俳諧寺


俳諧を心から愛するフリークなら、一度は訪れたい…まさしく聖地なのでしょうね。


亡き一茶を偲んで、明治43年(1910)有志達が協力して建てた一茶俤堂は俳諧寺と呼ばれています。












苔を纏うように…素朴な茅葺きの屋根が日本情緒を感じさせます。

個人的には、一茶さんの住まう居…は、こんな感じという先入観がありました。

(実際は違いますが)









一茶の有名な句は、諸兄諸氏がお詳しいことでしょうから敢えて載せずにおきます。








僅かながらの志を寄進させて頂きました。











御覧下さい、この天井を見ますと、一茶の里に訪れた俳人達の詠んだ俳句が

星座のように掲げられ、一茶に対する敬意と俳諧に注がれた愛情が溢れています。



















正面には雄大な黒姫山が信濃町を護っています。(標高2053m)

かつて…黒姫というお姫様がいらして、哀しい伝説があるのだそうですよ。

この地に棲む黒竜の化身が美しい姫に恋をして、妻にしたいと懇願するが許されず。

遂には城主が一計を案じて、城の周囲を二十一回も周り、主君の馬の速さに付いてこれたら姫をやると約束。

もちろん礼を尽くした黒竜を人間側は裏切り、激怒した黒竜は天変地異の大嵐と豪雨で一帯を水没させて滅ぼすという昔話し。

よくあるパターンですが、美しい姫は人間の善意や良識の象徴。 黒竜は大雨などの濁流と破壊の姿を示すもの。

城の周囲を二十一周させるのは、おそらく時間を表して(24時間程)、その間に起きた自然災害を伝えるストーリーと考えられる。

空に暗黒の雨雲と強風、豪雨で押し流される田畑と通過後の水没した被災地の有様。

そうですね、台風の強大な力と災害を被った時に…こうした伝説が生まれたのでしょう。

竜や白蛇は水神の系統、雨乞いから嵐の沈静化まで広く関連します。

古代の黒姫山から土石流があったとか、川が大規模な氾濫をしたことの記録が民間伝承の正体。

いま台風8号が接近してきますが、暴風雨など黒い竜が天から暴れているように見えるのでしょう。

また、民衆が頑迷な時代…大災害で死者が続出し、領地が荒れ果てると、領主は竜の仕業などと説明して領民を沈静化していたかもしれません。

災害のシーズンが到来しました、どうか被害が少なければ良いですね。



北信五岳として数えられている信州の黒姫山は複式火山でした。

斑尾山妙高山飯縄山戸隠山とともに、妙高火山群に属する古代の神々の姿。















ニセアカシア…無垢な白い花が揺れる様子に一句…浮かびそうです。











風の中で…ひとり自然を愛でる時、誰の心の中にも一茶がいる。

四季に感じ取る、日本人の原風景こそが彼が慈しんだもの…眼差しの向こうなのです。












     『初夢に 古郷を見て 涙かな










近代では自由な俳句で知られる、種田山頭火(さんとうか)も訪れているのです。











美しい躑躅(つつじ)など、小丸山には花々が咲き乱れていました。









こうした道端の草花が…さりげなく咲く姿にこそ、一茶は心を動かされたのでしょう。









小丸山の斜面にも、多くの句碑が見えています。

ここまでキレイに整地されているのは見事と言えるでしょう。









この一帯は、墓所なのです。









一茶のお墓を示す看板がありました。









       …可愛いです。ドキドキ










森の木々は鬱蒼と茂り…  しかし実に風通しは良く~いい気持ち。









なんというか、自然が優しい雰囲気で包んでくださる環境。

不思議な気持ちになります。











そうなんですか…ここが一茶さんが眠る…


     小林家一族の墓    













なんでしょう、周りの見知らぬお墓までが…迎えてくださるような感覚に安堵。

一茶さん、ほんとうに私は?ここに来てもよい人間でしたか。

広い懐で、笑ってこたえてくれたような風が…吹いていきました。

















  私も墓の前で、手を合わせると一心に祈りました。

   なにを祈ったかって?  それは一茶さんと私だけの秘密ですよ。




   俳諧の偉人に相応しい、大きく立派なお墓でした。

     俳諧寺 一茶翁墓









  ありがとうございました一茶さん。


   遙かな時代を超えた…貴方との邂逅に感謝いたします。  





 初夏の信州には涼しく心地よい風が過ぎていくのでした。



                 つづきます。










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