安堂ロイド.



安堂ロイド~A.I. knows LOVE?




アンドロイド… 精巧な機械であるとか人間だとか、精神は『心』…『意識』とは何処に介在しているのか。


『安堂ロイド』の物語は、そうした領域を考え直させる。









木村拓哉 …キムタクはキムタク、彼は?いい仕事をこなしました。


ある意味、木村拓哉が『沫嶋黎士』を演じると…変人どころか理想の恋人ですよね。


彼(沫嶋黎士)の善良な人柄やナイーブなところ好感がもてました。


こういう人物は決してマッドサイエンティストにはなりはしないだろうと…。


過激なストーリー展開に掻き消されそうになりますが、あくまでも恋人を守りたい人間の懸命に戦う姿勢のドラマ。


無敵にも見えかねないロイド”にも弱点や心の痛みはある。


逆に…繊細な感じの黎士”は、あらゆる事態を想定した戦略で立ち向かう。


その両面を備えた恋人(男性)がいる女性? …果たしていますか










現代の科学における重要な原理のひとつは『要素還元』でしたか?。


物質は、最後…自然に崩壊を重ねて素粒子にまで分解していくことです。






原子還元処理”までしてくれとはいいませんが。


これもロイドは殺戮を好まず、敵のポリス・アンドロイドに対して…機能停止後に処理していました。



但し卑劣で狡猾な手段を使い安堂麻陽を襲ったアンドロイドには怒り、直接に原子還元しました。


(科学者の暗殺や航空機の爆破などポリス・アンドロイドによる許し難い粛清は2013年において数百人の民間人を抹殺していくのでした。)



私たちと同じ心”があるから…彼には優しさも怒りもある。



最後までアンドロイド…という姿を借りた人間ドラマだから …ロイドありがとう。











この世界からの完全なる消滅。


敵機体は…青白い炎に包まれるような映像で消滅していく。


ポリス・アンドロイドにとっても100年後の世界に帰還することは不可能。


誰がために…不毛な戦い、人間の悪意や欲望のために代償にされる彼等。














いつもの日曜劇場の路線にフラクタル(揺らぎ)はなかったかと。



生体IDが確認できない。 正体不明の人間と警察アンドロイドが分析不能


謎の美少女は、コードネームARX IX - THE LAST QUEEN


今作品では最強最悪のアンドロイドを桐谷美玲さんが演じます。




生きるべき人間が死に。  死ぬべきクズが生きると呟く。



それは未来で…ARX・Ⅱー13”(ロイド)が喋った言葉。



2060年11月13日、ARX Ⅱ  2号機~13号機がロールアウトされました。

2066年12月24日、戦闘型アンドロイドが一斉にバグを起こし暴走。
(しかし、バグが一斉に起きるはずがなく、何者かの人為的なテロと証明される)


世界の飢餓や貧困地域ばかり数億人の民間人を大量虐殺する凄惨な事件が発生。


それは一部超大国の権力者が仕組んだ暴挙と判明し、戦闘用アンドロイドを利用した巨悪の仕業でした。

利用されたロイドは無差別な殺戮器官として暴走させられたものの、知性に自我が芽生えて叛乱、首謀者の政治家達を次々と抹殺します。


あまりに呪われた過去をもつロイド…罪深き悪夢を見るなど、良心の呵責に苦しむ。




フランスの数学者であり物理学者の『ピエール・シモン・ラプラス』は、ある時点での世界の状態が明確に分かれば、未来は既にすべて決まっていると…

所謂 …ラプラスの悪魔”という概念は想定される『決定論』。



自らの正体を知る人間には容赦なく殺す”と脅すことはあっても、

2013年社会では、実際には人間を一人も殺さなかったロイド。

しかし、いまを変えていこうとする挑戦の尊さ、直向さには真実が宿る。

変わらないなら…現在をより良くすることで未来を素晴らしい世界にしたい想い。



悪意に屈しない  きっと変えられる未来











プラントル・グロワートの特異点が生んだベイパーコーン。 その霧に隠された歴史の空白は意図されたものだった…のでありんすー。てへぺろ


(プラントルもグロワートも優秀な物理学者です。)



…と、さらりと言ってのけ。   終始おふざけ女子高生タイプのアンドロイド。




ポリスクラウドにもZEROクラウドにも属さない…なんと2013年製。


(ZEROクラウドの正体は、沫嶋黎士の未来に連れ去られた脳データ)



警察アンドロイドやロイドの設計データを受信して解析した


沫嶋七瀬内に棲む多重人格者…



凶悪な天才…自称『沫嶋黎子』が創造した最新鋭機体だったのです。


この『沫嶋黎子』という人格は、幼き日…兄ばかり褒めて無理解な両親を、


鉄道管理システムをハックした事故で死なせている悲劇。





アンドロイド達の移動手段OOZING OUT (ウージングアウト)は、


物理定数が少し違う世界”に入り込む、もしくはフィールドを作ること。



(通常空間から不可視となるステルス技術のひとつで高速移動)


OOZIG OUT領域すら圧倒して、パワーと知力など演算処理も桁違い。


この技術を可能にしているということは、ワームホール技術の応用でしょうか。



ARX IX  彼女もアスラシステム(上級バージョン)を備え、









起動後はロイドすら翻弄され歯が立たない壮絶戦闘。



実体は基本設計を共通するロイドの兄妹機体なのです。



幾度の苦戦を強いられたことか。  小悪魔どころか魔王でしょう。


人格破綻、多重人格、若年者の非道な犯罪…


ドラマなりに平成社会の歪みきった闇と醜い悪意を描いていますね。







人間の支配も受け付けず猛威をふるう彼女。


人類の粛清すらやりかねない危険が迫る。


さらに警察アンドロイドもアップグレード、権力者との密約を結び人間を扇動。





敵の攻撃による腐食細菌兵器で瀕死のロイド、


サプリのチカラで麻陽を守るべくOOZING突入!。


…万策尽きたと思った時、再生したアンドロイド角城も加勢します。



破局を回避するために



サプリ、俺をあいつらのところへ運べ 決死のロイド。




ダメだよ 今度こそ死んじゃうよ サプリも必死でロイドを制止。








敵アンドロイドが倒されて見せたのは、ロイドたちを誘き出して殲滅するための罠”であると見抜いたのです。


安堵してウージング・ステルスを解除した味方を索敵して襲い掛かるはず。


自我に目覚めた高度な意識を備えたロイド…いまや直感よりも早く演算しているのです。


もう…人間そのものでしょう。














警視庁公安部第仇課特殊捜査班の刑事。 葦母 衣朔(遠藤憲一)



特殊な事件が人間以外の仕業であると判断した頭脳は科学者を超えている。



彼は、アシモ…という名前ですが、安堂ロイドでは登場人物の名前が歴史的な


偉業を残した科学者やSF小説家の名で構成されていますよ。


すごいマニアックな人たちではなく、そうした世界を広く楽しめる作品世界。


面白くないと評価した方、あまり気負わずに観るべきでしたね皆さん。



庵野秀明さんらしさかな?ユニークですね。



誰もが大切な人のために戦っているんだ。




俺が死んでも葬式もいらねぇし、



墓もいらねぇ。泣いてもらう必要もない


だがな、俺の想いは、いつもお前たちを護ってる





俺たち大人がよ、何が正しくて何が間違ってんのか、



てめえの自分の頭で、てめえの心で



本気になって考えねえとよ


てめえらの血の流れたガキたちに…ちゃんとした未来を



渡してやれねえだろうが! 



そのことを本気になって考えてくれよ




遠藤さんしか言えないような…熱演がいいですね。














二人にも別れの瞬間が迫る。


安堂麻陽。 いろいろ…ありがとう。

君に出会えて本当によかった…。 俺の魂はいつまでも、君と沫嶋黎士を護っている。

俺はいつも、君のすぐそばにいる。 何かあったら、すぐ現れる。


安堂麻陽と沫嶋黎士の幸せな未来を護る。


二人で、永く…永く幸せに。  それが俺の想いだ、名前をくれて…ありがとう。

を…ありがとう




なんだか特別なんて言葉が霞むほど、…大切なことは自然であり、

私たち普通の世界にあるのです。

ロイドはアンドロイド、ためらわず愛する者のために命も投げ出せる

それは人の…大切な人に対する想い。  いつも素朴で真摯なものでしょう。


メッセージを受け取れた気がしますよ。




ロイドの遺した言の葉は。


この世界には、未来を託すことのできる立派な人間がいる。


 その人間達にこの時代をまかせれば、


俺達が大虐殺を起こすような未来は決して来ることはない





全知全能など存在しない。 


なぜなら人は、一人一人その存在が奇跡だからだ。


全ての人は、誰かを愛し、


誰かに愛され、この世界は未来へ歩んでいく。


俺は、ここにいる人間の力を信じる






ARX IX - THE LAST QUEEN を捉えて遥か東京湾上空へと


飛翔していくロイドの軌跡…。


命を賭してARX IXの暴挙を食い止めるため最後は自ら太平洋に爆発四散します。


見守る安堂麻陽たちに強烈な印象と想い出を残して…




…こうして人類の危機は去り、事件は収束した。











人間の想いが生み出すこと…単なる機械にすら芽生えた『心』。



これは、派手なカッコウ良さや強さを描いたドラマではありません。



親殺し、弱者への蹂躙。 キカイよりも冷酷に犯罪を重ねる人間の姿、社会で混濁した者達が暴挙を繰り返す現状を憂う。



いつの世も…大切な価値観に違いなどないのです。



尊いを失ってしまった人間は、己の陰鬱な闇に滅ぼされる。



たとえ自分が犠牲になろうと厭わない意志、いま大切な誰かを守りたい。  



そんな小さな…命に対する想いが繋がって未来を綾なす。



その瞬間に…未来は育まれているのですから。

 




 つづく









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