かつて東洋工業「MAZDA」から提供されていた広報誌です。
なんとA3版サイズで見開きも鋭い。いまの時代、どこを探してもなさそうな熱血のモータースポーツPR誌。
これはラリー特集号Vol,5
当時のサバンナ、つまりSA22Cがイギリスで1981年に開催されたRACラリーにチャレンジしたレポート。
英国内の全てのモータースポーツを統轄するロイアル・オートモビル・クラブ。
その名を冠したラリーなのです。
もう一方はFF化されたばかりのファミリア…323が、1982年WCRモンテカルロ・ラリーで奮戦した記録。
この頃の気象では積雪はないため、ドライ路面で得意のFFは生かせず…大馬力のグループ4マシンが鬼神の様を演じる激戦の舞台に、マツダはグループAのクラス5という最も市販車に近いカテゴリーで出場。
結果は、僅か1300㏄で70馬力そこそこのファミリアが3位入賞を果たした。
もし…雪や氷があればグループA優勝、総合20位を狙えたかもしれない。
あのチュリニ峠のSSを果敢に攻めるマツダ!を見たかった。
型式 E-SA22C
マツダといえば、FC…FD?いいやプアマンズ・ポルシェなどと揶揄されたSA22Cこそが見事なサムライでした。
排ガス規制をかいくぐり…牙を抜かれた国産車で唯一のハイパワーを遺憾なく発揮させたロータリーの駿馬サバンナ。
押し寄せた第一次オイルショツクの津波は燃費との戦いだった。
コスモスポーツの再来!コンパクトで流麗な未来的スタイル、なによりもRX7のパワーと静寂性は比類なき速さの結晶。
そして遂に軽量で高い運動性にターボを搭載したハイパワーのRX7が誕生。
12Aロータリーは、1/4マイルを16秒台で走りきる加速で魅了し、数多くのドライバーから絶賛されました。
衝突安全ボディー設計で鈍重になる国産車から見れば、理想的なクルマの進化だといえるでしょう。
ロータリー開発は山本さん達の執念の戦い
完成したコスモスポーツが広島から実走で東京モーターショーに登場したという逸話も懐かしい。
栄光のRX7。公道をサーキットを駆け抜け、そのオーラ”彗星の衣を纏う”戦士であった。
片山義美ドライバーにより参戦のデイトナ24時間レース完走4位。
そしてル・マン耐久レース疾走の記録。
なにもかもが実験室のようなRX7にもたらされた試練!。
マツダが完成させた4ローターR26Bはル・マンをも制したのですから。
忘れもしないゼッケン55…787Bの総合優勝。
(挑戦17年目にして果たした非レシプロエンジンの殊勲!)
ロータリーを愛し、信じて支えた者全てに捧げる勝利でした。
やはりRX7のステージは公道。
それも軽量ハイパワーでラリーに挑んでいたことは特筆すべき点でしょう。
いまでも斬新なフォルム、リアのガラス・ハッチゲートは利便性が高い実用機能。
いまでこそ必要なコンセプトが詰まっている。
この図は、モンテカルロの各レグを表す。
出走した二台のファミリアも完走した。
ほんとうのコストパフォーマンスは東洋工業が一番優れていると確信しています。
国産車で初めてフルタイム4WDを量産したのもマツダ(ファミリア)ですから。
後期型のリミテッドエディション。
いい感じにまとまってます。
13Bロータリーは確かに強力。
FCとFDは名車の誉れ高い技物。
しかし、SA22C…は、コスモスポーツより高い居住バランスや質感~足回りの充実、なにより後のモデルほど先鋭的でない優しさ?ルックスに嫌味な感じがない好青年的。
MAZDAからはモーターショーのコンセプトカーTAKERIを彷彿とさせる新型アテンザなど、スカイアクティブ技術と銘打たれたクルマがリリースされます。
しかし、いま一度…世界を震撼させてくれる?クルマを用意するなら…。
ロードスターにコンパクトなロータリーエンジンを搭載するしかないでしょう。
軽さがあれば…馬力もいらない。
実現性ある最強のメッセージ。
もしかしたら、ロータリーファンが見果てぬプロトタイプRX9よりも再臨が待たれるのではないでしょうか。
実現は…ともかく、ロードスターでさえも肥満傾向にある昨今?
中途半端に重くされ、楽しみを欠いたオープンカーや燃費とクリーン化に苦しむロータリーの融合は魅力あります。
若者のクルマ離れを嘆く人がいますが…
私にはメーカーがユーザーの顔色を窺いすぎて二の足を踏んでるとしか思えません。
もう一度、夢を与える牽引力を示してほしい。それこそがロータリーの真の魅力かもしれない。
まだまだ書き足りませんが、孤高のロータリーで疾駆し、ユーノスロードスターの販売成功では…滅びつつあった手軽なオープンカーの魅力を再興させて、冷えきった世界の自動車メーカーの方針を180度~変えさせたといっても過言ではない。
現在の経営不振も、雇用を守るため国内生産を続けていてくださるから。
海外の生産拠点に移行すれば、日本人の暮らしを脅かすことを心配しての判断。
苦しい時に手を差しのべてくれている…
数値や効率だけじゃない、諦めない心で応えてくれるんだ!。
不器用なMAZDAは、その探求心による最高のクルマ造りで世界を三度!変えることでしょう。