富山城址公園



   神通川の水量を防御の要とした地政学の見本とも言える天然の守り。

   越中の地を拠点としたい神保長職が築城したのが始まりという富山城に訪れました。

   いまは濠の跡に水を湛える美しい模擬天守は、複合連結式望楼型三重四階の構造。






     安土桃山時代を発祥とするこの地は軍事拠点として幾多の合戦を繰り返し…

     江戸時代には、前田家の居城として13代に渡り栄えました。

     当時は城の規模も最大で、本丸を囲むように濠を巡らせていたといいます。

     二の丸、三の丸、西の丸、西枡形門、大手門、東枡形門などが広大な敷地を占有。

     明治維新後は、解体され周囲の都市化により栄華の痕跡すら見えません。



     復元された本丸大手枡形、そして富山市郷土博物館は模擬天守に設けられています。






     その天守閣の内部は、『富山市郷土博物館』になっています。






     ここから入場(入城)してください。  大人は210円を支払います。






    メインの展示フロアは2階から、千歳御門鬼瓦が飾ってあります。

    前田家の梅鉢の紋、釉薬の感じも間近で見るとよく解りますね。

      (千歳御門に使用されている瓦は2925枚、重量は8,6トンにもなります。)






    軒丸瓦や平丸瓦を交互に組み合わせた瓦葺きの技法も詳しく解ります。

    武骨な機能一辺倒の瓦から、雪国の気候に耐えられる美しい外観の瓦を工夫。






     富山城の系譜…その歴史を学びましょう。

     戦乱で荒れた城址、近世では前田利長が入城して城の本格的な整備が始まります。

     佐々成政の没後、加賀藩前田家から領国として検地と開拓が進みました。

     幕府の命で独自の藩体制となり、明治までの永きに石高を上げて富める地に。 

     埋没した層の発掘調査で解明した情報など多様な展示品が伝えてくれます。 






     天下太平の世、殿様とて…ほとんど鎧など身に付けない時代なのでした。

     重量級の武具や甲冑も必要性が無くなるほど江戸時代は安定します。






     その戦乱からの歴史、開城から廃城…そして現代への道を示す展示品と資料。

     越中の刀鍛冶に造られた見事な刀剣や火縄銃など興味深いですね。

     これは優れた命中精度だったそうですよ。

      (日本は戦国時代、生産された銃の保有量は世界でも有数の数だったそうです。)






     それでは、4階最上部にある天守展望台に階段で昇ります。






     実際の城とは造りの堅牢さが違い、各部分が鉄筋コンクリートなのでしょう?。






     富山市といえば美しい立山連峰の絶景が街中から見れますが…

     昔は無敵の高層建築だったお城です(前田家の時代)。

     お殿様の気分で眺めてください。






     なんて素晴らしい眺めなのでしょう。  風も緩やかで清々しい。





     近代的なビルディングが増えても高層過ぎませんから遮るものはありません。

     公園エリアには、美味しく愉しそうなB級グルメ露店がいっぱい出ています。







     枡形の周辺部からビルの向こうまでも江戸時代にはお城だったのですよ。

     この模擬天守閣、平成15年から2年以上かけて耐震改修工事を施されています。

     展示のディスプレー整備も入念にリニューアルオープン。

      (平成16年に国の登録文化財に正式登録されています。)






     とても綺麗な庭園ですね。  ここなら…ゆっくりと寛げます。






     風流ですね…蛇篭です。 (腐りにくい人工竹でしょうか?)






    さて問題です。

    この御方をどなたと心得る? (誰でしょう)






    初代富山藩主であった父の前田利次から遺志を継いだ前田正甫(まさとし)

    藩の発展の為、新田開発や産業の育成に多大な尽力をしたことで知られます。

    富山と言えばお薬売り”が有名なのですが、その基礎を築いたお殿様でした。


    時に元禄三年(1690年)、

    参勤交代で江戸城に登城の折り、とある大名が激しい腹痛で苦しみもがく刹那…

    前田正甫は、懐から『反魂丹』というお薬をすすめたところ~たちまち回復しました。

    それで効能が大評判となり、諸国に行商までするようになったという逸話が残ります。 






     元祖 Pharmacy 

     富山売薬を世に広めた立派なお殿様なのでした。

     富山藩 第二代藩主 前田正甫(まさとし) 公像







     また、前田正甫といえば…コアな趣味?古銭の収集家としても知られるそうです。

     不惜身命の六文銭(真田の)…あのお守りの古銭も集めていたかもしれませんね。

     文武に優れた名君でしたから、桜を愛でる心も深かったでしょう。






     撮影はしていませんが、城址公園は凄い数の人々でお花見の真っ最中でした。

     富山市民の憩いの場なのですね。






     屋台もいっぱい参加してくれてますから、美味しい食事ができます。







     富山城址公園は、お花見の名所でもありました。






     宴の真っ最中である城址公園に展示されている一段と大きな機関車がありました。

     無骨なシルエットの重厚感、もちろん銀河鉄道ではありませんよ。







     珍しくなった『 ID過熱テンダ機関車 』で、これは9628号になります。

     機関車の大きさは16,563mもあり、総重量は94,85トンと威風堂々の姿。

     大正3年に川崎造船所兵庫工場で誕生した貨物列車の牽引用で長距離運転向きです。

     そして大正の13年迄に700両ほどが製作され、中国や満州でも活躍しました。


     新生され昭和9年に直江津機関区に配置され昭和25~45年まで富山機関区で実働。

     昭和45年の8月6日に役目を終えたそうです。

     このタイプの機関車は、馬力は大きいのですが速度は割りと遅い実直な働き者でした。






     ID過熱テンダ機関車も公園へ訪れる多くの人々に乗ってもらいたい気持ちかな?。






     日本庭園も水量の豊かな趣で、立山の麓の自然を感じさせます。






     やはり…心の拠り所、北日本茶会の催しも茶の湯を嗜む人々のために一期一会。

     ここには茶筅塚が建立されているのですね。





















     日当たり良好な城址公園中央の広場です。





     いまは天守閣の方角から見て反対側の建物。






     それが『富山市佐藤記念美術館』なのです。  グッド!





     まるで城の一部のような外観で違和感がありませんね。







     富山県砺波市出身だった実業家の佐藤助九郎氏は、茶人としても高名な御方でした。

     彼によって収集された、東洋古美術など絵画・墨跡・陶磁器のコレクションを展示。

     貴重な収集品を展示する傍ら、陶磁や絵画、茶道美術から仏教美術などを調査研究。






     佐藤記念美術館では、そうした活動を行いながら幅広い芸術文化を紹介しています。

     東洋の古美術を中心に特別展や企画展を随時開催しているのですね。






     現在の企画展は、富山の美術と工芸品 (5月8日まで開催中)






     城址公園にある美術館や博物館、再現された城壁に添いながら文化を継承します。





     
     満開の桜…今宵もライトアップで和みの風景を醸しているでしょう。






    
     城郭の造り、富山藩といいましても加賀藩の前田家から意匠も通じるはず。

     私的な感想では、もっと金沢城の様式に近かったのではないかと推理しています。






     戦後、昭和29年…戦災復興事業は完了。

     富山城址の一帯では、富山産業代博覧会が開催されました。

     その機会から恒久の建築物とすべく美の殿堂として復元された初期の天守閣。

     平成15年の改修で、こうした美麗な城址にアップグレードしています。






     美しい桜を堪能しなくては…。

     永らく争奪戦で血が流された越中のメギド…城址の地層では発掘調査が進んでいます。

     地下に眠る埋蔵した遺物がもたらす最新情報も随時ミニ企画展で発表しています。






     いまやビジネス界のお城?が周囲を取り囲み日々は熾烈な経済戦。






     もちろん城址公園は災害時の避難場所。

     近年の整備事業で正面入り口付近は、このように専用の地下駐車場エントリーゲート。






        富山市内の都市整備で快適なシェリング用の自転車も揃っています。






        おや?  次なるイベント予定は。






      全日本 チンドンコンクール  ベル  きょう8日(金)~10日(日)まで。 グッド!

      なんだか楽しそうですよ。  みなさんもいらしてください。 






      路面電車も賑やかな富山市と越中の~きときと(新鮮)な海産物を召し上がれ。












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