1929年イギリスの「アレキサンダー・フレミング」さんが発見し、精製した世界初の抗生物質がペニシリン。
逸話にありますように…ある日、フレミングさんが研究室で実験用のブドウ球菌を培地で繁殖させていた時?。
偶然に侵入してしまった「青カビ」により培地ごとコンタミネーシヨン(汚染)が発生してしまった…普通なら失敗談ですが。
ブドウ球菌に、阻止円(丸く菌を駆逐してる)が形成されてきることで薬効が発見されました。
こんな~誰もしたがらない~失敗談!。
しかし、狙ってもいない珍しいケースの汚染により起きた事象が原因で世界を変えたのです。
後のペニシリン快進撃?は皆さんの知る通り。
しかも望まずして?”ペニシリンや愉快な仲間達”(抗生物質)にたくさんの人々がお世話になった経験もある訳ですから…。
ペニシリンとは、抗菌剤の分類上ではβ-ラクタム系抗生物質に分類されます。
発見後、医療用として実用化されるまでには10年以上の歳月を要しました。
1942年にベンジルペニシリン(ペニシリンGやPCG)が単離されたことにより
実用化されました。
ペニシリンは、画期的な抗菌薬の元祖?として一躍~世界の医療を変えたのです。
梅毒(スピロヘータ)に罹患して苦しむ人間達を救ったり。
第二次世界対戦でも、多くの将兵が負傷の治療で命を救われました。
これまで、不可視の病魔に怯える人類には救世主のような医薬品なのでした。
現在は、抗生物質…抗菌薬の研究は進みさらなる新薬が待たれています。
見えない驚異となる病の”菌”そのものを退治する治療法。
さて、現代社会の脳外科医がタイムスリップで江戸時代(幕末)に出現。
点滴の針も手術道具も薬品もない…誰にも信じてもらえない逆境で、誠実さと最新の医療知識だけを頼りに人命を救う…。
ドラマ 『JIN』 がありましたね。
その中で、彼が人々と協力し感染症や創傷治療を施すなかで…原始的な手法で精製した「ペニシリン」。
人を救いたい一心で歴史を変えてしまった物語がありました。
そこで、なんとか自然な方法でペニシリン抽出を行うシーンをドラマでは解説されていますので、ここに書き留めてみたいと思います。
主に私の興味本意ですみません。
死者しか送り出せない…悲しく暗い廊下の奥にも、希望に続く光が見えたのです。
これは、お料理教室ではありません。
手順その《1》
これは青カビをもとに作りますから、カビの培養作業をします。
(ドラマでは、ミカンの黴~家屋の隅など、自然に発生している青カビを持ち寄ります。)
芋の煮汁を用意して、お米のとぎ汁を適量合わせた混合液を作ります。
容器の中に入れて、その液体培地を作りましょう。
培地が出来たら、集めてきた青カビを植え付けます。
他の不純物が混じらないように。
(カビ類が発生しやすい気温は27℃くらいです)
手順その《2》
培地で育てた?青カビから~ペニシリンを抽出する作業。
青カビの培養液は濾過しなくてはなりません。
蓋して隔離できる容器、その口に綿やガーゼを敷き詰めたじょうごを置いてください。
そこには青カビを集めて溶かした培養液を流し込みます。
さらに液体の中には、菜種油を注ぎます。
混ざりあうように、容器の中を棒で撹拌します。
かなり丁寧にやってください。
こうした段階を経て、混合した液体を作ります。
①「油に溶ける脂溶性物質」
②「水に溶ける水溶性物質」
③「水にも油にも溶けない不溶性物質」
…以上の 3種類に分けられます。
混合液の入った容器の下部にあるドレン栓を抜いて、一番底に沈澱させた水の部分(水溶性物質)だけを別の容器に移してください。
ペニシリンとは?水溶性物質なので、この水の部分に溶けて混入しているということになります。
こうして取り出せたペニシリン溶液から、今度は不純物を取り除くための作業に移ります。
煮沸消毒してから細かく砕いた炭を入れてある別の容器に…ペニシリン溶液を流し込み~再び掻き交ぜましょう。
ペニシリンが炭(炭素)に吸着してくれる特性ですから、この炭だけを排出します。
次に用意した容器は、注ぐ部分と排出させるドレンの付いたものに溶液のみ詰め替えてください。
煮沸させた蒸留水を容器に流し込みながら~不純物を洗い流す。
さらに純度を上げるため、今度は酢酸と蒸留水を混ぜた酸性水を注ぎます。
ペニシリンというのは酸性物質のため、こうして酸性水で洗うことにより~炭に吸着したアルカリ性の不純物を綺麗に取り除くことが出来るのです。
いよいよ最終行程です。
フィルター代わりに濾過するガーゼや綿を容器の口に詰めた器具を取り付け、受け皿となる容器を用意してください。
注ぎ口から重曹を溶かした蒸留水(※アルカリ性)を通す。これによって、ペニシリンは炭から溶けだし、排出口からは純度の高いペニシリン溶液)が抽出されるのです。
手順その《3》
ペニシリン抽出液の薬効を調べる。
半合ずつに分けた抽出液を、患者の膿から採取したブドウ球菌をなすりつけた寒天培地に少しづつ垂らすのです。
蓋をして数日待ってください…。
ペニシリン溶液の周囲にあるブドウ球菌が駆逐されていれば成功となります。
(丸い阻止円が目視されるはずです。)
実際はフィクションのドラマですが、何もない場所で造り出そうという挑戦の姿は美しいくらい貴重だと思いますが。
※注意
あくまでも劇中の演出などの観点からですので、実際に成功する保証はありません。
また、ペニシリンなどは万能ではなく、ごく希には?アナフィラキシーショックで死に至る人間もいるのです。
しかし知識を活かして取り組む姿勢は日本人にとって価値あることだと思います。
これからも医療の発展と希望が世界を救いますように願っています。
失礼しました。