マツダスピード・アテンザ(4WD/6MT)
新開発2,3L直噴ガソリンターボエンジン『MZR2,3 DISI(ディジー)TURBO』
DISI(ディジー):Direct Injection Spark Ignition.
電子制御アクティブトルクコントロールカップリング4WDシステム等の独自の技術を搭載。
日常生活に求められる快適性や経済性と、ハイパフォーマンス性を高次元でバランスさせた。
また、グリーン税制に適合。平成17年基準排出ガス75%低減レベル(SU-LEV)認定車かつ平成22年度燃費基準+5%達成車で、購入時に自動車取得税の軽減措置を受けることが可能。
【スペック】全長×全幅×全高=4760×1780×1430mm/
ホイールベース=2675mm/車重=1560kg/駆動方式=4WD/2,3リッター
直4DOHC16バルブ・インタークーラーターボ(272ps/5500rpm/38,7kgm/3000rpm)/
10・15モード燃費(国土交通省審査値)11,0km/L
価格=302万4000円~(消費税抜価格 288,0万円)
【推定?オプション装備】 (353万5350円)
BOSEサウンドシステム+ミュージックHDD=11万250円/DVDナビゲーションシステム=22万7850円/撥水機能+ヒーテッドドアミラー=1万5750円/ブラック本革シート+運転席8Wayパワーシート+運転席シートメモリー機能=12万6000円/アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム=3万1500円.
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『マツダスピード・アテンザ』を解説するならば、同車の4ドアセダンがベースの4WD+ターボというスポーティグレード誕生です。
2005年に発売された最も特別なアテンザ…といえるでしょう。
生粋のスポーツとしてのMAZDA・SPEEDを名乗るモデル。
(惜しむらくは…世紀末にマツダ内部へ吸収解体され1999年7月に本来の組織は無くなりました。その名ともども復活してほしいですね。)
ライバル社の『スバル・インプレッサWRX』ならSTi、『三菱ランサーエボ』のラリーアートのようにプロデュースされた『走る歓び』を昇華したアテンザ。
但し4WDを武器に研ぎ澄まされ、ラリーシーンで武勇を誇るのではない…
ZOOm‐ZOOmの真髄を極める洗練されたソフィスティケーテッド・ハイパフォーマンスセダン。
与えられた性能は、余裕あるパフォーマンスによる安全性、マツダが拘る『走り』、操る楽しさを深く追求した駿馬。
当時のノーマル車とは外観上~広い開口部が大きく違うフロントマスクの面構え。
ディフューザー形状を採り入れたリアバンパーは欧州車にも負けないワイド感。
グリル形状ひとつにも研鑽の跡が…ボンネット部にエアスクープを設けずにまとめあげました。
空力面でも大胆な外観のリアスポイラーは控えて、より大人の趣向を優先したことが解ります。
具現化される走る歓び
MAZDAのスポーツタイプはロータリーというイメージですが、レシプロ車勢にも鋭い走りを誇る兵は多いのです。
この頃、提携していた米国フォードグループとしての新エンジンを基本とする。
マツダ開発陣の新開発機種『MZRエンジン』が搭載される高性能車。
欧州仕様車にRF-CDT型コモンレール2000ccディーゼル・ターボが用意されて搭載されるモデルは6速マニュアル車がありました。
全車、防府工場(山口県防府市)で製造されています。
マツダの得意分野である『走る楽しさ』を具現化すべく、デザインや性能を謳いました。
オプションには本革スポーツシートも用意され、黒を基調とする精悍なコクピットはデザインや高級感の演出も満足させるGT感覚。
エンジンは直列4気筒2,3リッター直噴ターボ(L3-VDT型)は、最高出力272ps、最大トルク38,7mkgという十分なスペックを誇りました。
筒内(シリンダー内)に直接燃料を吹き付ける仕組みは、その気化熱での冷却効果により圧縮比も高く設定できる直噴プラス過給機は野心的な試み。
(こうしたエンジン形式は、近年…VWやアウディなどにも採用されました。)
ターボ車を温存し継続できた優れたMAZDA技術
国内の他社は低公害技術による規制をクリアできず、次々とターボ車を廃止しましたが、マツダは遺憾なくターボ技術を推し進めてきました。
ターボ車の排気ガスはクリーン度をクリアするのが難しく、通常マフラーの触媒は温まらないと機能を生かせられません。
テストのパターンは、クルマを冷間時からエンジン始動させてすぐに排ガス計測するために、どうしても規制値に達しないのです…
それほど国土交通省審査値の認定レベルは厳しいのですが。
マツダのターボ車は自社技術の高さで低温からでも高い浄化ができる特殊な触媒などを可能にしました。
そうした高度な技術の総合力で難関をクリア、ターボ車も生き続けてきたのです。
アテンザのシリーズ中で最も稀少な雰囲気のクルマではないでしょうか。
そうなると遠慮がちなパワーが惜しまれます(それでも十分な大パワー)。
結果、日常的な近所への走りには向かない、欧州のように山岳路や長距離を休まず走ることが似合う贅沢な味付け。
この『マツダスピード・アテンザ』は、欧州車風の魅力的なクルマなのですが
ある意味で本来のコンセプトとは差異があるようです。
ランエボやインプレッサのようなFF車ベースの4WD、いっそ戦闘機のように超絶の性能まで用意すべきでした。
惜しい…トルク特性は玄人好みと言えますね。
腕前のあるドライバー向け…といいますか、プロが厳しく表現すれば極低速でのトルクは若干細めだそうでリニア感にかけているそうです。
(もちろん普通のドライバーには明確な差は解りません。)
2500rpm周辺から発生するフラットで重厚なトルク特性。
また、6速100km/hでは約2200rpmの回転域、そうした再度の加速のリカバリーは鋭いとはいえないそうです。
言うなれば…どこかピーキーでスポーティーな味付けだったらしいですね。
(少し前の国産スポーツ車よりも排気量分のトルクは豊かなのです…)
マニュアル車ということで、私は好きな特性の部類ですが。
しかし性能は全てクルマ任せというドライバーには不向きかもしれませんね。
もう少し煮詰められたほうがいいのでしょうが、どうもスポーツ走行に向いた硬派モデルと受けとめます。
ハンドリングはマツダの持ち味である軽快感を生かし、ステアリング操作のレスポンスも良好でノーズの反応は鋭い。
基本的にFFベースでありながら積極的な後輪へのトルク配分を優先した電子制御4WDは秀逸。
パワーをかけるようなコーナーリング中でもライントレースは破綻しません。
まさに『マツダスピード・アテンザ』は未完の大器そのもの
ジェントル?かと思えば、軽量ハイパワー車に特有の荒々しさも秘める。
どこか特別な…このクルマの生い立ち、乗りこなせる人はいるのか?と世間に問うようなメッセージ性。
果たして成功者かといえば、決してそうではない頑固なところがいいのです。
(これをベースにしたチュ-ンドが存在すれば相当な斬撃を自在にできたはず。)
このクルマは持ち主を選ぶ不思議な存在の一台だと思います。
ランエボやインプレッサWRXとも一線を画するカテゴリーの独自路線で、ライバルにはならず…水域を違える生き方。
欧州のユーザーなら長距離巡航も含めて面白そうなセダンという印象かもしれませんね。
ちょっと若すぎるアスリート系のオヤジ向けじゃあないでしょうか?。
このスポーティさは後継車の開発や洗練度に大きな影響を与えました。
いまこそ新型にもMAZDA・SPEED仕様を期待しています。
新型『アテンザ』は、万人向けで完成度の素晴らしいクルマです。
環境適性も優れ、高い品質や低公害ディーゼルによるランニングコストが見事。
スカイアクティブ全盛の今、機体の剛性からエンジンの走行性能やパワー感など飛躍的に逞しく進化したMAZDA車は世界を席捲するはず。
さらなる野心的なクルマを待っています。
この地球上を…疾走る歓びがある限り
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