日本の救難活動において『最後の砦』と呼ばれる者達。
いかなる国内の救助も不可能なミッションが発生した時も、自衛隊だけは困難な救難活動へと出動していくのです。
荒れ狂う厳寒の洋上…そして山岳で、時には地震や台風などの要救助者!。
国、地方自治体からの災害派遣要請に応じて出動する彼等。
これは民間空港で自衛隊が救難部隊による救助作業のデモンストレーションを行った際の写真です。
その拠点は、国内10箇所の航空自衛隊基地です。
2011年に被災した松島基地も、その役目を負った部隊が配属されていました。
世界の軍隊と違い、戦地に行かない日本の自衛隊は『RSAR』(アールサー)後方捜索活動です。
彼等の最大の任務は! 『災害派遣』。
そして『航空救難』という、自衛隊機が墜落など消息を絶った際に緊急出動する任務に大別されます。
エマージェンシー発令!!
ベイルアウト(緊急脱出)したパイロットを救出に!。
さあ、きょうは貴女もブリーフィング・ルームに直行です!。
では、航空救難に赴く自衛隊機を紹介しましょう。
上の写真で空色にカラーリングされた航空機をご覧ください。
この機体は『U-125A』。
三菱MU-2の後継機として導入された航空機です。
レイセオン社製の双発ターボファンジェット装備。
ビジネス機ホーカー800シリーズの末裔となります。
この機体は優秀で韓国軍にも採用されておりまして
800RA観測機や800SIG電子偵察機として配備されています。
(実は救難捜索のために保有している実績の国は日本だけなんです?)
要救助者の確保には、速度の速いU-125Aが先行して現場統制を行いながら…ヘリコプターの安全な誘導をするコンビネーションが大切。
サバイバー(遭難者)の早期捜索には迅速な行動と判断がなければならないのです。
最大速度 時速820㎞/h
航続距離 4,000㎞に到達する性能。
機首ノーズコーンには、(TIE)赤外線暗視装置、捜索用レーダー、捜索視界を確保する大型ウィンドウなどが特徴。
さらに、マーカーや救難用火工品から保命用援助物資の投下装置を備えています。
信頼のおける、スラスト・リバーサー付きのTEE731-5R-1Hターボファンエンジン。
全長 15,60㍍ 全幅 15,66㍍ 全高 5,36㍍
主なクルーには、パイロットとコパイロット(機長と副操縦士)、ラジオ・オペレーター(機上無線員)、メディック(医療救難員)の4名が乗り込みます。
このエンジン音が聴こえてくれば、もうすぐです…救難ヘリコプターも到着間近ですから
次は、現場で捜索から救難活動まで行う頼りになる凄い機体!。
”救いの翼”『UH-60J』です。
シコルスキー社製 UH-60A汎用ヘリコプターを三菱重工が国内でライセンス生産しています。
V107救難ヘリの後継機となります。
前述のTIE、気象レーダー、ホイスト用油圧ウインチ、捜索視野の広い側面バブルウィンドウなどが主な装備品。
ところが、近年~緊張が増す東アジア一帯の有事が懸念されるため、一部の救難ヘリコプターは自己防衛装置であるミサイル警戒システムやフレア・ディスペンサーを搭載することになっています。
これまでの機体は、白と黄色のツートーンでした。
最近は、青と紺のツートーン洋上迷彩が施されてきました。
機能的な迷彩になったのは?、弾道ミサイルの脅威や侵犯の拡大。
現実の仮想敵国の存在と避けられない有事に備えてのことです。
将来的には、護身用の機関銃装備や空中給油によって活動半径を伸ばす計画も…。
(C-130輸送機が専用給油機の代わりに運用)
以前は、救難機として目立たせるための機体は黄色。
いまは、救難機であることも欺瞞する迷彩色で任務遂行。
世界の緊張状態はとても残念ですね…。
機体左右には外部増槽タンク(250ガロン)が長時間の飛行を可能にしています。
最大速度 270㎞/h
航続距離 1300㎞
たくさんのアメリカ同盟国で軍属に使用されているベストセラー機。
回転翼は16,36㍍にもなり
全長 15,65㍍ (ブレードまで含むと19,76㍍) 全幅 5,43㍍
T700IHI-401Cターボシャフトエンジンを2基搭載します。
なにはともあれ、救難ヘリコプターの任務は日々苛烈さを増しています。
UH-60J の搭乗員は、パイロット(正・副)、フライトエンジニア(FE)、メディックの5名です。
フライトエンジニアは、機上からの降下と吊り上げのホイスト操作も担当します。
メディックは、要救助者を直接救助。
上の写真は、ホバリングしながらホイストする吊り上げシーン。
(~サバイバル・ピックアップの実演。)
ホイストのウインチは、ヘリ機体の右側に装備されています。
クルーホバースティックを操作すれば、若干の機体制御も可能ですから、救助者への接近や吊り上げバランスを保てます。
あまり機体を下げると、救助者に風圧のダウンウォッシュ?の影響が深刻なので高度は一定に!。
冬場の海難ならドライスーツを装着するなど、キャビンの内部は様々な救助物資が用意されています。
地震や大型台風など災害の要請権者からの災害派遣要請は増え続けている現在!
自衛隊員の任務は重要度を増しています。
※小松基地に所属する救難隊員は、加賀獅子頭をシンボルマークにしています。
ご当地デザインですね。
小松基地の救難隊を描いたオリジナルアニメーション 『よみがえる空』 をご存知ですか?。
また、実写版の邦画 『空へ 救いの翼 RESCUE WINGS』 など
(秀作です。)
こうした作品の中で、彼等の活躍が描かれています。
『空へ 救いの翼』 では、女優の高山侑子さんが、女性初の救難ヘリ・パイロット役で出演。
これは、OVAの付録ですよ。
参考までに活動範囲が主に”海”に限定される海保(まさに勇者達)。
海上保安庁では『洋上救急』という任務のみです。
プロが使用する最新の潜水装備による海中救助作業については、互いに高度なスキルやノウハウを研鑽していることでしょう。
陸海空の自衛隊、米軍も海保も警察や消防庁など数々の組織が救難のためにチームを編成しています。
米軍に至っては矢弾が飛び交う戦争の中で命懸けの(時には敵も)救助活動。
敵により撃墜されることもあるのです。
左側のドーム状ガラスがバブルウインドウ。
ここなら頭部を遮らず肉眼で探せます。
(現在は、この洋上迷彩色に塗装されています…精悍なイメージですね。)
きょうも何処かで誰かが救助されている。
希望を忘れない、私たちを守ってくれる翼があるから。
皆さんの健闘をお祈りしています。
海上自衛隊 対潜能力に優れた SH-60J 艦載哨戒ヘリコプター
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