中田島砂丘を訪ねて…
浜松市から南の海岸部に位置する東西約4kmに渡って広がる砂丘地帯です。
遠州大砂丘と呼ばれる遠州浜の一部となる景勝地なのですね。
千葉県にある『九十九里浜』、鳥取県なら『鳥取砂丘』と並ぶ~風光明媚な砂丘に出会えます。
もう…防砂林が長年の強い海風で傾奇いてますからね。
大きな自然石の石碑があります。
さすがに鳥取砂丘のようなスケールではないのですが、その広さは…彼方の太平洋に向かっていると思うだけで胸が高鳴ります。
ここで初日の出などを眺めたら綺麗でしょうね。
また、風が描くメッセージ…砂丘独特の現象である『風紋』が砂上に見られるんです。
遠州灘から吹き荒ぶ強風からの手紙のように、幾重にも不思議な砂の縞模様をご覧ください。
この砂丘の向こうまで歩けば、青く輝く広大な海洋世界が待っています。
ゴールデンウィークの5月3~5日頃には『浜松まつり』の凧揚げ大会が開催される場所が近いので、普段でも普通サイズの凧揚げを楽しむ人がいます。
いい天気で、暑い中~ひたすら歩くのですが、砂が靴に入ってきます(笑)。
右に見える柵状の物は、『堆砂垣』という砂の流出を抑える苦肉の策です。
さすがにロケーションが最高ですから、砂丘の景観をバックにした撮影などが行われるそうですね。
人気ドラマの『空飛ぶ広報室』も中田島砂丘でのロケがありました。
(この砂浜はクルマ走行禁止ですよ)
ここは~アカウミガメの名所なんですよ。
今年は猛暑でしたね。
夏になると太平洋から~アカウミガメ達が産卵のために上陸する貴重な海岸なのです。
ほら~可愛い子ガメ?と親ガメ?ですよ(違いましたか^^)
もしや、カメの箱船?…
先程の石碑から~すぐ近くにある謎の囲い?は何でしょう。
こうした特殊な金属製の囲いが『アカウミガメの孵化小屋』なのです。
まさしく環境保護という波打ち際?に造られた箱船のようではないですか(^^)。
遠州灘にある砂丘地帯には、5月の中旬から~8月の下旬にかけて海亀が回帰してきます。
産卵にやってくるアカウミガメの数は、なんと150頭にもなるといいますから凄いですね。
真夜中の砂浜まで…苦労して上陸すると砂の中に卵を産みます。
太陽が昇る前…明け方までには故郷の砂丘から海へと帰っていくのです。
絶滅危惧種にも指定されているアカウミガメ、それは浜松市にとって貴重な天然記念物。
産卵シーズンになりますと、地方自治体の許認可を受けた特定非営利活動法人
『サンクチュアリ・ジャパン』N,P,Oの調査員さんが、お仕事の出勤前に保護調査を行います。
サンクチュアリ・ジャパンはボランティア活動をされている団体です。
アカウミガメに限らず野生動物、野鳥からキツネやタヌキなどの生息する貴重な自然を保護することが目的。
1985年3月に静岡県浜松市に本部を設立した自然保護団体です(支部は国内17地域)。
もしも一般の皆さんが、ウミガメの卵を掘り出したりしますと重大な過失となりますから御注意ください!。
それでは、どうして調査公開などをするのか?。
もちろん正しく知識を身につけて貰うための啓蒙活動なのですね。
① 中田島砂丘の現状を認識していただく(ゴミと汚染、不当な車両の乗り入れ禁止等)。
② ウミガメの卵をテーマとして、生命への親近感を高め自然保護の意識を抱かせたい。
③ 自然保護を主体としたボランティア活動をよりよく理解していただくため。
④ 未来の環境保護意識の芽を育てる、次代を担える調査員を養成したい。
レッドデータブックと『アカウミガメ』
アカウミガメが産卵した卵は、ご覧の孵化小屋内で育てるために保護すべく掘り出します。
もはや人間のいる環境では生態は脅かされ、これまでのように自然の孵化で無事に海まで戻ることは危険なのでした。
一回の産卵では、およそ100~150個の卵を砂中に埋めていくのです。
それから~70日ほど経過して、ようやく孵化した小亀が海に戻るのは9~10月上旬のようです。
(産卵期間は別々でも孵化期間は同じくらいになる不思議さ?。
ウミガメのタマゴは砂の温度差によって孵化までの期間が違うのです。
産卵しても…6月なら90日、7月は60日、真夏の8月は45日の経過となり
つまり…いつ産卵しても殆ど8~9月にかけて孵化してくるのです。)
どうして…人間が掘り出さなければならないのか?。
それは絶滅の危機にあるアカウミガメを僅かでも増やすべく、仮施設の孵化小屋に入れて外敵や悪化した環境から保護するためなのです。
これまでの調査では、産卵場所には海から上陸した10メートルくらいのところで孵化条件も悪くなりました。
通常は海辺の4~50メートルあるところに離れて産み落とすのが自然。
しかし、近年…天竜川の上流に造られたダムのせいで、豊富な砂が海に達することが激減しました。
元来、中田島砂丘の砂層を形成するのは天竜川から海へ流れ出る大量の砂が堆積し続けるため、波による浸食とのバランスが保たれました。
その河川から流出していた砂が減り始めたので…砂丘が浸食され痩せ始めたのです。
生物は環境の変化に弱いのですから
アカウミガメが安心して産卵できた場所は減り、心ない人間に荒らされて…
守らなければ貴重な種が滅びてしまいます。
人工孵化したアカウミガメ…とても小さなカメ達は、安全に海へと放流されます。
(放流会は8月中旬から9月下旬に行われています。)
放流は夕暮れ時に行われているのですが…(見たかったです。)
懸命に波間を目指して這っていくウミガメの可愛さと生命の尊さ。
黒潮にのって~太平洋を遥かアメリカ大陸まで、さらに赤道周辺からオセアニアを回遊しながら…20年後には帰ってくるのです。
たくさんの仲間から生き残り戻ってこれるのは…ごく僅かな個体だけ。
0,02パーセントの確率、それは孵化した5000分の1…という過酷さ。
ガンバレ!生き抜いてくださいね、アカウミガメの赤ちゃん。
中田島砂丘の石碑から~真ん前のお店には、大きなカメの人形が飾られています。
ここが『サンクチュアリ・ジャパン』N,P,O関係者の活動拠点ネイチャー・センターです。
内部には、ギャラリー、自然教室、喫茶コーナーなどがあります。
美味しい人気の無添加ジェラートはいかが。
サンクチュアリ・・・自然や生命を護りたいハート
真の『聖域』は、そんな貴女の心の中にこそあるのです。
こうした配慮で守られてきた砂丘地帯と『遠州灘海浜公園』。
とても大きな駐車場が設けられていまして、クルマは無料で停められます。
ゆっくり砂丘の見学が出来ますからね。
散歩コースとしても最高。
その公園内には、なんだか面白い埴輪が作られているんですよ(―_―)。
ところで…この埴輪を見ていると、誰かに似ていませんか?。
首相の『安倍晋三さん』にお顔が似てると思うんですけれど。
きょうのトリビアは、浜松の中田島砂丘には、首相にクリソツの埴輪がいる?でした。
いい表情ですね。
ハニワミクス…。