天然のリアス式海岸は美しい最適の環境であり、古代から人の営みがありました。
護衛艦が寄港する海上自衛隊の拠点である舞鶴補給基地は湾内の広大なスペース。
北 吸 桟 橋 (艦艇)での見学は、土日祝日のAM10:00から PM3時までです。
そろそろ時間ですね、見学入り口で自衛官のお兄さん達がゲートを開ける準備中。
私も並ばせてもらい…振り返ると赤レンガ倉庫付近にまで長蛇の行列が続きます。
舞鶴基地の見学ツアーは、老若男女にも大人気のようですね。
(左の建物は基地内のお土産品コーナーで、PXじゃないですよ。)
目の前の桟橋に接岸しているのは最新鋭のイージス護衛艦DDG あたご。
非日常の不思議な光景でありながら、楽しげな関西のおばさん達はエンジョイしてます。
サミット間近で厳戒態勢なんて感じさせない自衛隊って愛されてますね。
一般見学者は、若い自衛官さんから番号札のネック・ストラップを渡されます。
(編集で番号を消しちゃいました)。
若い女性もいっぱい参加していて海自の艦艇ってファン層が幅広いです。
海面に反射する光でキラキラと船体が煌めく様は穏やかです。
現代の護衛艦らしい平面構成で突起の少なさが特徴的なステルス性。
先行して配備されてきた こんごう型護衛艦よりも細部の性能向上を果たしています。
脅威となる弾道弾への迎撃ミサイル発射能力が強化されて高いスペックを誇ります。
米国が一部の同盟国にしか提供していないイージス武器システム(AWS)を搭載。
性能諸元 全長165m 全幅21m 重量は7700㌧
世代が変わり電子戦を想定したステルス性能を獲得すべく研究や建造費は経済を圧迫。
いまでは武器の数も整理され表面から獰猛な戦闘兵器という印象は薄れました。
しかし防衛面では競争”とも呼べる熾烈な開発が行われています。
かつて大戦中に英国が画期的なドレッドノート級戦艦を投入し世界の艦船は激変しました。
(弩級…ド級戦艦と呼ばれる砲塔や艦橋のレイアウトをした大型艦のことですね。)
近年、アメリカ主導で配備されたイージス艦も特異なシルエットと驚異的な性能差を提示。
いまだに優位性の高いイージス艦ですが、世界も次々と進化した実験型ステルス艦艇を開発。
新鋭艦DDG あたご のスタイルも今では見慣れた感を隠せません。
それでも1隻の調達費は約1,500億円という高額が必要な防衛の時代…。
あたご 型の護衛艦は、前身である こんごう 型護衛艦よりも性能向上がポイントです。
心臓部にはゼネラルエレクトリック社製のLM2500ガスタービンエンジン4基を採用。
既に従来の出力を上回る性能と機動性を獲得しています。
(IHI石川島播磨重工業のライセンス生産で対応しています。)
5翼のスキュードスクリューを高速回転させ大洋を進んで行くのでしょう。
米国イージス艦は、こうした露出したミサイル発射管は4連装。
通常はハープーンなどの長距離対艦ミサイルが装填されていました。
海自では調達コストも安定した国産の90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を装備。
必要にして十分な専守防衛の理念ですが、固体燃料ブースターとターボジェット併用。
発射はホットローンチで、慣性航法装置で狙う標的へ飛翔速度1,150Km/hで到達。
どこか遠慮がちに聞こえますが、命中精度と破壊力からは簡単に逃れられません。
なによりイージス艦の主装備は甲板に格納装備したVLS(垂直発射装置)のミサイル主体。
外観からは見えません、何セル(ミサイルの単位)搭載されていても平和のためです。
米国製はスタンダードなどですが、これも日本はシースパローなど国産優位。
悪意を退けるためにやむなく使用することがないように世界平和のカードは重要です。
写真では、下側の甲板脇に設置された魚雷発射管。
自衛隊艦艇では68式3連装短魚雷発射管HOS-302を相互に3連装をセット。
決して武装で驕らず最小限でありながら質の高い兵器の運用が自衛隊らしさでしょう。
一見すると、武装など殆ど無さそうに感じる現代のイージス艦などミサイル艦。
戦闘機同様にシールドされた格納式が主流だからです。
主砲に至っては、127mm62口径単装連射砲(Mk45 mod4)が一門だけです。
これも戦闘指揮所(CIC)から遠隔で発射制御の百発百中という性能。
高機動性を主体とするイージス艦などは、軽量化で装甲が薄く表現すると華奢な身体?。
意外かもしれませんが、現代の兵器で巡洋艦に相当する護衛艦は接近戦に脆弱なのです。
超兵器で武装しながら、大戦時の戦艦の様な無骨さや砲塔の数は目立たない姿。
得意とする戦術は、ロングレンジで長距離から攻撃オプションで敵を沈黙させること。
巡航速度は30ノット級でありながら、大昔の砲弾一発でも命中すると被害甚大。
いまは…そうした時代なのです。
護衛艦 あたご
海に囲まれた私たちの国で安全確保は急務。
より一層の海上行動に於ける安全意識が求められました。
あくまでも運用されるのは兵器なのです。
お互いに、高い安全意識と技術を磨いていくことが自然であります。
誰もが守りたい気持ちはひとつと信じています。
平和を維持するために自衛官が負う至誠と努力を知るだけに応援させていただきます。
こんごう 型なら積載と給油など単純メンテですが、
あたご 型では艦でヘリコプターを運用し格納するドックに若干の延長が図られています。
また米国のアーレイバーク級巡洋艦よりも艦橋などの構造物が大型化しています。
遮浪甲板船型としての設計も優れた内容が施されています。
対潜能力もあるSH-60などのヘリコプターを艦載機として運用できる利便性。
もちろん救助活動にも対応可能であることの素晴らしさ。
そして艦橋の前部と後方の格納庫上に用意された白い楕円状の物体?
これは対空防御の最終手段となるCIWS”高性能20mm多銃身機関砲です。
世界のさまざまな国家(日本も)が軍事費のコスト削減や効率化のために
COTS”(コマーシャル オブ ザ シェルフ)に注目し導入しています。
ライセンス生産などで販売やリースされる技術などを無駄なく運用する知恵ですね。
正体不明のテロリズムが横行する世界、そして繁栄に驕り高ぶる先進国経済の翳り。
未だに武装を捨て去ることが出来ない悪循環を拭えません。
孤立無縁な島国…という真実があるから国際平和に貢献する意味も深いのです。
望まない戦争、不当な暴力から国民の生命を守るという意識に新しいも古いもない。
国民は傍観して無思慮に反対するだけより、いますぐ身近に出来る行動があるはずです。
こうした艦船は正面に出て孤独な海で盾”になりながら苦闘しています。
ごく一部の人間の過ちや団体の悪意を世の中すべてと錯覚させられないために。
私たちもまた守られるに相応しい考えと暮らしをしていかなければ平和は消え去ります。
戦争しないために武装しなければならぬ矛盾。
守るべき国民の心の乱れや退廃的な社会思想の蔓延。
病に苦しみ治すのも自分自身。 そんな逃げ出さない意志が集まれば…
100年後に世界から戦争は無くなっているかもしれません。
だからこそ私たちは安穏と繁栄を貪り争うことを唾棄しなければならないのです。
国家”という意識は家族”と同じです。
守られるべき国民の退廃した意識から汚職政治は生まれました。
いま一度、平和を享受するに相応しい人間として立ち上がるべきではないでしょうか。
平和こそ受け継がれる共有財産なのですから。
隣人である自衛官の心が迷い無く救済に専心できるような社会。
彼らの人間性を蝕み盾にするような人間ではならないと感じました。
不可視(見えない)の手を繋ぐように共に至誠を貫いていきましょう。
強い心を失わなければ護衛艦も平和の使者(ピースメーカー)であり続けるのです。