ランチア・ストラトスHF (1977)
RALLY CAR COLLECTION.②
帰宅時、私は本屋さんで買い求めました。
隔週刊 ラリーカーコレクション No.2
今回 デアゴスティーニさんの特集はラリーの世界。
当然、選ぶのは~LANCIA STRATOS.
いま、この手の中に…
実物の 1/43 スケール、精密なダイキャスト製。
ベルトーネがデザインしたスタイルは美しい…成層圏から舞い降りた宇宙船のよう。
(ストラトスフィア…は、イタリア語で成層圏の意味。)
これほど異色の姿で登場し、連勝を続けたマシンは空前絶後でした。
当時も…21世紀の現在でも素晴らしいスタイリングに溜息です。
しかもアリタリア航空のカラーリングが最高でしょう。
この短いホイールベース(2180㎜)、引き締まったボディーが描くコーナーリングの軌跡。
全身からスパルタンな猛獣の如き敏捷性が漂います。
増設されたナイトステージ用の補助ライトまでが芸術的なのです。
異端のクルマ、レースに特化した遺伝子!
1970年秋のトリノショーに出展されたカロッツェリア、ベルトーネ・デザインの
『Stratos Zero』が纏った斬新で未来派のシルエットがルーツなのです。
その機能的なスタイルは…ある意味エレガント。
イタリアが生んだ奇跡のマシーンは、1970年代半ばの世界ラリーシーンを席捲しました。
もし、ストラトス…がスーパーカー?というカテゴリーで呼ばれるなら、最も実戦で戦果を挙げた英雄的なクルマなのでしょう。
フェラーリやポルシェのようにレースカーとしての戦績が凄いのです。
我が机上の空想…ラリーモンテカルロ!
特徴ある大きなスポイラーや細部のディテールも出来映え最高じゃないですか。
ミッドシップの心臓部には、フェラーリディーノのエンジンが横置きで搭載されています。
その豪快なサウンドを背中に、狭いコックピットはクルマ好きには玉座だから。
バケットシートに身を沈めれば~もう気分は『サンドロ・ムナーリ』そのもの。
ナビシートの『シルビオ・メイガ』に声をかけそうになるでしょう。
グループ4のパフォーマンスを完全に凌駕した疾走りを想像してみましょう。
振り向くな、世界タイトル獲得!
特有のリアスタイルとベネチアン・ルーバー。
後部窓に装着されたルーバー越しに後方を視認しようとすると…見えにくそう。
勝利あるのみ前進せよ GO AHEAD!
大型のスポイラーといい先進的すぎる容姿が時空を超える。
このテールを公道で拝みたいものです。
ワイルドな剥き出しの内部も異次元なのです。
ストラトスのドア内張りには、とある工夫がされています。
ドアには見たこともないような大型トレーが設けられていて、ヘルメットが置けるのです。
誕生から存在自体がアスリート革命、まさに競技車命!のストラトスらしさですね。
(この模型にはドアの開閉ギミックまでは再現されていません。^^)
確信犯的なスピードを誇る
まるでコンセプトカーそのまま。
こんなシルエットが70年代にモンテやサファリ、ポルトガルを駆け抜けた。
あくまでも市販車だというのが疑わしい?戦闘機の如きプロポーション。
信じられないインパクトが3連勝となって吹き荒れたのです。
疾風怒濤のラリーシーン 公道最速の証明。
異端の小さな巨人
当時のランチアは経済状況も最悪、しかし真ん中に搭載された夢は大きかった!。
多くの人々が情熱をかけたのでしょうね。
スペックを見れば、フェラーリ・エンジンの供給など、いかに特異な成り立ちかが解ります。
このディメンションでありながら、クイックな素早さだけでなく安定を両立したアジリティーな身のこなし。
フェラーリ製V型6気筒 DOHC 24バルブ 横置きミッドシップ 総排気量2418cc
最高出力270ps/7800rpm 最大トルク300Nm/6000rpm
5速MT 後輪駆動 重量960kg
全長3710mm 全幅1750mm 全高1110mm 軸距2180mm
その戦闘力は、『未知数を具現化する意欲』
いつまでも愛されて…
アリタリア・カラーは、白い航空機でもクルマでも綺麗ですね。
その昔、MAZDAの販売チャンネルであるオートザム店でランチアの大衆車を扱いました。
MAZDAの軽自動車AZ-1(ガルウィングの)をストラトスに見立てた改造のオーナーさんもいらっしゃいますね。
私は、富山県のSUBARUイベントで、初代アルシオーネをアリタリアカラーで仕上げた有名なオーナーさんのクルマを拝見しました。
皆さんのストラトスへのオマージュを感じますね。
旧車?ですって、ストラトスは生涯現役なんですよ!。
運命は強者に味方する…
オイルショックの時代、資金難でフィアット傘下だったランチア社。
だが窮乏に屈せず、ランチアの本性は攻めに転じたのです。
そうして到来した1977年のWRC ワークスの戦い
フィアット・グループでのモータースポーツ部門責任者ダニエル・アウデットは、
王者として君臨するランチアではなく、自社のフィアット131アバルトによる選手権制覇を目論んだのです。
開幕戦のモンテカルロは波乱の展開で様々な思惑が錯綜。
漆黒の闇に照らし出されるコースを果敢に攻めるランチアが放った可能性。
必勝体制で臨んだフィアットは苦戦を強いられ、ムナーリの駆るストラトスHFは大差で優勝を飾りました。
彼にとってモンテカルロでの勝利は4度目(ストラトスとは1975年から3連勝)。
ランチア、ベルトーネ、そしてムナーリ選手がいなければ誕生しなかったであろうストラトス。
まさにイタリア人の想い、偶然を必然に昇華したクルマではないでしょうか。
来月は第3号、『スバル・インプレッサWRC2008』最後のWRカー登場です。
価格は2190円(税込み)
10月1日(火)をお楽しみに。
ストラトスが疾走すれば、周囲のラリーカーは平凡な大衆車に見えるくらい。
秘めた実力を開放して勝ち取った数々の栄冠に相応しい存在感。
容姿端麗、質実剛健、挑みかかる世紀のラリーカーでした。
まさしく嵐を呼ぶパーパス・ビルドカー(ラリーのためだけに創造された機体)
永遠なれ LANCIA STRATOS HF.