立てば、たとえ牛馬であろうと違いはあるまい。
では！ひとつそれをお見せしよう。』
まさしく正直、真剣な顔での慶次郎の口上に、囲む一同は絶句。
大男の慶次郎が、ひらり～と牛の背に飛び乗って
一鞭を加えるやいなや！ 牛は場内をところ狭しと縦横無尽の疾駆！。
脚の速さ機敏さは馬にも劣らず 疾風か韋駄天の如し。
慶次郎ほどの腕前で手綱をさばけば、いかなる駄馬も
いやいや 牛であろうと名馬に負けぬ走り。
涼しい顔で走り去ると さすがは前田慶次郎である！
（殿に忠義を尽くす 戦人ならば、誰しも見習わねばならない手本である）
その評価に思い知らされ 皆、悔しがり舌を捲いて驚いたという逸話。
たとえ誰であろうとも、大切なファクターは扱う人間の器量である。
慶次郎 彼を伝える資料は僅かだが、知れば知るほど面白い男。
余程に周りに妬かれたのか、敵わぬ輩の誹謗中傷の証か。
正史を歪曲させてまで消そうとした痕跡。
悪党が 政権まで背後から操ろうとする現代にも照準が合う。
変わり者？ というより 変える男” 変革者の威風あり。
それは平然と権威を凌駕？するような、
かといって無謀とは思えない 計算づくの機知が感じられる人柄。
安土桃山時代、先進的な男とは正しく彼を指す言葉。
（スマホ覗きが日常で、己に目指す明日もない現代人とは比較にならないクリエイティブ資質）
世に出でて生き抜き 自由の代償を よく知りたる男。
しかし、こういう御仁には 等しく被る難儀も心地好い風。
知恵と胆力” と容易き言葉では到底計り知れぬ御仁でありました。
すべての自由はプラスに昇華する生き方を学ぶべし！
傾奇（かぶき）ご免！！ 
ｃｌｉｃｋ
死すらも日常の時代ならば・・ 弱腰で他力本願
言い訳がましい現代の若者は スマホを覗き込んで死んでいるな。
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