人生にも言えますが… 就航以来、この船が辿った航路は決して華々しい栄光ばかりじゃありません。
戦争や敗戦後の役目も辛かったでしょう。
前近代的な装備で大洋を渡ることは、宇宙開発なみに危険な賭けですから。
人間の仕事も厳しい条件の中で達成したほうがクオリティが高いでしょう。
判官贔屓かもしれませんが、
そんな…人と共に苦労して生きた船の話しだから惹かれるんですね。
ファンネル部(煙突)は、エンジン排気の抜ける場所。
ふたたび…煙をあげて大洋を往くこともなく。
海洋史のモニュメントとして存在し続ける姿を…。
その意志は決して朽ち果てない勇気!。
コンパスのマークが輝きを失うことは無い。
ここは船舶の中央部で発動する主機関部。
よくクルマで聞く、ミッドシップ?という形式の呼び名は元来は船舶のものです。
やはり安定した重量配分ですね。
「宗谷」の心臓部には…
8気筒の2サイクル・ディーゼルエンジンを搭載します。
(新潟鉄工製の2400馬力モデル。)
ディーゼルといえど高出力で、自衛隊の戦車なども2サイクル・ディーゼルですね。
戦闘で被弾してもガソリンよりは安全性が高い燃料(軽油など)を使えますから軍用車には向いています。
(大型船舶には2ストロークでユニフロー掃気の低速ディーゼルが適してますね。)
ガスタービン・エンジンなども主流になりつつありますが、とても速い分…あまりに燃費が悪いのが弱点。
ビルなどの非常用発電機にも普及してますが、灯油を燃料にして、重油より排気もクリーン。
現代のイージス艦などは、ガスタービン・エンジンを採用しています。
発電所など…こうした大型の動力機関部ばかりを見慣れてしまうと
クルマのエンジンが腕時計のように緻密に思えます。
音響測探儀(エコー・サウンダー?)
ソナーのような探測機能。
主に海の深さや障害物(流氷など)探知に。
電探(レーダー)技術などと共々に発達していれば…
第二次大戦での結果も変わっていたかもしれない。
~いやいや考えまい(戦争反対)。
ここが「宗谷」の”お風呂場”ですよ。
真水を節約するため、航海中は海水を…南極では海の氷を蒸気で溶かして使用しました。
海水を使うのは、自衛隊の護衛艦も同じですね。
艦内の水洗トイレでも海水を利用しています。
海域によっては採水で?夜光虫まで混じり、暗くすると光の粒が見えるそうです。
立派な護衛艦のお風呂も海水を濾過した水源。
大海原でも「水」は貴重な資源です。
羅針盤(ジャイロ・コンパス)
いまも~大戦中も、日本国は…どこで大切な進路を誤ったのでしょう。
氷塊に閉ざされた、現役時代の「宗谷」の勇姿です。
船体の色が真っ白な氷に映えますね。
いまでも”アンタクティカ(南極)”は夢の大陸。
オーストラリアと比較して2倍の面積。
世界では5番目の広い陸地。
太古の昔は温暖で豊かな緑の自然に~生命も繁栄した土地だという説もあります。
かつて地軸が傾き…世界は変貌したのでしょうか。
これからも研究の成果を楽しみに。
こうして触れると…現代の船舶より、武骨で重量感もあふれる「宗谷」。
戦わず平和を叫び~掴んだ数少ない船なのです。
何万海里を旅しながら、奇跡を起こした船がいます。
自分も苦境に負けず、かくありたし。
乗船させていただきまして、ありがとうございました。
そういえば、帰宅した私の部屋にも宗谷…の名が
今頃、北海道の海は寒いでしょうね。