『彼』の存在に比べたら、日本の政治家のスケールは所詮ただのおじさんだ!。
貴女は 『白州次郎』 氏をご存知ですか。
彼は兵庫県芦屋の富豪である白州商店の御曹司。
西暦 1902年 (明治35年) 生まれ… 日本の年号?では似合わない男性ですな。
綿花貿易で知られる白州文平さんの次男として産まれた時から”快男児”としての宿命は
既に始まっていた。 (父・文平さんは米国ハーバード大学留学の経験をもつ豪の者)
子供時代には日露戦争、そして第一次世界大戦を経て…関東大震災に見舞われた日本。
遂に第二次世界大戦に巻き込まれていく激動の世界。
彼の国際感覚は本物!。 …というより新たな潮流を興した人物だといえる。
いまの日本人がマニュアルやガイドブックを片手に暮らすのとは訳が違う。
すべてが怒涛の時代背景、誰の真似でもなく善きものを敬意をはらい吸収する昇華でした。
『偉い人は苦手だ、 …そんなプリミティブな一面が彼らしい』
彼が日本のスタンダードなら、誇り高く凛々しい人間の国であったでしょうね。
”坂本龍馬さん”よりも待望される、最高にグレートな大和魂を!
『 さあ、ジェントルマン! 彼の話を始めよう。 』
(写真はTシャツにジーンズ姿で寛ぐ白州さん49歳の姿。 まだ世間にジーンズなどない時代)
留学時代はイギリス・ケンブリッジの名門クレア・カレッジで学び大学を卒業。
親友は伯爵家のロイビン・ビングさん。 イギリス流の紳士道をDNAに刻みつけた唯一の男。
身長180cmのハンサムボーイ白州次郎さんの真髄とは、西欧の揺らがぬ誇りと文化。
単なる苦労人ではありません、勉学に恋にクルマ!すべてに『花』がある青春。
確かに、ある程度の環境は必要に見えますが。 だからこそ彼の生き様は凄いのです。
見習う者などいない異国の地で10年、そのセンスは進化~萌芽したのでしょう。
生まれ育ちも、容姿も申し分ない若者だった白州次郎さん。
だが、これだけでは単なるハイカラさん? 『日本一颯爽とした男』とは呼べません。
白州次郎さんが、『颯爽とする』生き様の真骨頂を発揮したのは、戦後占領下のことです。
(生涯、スポーツカーを乗り回した彼。 最後に友とした愛機ポルシェ911Sと晩年の雄姿)
1945年8月…運命の敗戦から、1951年9月のサンフランシスコ講和会議までの6年間。
日本は独立国でなく、他国の占領下でした。
連合国軍総司令部(GHQ)による日本支配。 最高司令官マッカーサーさんが、最高権力者。
『神国の崩壊・・』
昭和20年9月29日、新聞の一面には”天皇陛下とマッカーサー司令官”の二人が並んだ写真が掲載されました。
正装の天皇に対し、マッカーサーさんは略装でノーネクタイでした。
まさに青天の霹靂!!この写真が日本国民の抵抗意識を完膚なきまでに叩き壊した。
政府は直ちに新聞を発禁に、…だがGHQは発禁を解除した。
カリスマの失墜。 国民の誰もが敗戦を痛感しました。
残酷な現実、支配者が誰であるのかを死ぬほど思い知らされたのです。
日本人は自信を失い、GHQの顔色を窺い…生きる屍と化した。
白州次郎さんは、吉田茂外務大臣の要請で終戦連絡事務局参与に任命され、腰砕けの日本人を尻目にGHQとの交渉(ガチバトル)にあたりました。
たかがGHQに対して外人アレルギー丸出し、言葉も通じない卑屈な官僚と政治家の邪魔な妨害を受けながら
白州次郎さんは厳として筋を通し、一歩も退きはしなかったのです。
敗戦国の日本を侮り軽んじたGHQも、彼の強硬な意志とインテリジェンスには舌を巻きました。
屈強な抵抗を見せた大和民族の戦意やプライドも…遠い過去のものと確信していたGHQも
彼を称し 『従順ならざる唯一の日本人』と、本国に連絡しました。
白州次郎さんにしてみれば、ごく普通の英国紳士のように国際人としての常識を貫いただけ…
しかし、アメリカ人にしてみれば『オーパーツ』、研究し尽くした日本人気質を籠絡できぬ屈辱?。
彼のエピソード…ありすぎですが、その代表を
あれは昭和20年12月のクリスマスでした。
マッカーサー司令長官を訪ねた白州次郎さんは、天皇陛下からのプレゼントを届けました。
すでに部屋のテーブルの上は各界からのプレゼントでいっぱいの状態。
マッカーサー司令官は、彼に…床のどこかに置いていけというという仕草をした瞬間。
白州次郎さんは 『いやしくも天皇陛下の贈り物である。床などにおけるものか!』と…
叱責し、雷鳴の如く怒りを爆発させました
(原爆の破壊力の比じゃありません)。
驚いたマッカーサーは(マイガッ)、大急ぎで新しい机を運ばせました (ソーリー)。
GHQ民政局長のホイットニー将軍は『白州さんの英語は大変立派な英語ですね…ニヤリ』と皮肉なお世辞を言ったのですが…。
そこには、勝者としての奢りが込められていました(粗野な日本人め!)。
対する、白州次郎さんは『貴方も~もう少し勉強すれば立派な英語になりますよ』と一言。
暴走炉心よりも熱いハートを 南極よりクールな頭脳で生きるのが真の日本男児!。
日本民族が歴史上最も自信を喪失し、他国に支配されて卑屈だった時代。
強大な支配者に対して一歩も退かず、日本人の気概を示した人物こそ白州次郎さんでした。
衣食足りながら、醜く惨めに責任をなすりあう現代日本の政治家達の誰が真似できますか。
彼が心血を注ぎ切り拓いた逆境からの僅かな道…。
イニシアチブを米国に握らせず、尊重させた白州次郎さんの『ジープ ウェイ レター』の逸話。
『GHQは飛行機で、日本人は曲がりくねる山道をジープで進んでいるが、実際お互いが目指す道に違いはないのだ…と説いています。』
真摯に、そしてユーモアも交え…自分の欠点は長文になりやすい点だが…と。
しかし、これも新憲法の制定を推し進めるGHQへの決定打とはならず、
結局はマッカーサー案を元にした日本国憲法を翻訳させられることに。
昭和21年 3月 5日 翻訳作業は終了しました。
憲法第一条 『天皇は日本の象徴』 など、内容は…負け戦ゆえであったが
11月 3日 日本国憲法は公布されました。
願わくば、誰もが彼ほどの人物であったなら…と惜しまれる。
サンフランシスコ講和会議委員 随員一覧。
現在の私には憧憬の対象でもある、偉大な日本人が白州次郎さん。
おそらく政治的な戦後史は皆さんがお詳しいことでしょう。
いまこそ、日本に必要な人物だと多くの人々が述べられます。
しかし、それは彼に頼り…責任を押し付けて…無為に暮らす国民の脆弱なエゴイズムと感じます。
満足な功績もなく天下りだけ必死な輩は、保身のためだけに老いてきたのでしょうか?。
その政治力を 『白州300人力』 と囃し立てても同じですよ。
真に尽力してくださった彼に、感謝や敬意をはらうというなら…安らいでもらいましょう。
彼を越えた人材を育むことを忘れてはなりません。 応える術はそれだけ。
望まぬ渦中に巻き込まれ、最善を尽くし…名誉もなく去る。
白州次郎さんは、東京町田市に居を構え 『武相荘』 と呼び、妻の正子さん家族と暮らしました。
自然回帰な自給自足を目指す彼の農業を尊ぶ姿勢がカッコイイと思います。
戦後激動の日本で、華族出身の細君がよく理解し…反発しても付いてきてくれた幸せ。
彼自ら農作業に勤しむ姿。 とてつもなく…傾奇いてます。
英国の紳士、欧米の実業家は若き日は猛然と働き続けて結果を出し、財産を築きあげると
後進の育成も果たすと潔く引退し…残りの人生は悠々自適な生活を善しとします。
日曜大工も畑作にも精を出す…気取らない彼のダンディズム。
花を植え、ゴルフも自動車も楽しむ一生のスタイル。
英国人の理想は、都会で仕事を成し遂げ、地方の田園に住んで自然を堪能する暮らし。
普段は田園に暮らし…ことあらば都で獅子奮迅の働きもする。
成り上がり者のように新しい服などで飾らず、着古した洋服の着こなしを愉しむ。
どこか、『ターシャチューダーさん』の暮らしにも通じるガーデンライフは理想です。
決して人間性を犠牲にしてはならない、そんなプリンシプル。
自然とともに生きたい、『カントリージェントルマン』 の”武相荘”ライフ。
土を愛し農業を軽視しない、時代の先駆者としての先見ばかりに感服します。
日常は都会で仕事をこなし、週末は地方で自然を満喫する生活。 実に理想的だ。
白州次郎さんが愛したヴィンテージカー 『 W・O ベントレー 』1924年型
愛車、ベントレー、ブガッティと疾走したレース。
親友とのヨーロッパ横断ドライブの日々、油まみれのクルマ好き少年 『オイリーボーイ』
帰国の際に別れてきた愛車は、多くの人を経て…いま日本にあるのです。
いつまでも少年のような瞳、彼が疾駆した時代の風を感じられるでしょうか。
政治にも偉人にも疎い私が共鳴できる『彼』は、クルマを通してかもしれない。
70歳を過ぎても豪快にスポーツカーを乗り回す姿、スピード違反もしちゃうほど。
ジープやランドローバー、ベンツに乗るだけではなく国産車のミラージュ、シビックも駆った。
カーマニアで、己のことなど語らないダンディーな彼。
妻であり随筆家の白州正子さんなどの回想から…吉田茂の懐刀など武勲は果てしない。
東北電力の社長時代は、サングラスをかけローバー(英)で現場を回ったというタフガイぶり。
初代TOYOTA ソアラ購入者だった白州次郎さんは、豊田章一郎社長とも友人関係。
TOYOTAの技術者で、ソアラ開発担当の岡田稔弘さんも次期ソアラについてアドバイスを受け
二代目『ソアラ』 がロールアウトしたといいます。
生きておられたら、私も師と仰いだことでしょう(ソウル・マスター)。
その少年の瞳を輝かせながら 眩しい天界の炎となった『彼』
これからは私達がやらねば!! 敬礼。
いまでも多くの心に生きておられる最強のナイスガイ 白州次郎さん!