★ケンカして会社を辞めた私が、瞑想を習い始めたキッカケ | ゼロ思考 (願いが叶う潜在意識・瞑想・ゼロ思考アファメーション・カウンセリング)★佐田弘幸

ゼロ思考 (願いが叶う潜在意識・瞑想・ゼロ思考アファメーション・カウンセリング)★佐田弘幸

瞑想歴20年、プラス思考の弊害を唱えて20年。
日本人に合う独自のゼロ思考アファメーションや、潜在意識の攻略法などを「ゼロ思考メソッド」として提唱。カウンセラーの養成講座も好評。

よく聞かれる瞑想を始めたキッカケを書いてみます。
最初の書籍「すべてはうまくいっている」にも書きました。

しかし、2次会なのではもう少し詳しく、言われていたため、補完のつもりでこれから記していきます。

......

私が広告代理店を辞めた冬。
バブル崩壊の後、多くの人が明日への光を見失っていた80年代後半のころ。

ディレクターという仕事柄、インスピレーション開発の必要性を感じていて、それには瞑想が効果的であると聞き、半信半疑で瞑想を始めました。
伝えてくれた人が、「インスピレーション開発において自分が今まで経験した中では、瞑想が一番」と語られたのです。

知人は多くの経営者を指導してきた実績もあります。
それは、私にとって彼の語る瞑想効果の信憑性を増した要因でした。

そこで私は、畑違いとも思える分野の扉をたたいたのです。





私が瞑想を始めた時期に重なって、会社では社長が2代目に代わりました。
2代目は仕事の最中でも、いつの間にか忍者のごとくよく消えました。
連絡が取れないことも多く、仕事が途中で進まないことが多発したのです。

クライエントに謝るのは現場の仕事。
それが続くことで、先輩社員たちも2代目に見切りを付け、一人また一人と他の会社へ…

仕事が少なくなる中、早く帰れる日が続き、自室で瞑想を何時間も続ける時間が作れました。
会社でも昼の休み時間には、写真用の暗室に入り瞑想をしていました。
静寂の闇の中、一人で目を瞑っていたのです。

最初に体感できた効果は、直接的なインスピレーションではなく、長年悩んでいた不眠症においてでした。
それまでは、遠くに新聞配達のバイクの音が聞こえるまで、羊の数を数えていたのです。

暖かい布団から離れる踏ん切りが、なかなかできなかったのが楽になっていきました。





会社の体制がガタガタになってゆき、仕事をしたくても会社そのものの存続も怪しくなりました。
何とかしなければ…と現場にいる我々は思案するのですが…

知り合いから、仕事の見積もりを頼まれた時のこと。
相手は、「最初の小さな仕事で値段を控えてもらえると、後に大きな仕事をお願いするとき、社内の稟議を通しやすいから…」と気を遣ってくれました。

それを踏まえて帰社し、社長に見積もりを頼むと、初代の社長(会長)が出てきて、「そんな安い仕事はしなくてよい。昔は…」と却下されるのです。
経営側との考えの違いと言えばそれまでですが、ぽつぽつ社員が抜けていったので、実務に支障がきたすようになりました。

そんな中、知人から頼まれ、上層部に却下されたカタログ制作の仕事をがありました。
先方へ却下されたことを伝えると、先方は「あなたがアルバイトでしてもらえないか?」と頼まれました。
社内の就労規定でもバイト禁止とは謳われておらず、仕事外の時間ならバイトOKだろう…、と当時の私は悪く考えずに引き受けたのです。

時間外バイトで自分のカメラ一式と、経費は自腹でするため問題は無かったのですが、ストロボなど一部会社の機材を借りてきてしまったのです。
いつも使い慣れているとはいえ、これは良くない行為ですね。

結局バイトしていることが社長にわかり、私は呼び出されました。
そこで、会社の機材を使っていることを確認されて、私は正直に認めました。

事の重大さに気付いたときは遅かったのです。
謝罪するしかありませんでした。

そこで社長は私に言いました。
「どうするねん、会社を通さず勝手に仕事をしおって。
お前が見積もり取って、会社の機材を使ってバイトしたのはわかっているからな。
責任を取って辞めるか?どうするねん?」

「ちょちょっと待って下さい!
確かに機材を使ったことは間違ってました。
しかし会社を通さず、勝手に仕事を受けたわけではないですよ。
それに会長が『わりが合わん、断ってこい』って一度断った案件ですよ。
相手がどうしてもって言うし、頼むからバイトでも受けてくれないかと言ったため、私が…」

「なにぃ?この期に及んで言い訳か!え?
証拠として見積もりのコピーも取ってあるんやぞ。
しかるべきところに出せる証拠としてここにあるからな?」

コピーを手でひらひらさせて、

「どうや!何か言ってみ?」

人間勝手なもので、社長が勝ち誇ったように言うのにカチンと来た私は、現状の社長の行動に対する気持ちを素直に述べたのでした。

すると社長もカチンと来たのでしょう。
「なにぃ?それとこれは違うやろ!なんやたら辞めるか!?ボーナスでないで!」と言いました。

「そういうことなら私は辞めます」
と、とっさに口から言葉が出てしまったのです。
本心からと言うより、たぶん反発心からの勢いだったのでしょう。

これには社長も驚いたようでした。
私も驚きました。

先ほど辞めろと言った社長のその口から、
「この場合は、『こういうことがあったから、これから頑張って会社のために働きます…』と頭を下げるのが筋と違うんか?え?どうやねん?」
「は?さっきは、辞めろと言いましたよね?」
「…」

未熟な私は、「立場を振りかざして、他人を支配しようとする行為」には、つい噛みついてしまったのです。

おかげで今まで片付けが苦手な主人に使われていた私の机は、隅々まで初めてキレイに片付いたのです。
職を失った師走、何も物が置かれていない机には、冷たい木枯らしが吹いていました。





師走の風は冷たく、鉛色のどんよりした空の下、
「そうか、やっぱりこれが答えだったんだ…」と独り言をつぶやきながら車に乗り込んだのです。

「しかし、ボーナス無しはキツイよな…」

肩を落としながらも、

「まぁなぁ… これは信じるしかないな。
 …
 やっぱ、ボーナス無しはキツイよな。
 …
 でも、たぶん大丈夫」

何度も自分に言い聞かせて、もう二度と通らないであろう景色をぼんやり眺めながら、会社の駐車場を後にしたのです。

そのとき、暗くなりかけた道には街灯が灯りました。


…続く


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