国内最大級のジャズの祭典「サッポロ・シティ・ジャズ2024」が、きのう13日から市内10会場で始まった。今年でもう18回目だと聞いて、始まって数年目の頃のことを思い出していた。
高校までロック小僧を自認していた二男は、大学へ入るとなぜかジャズ研究会に所属して、ときに中央区の“ジェリコ”などのジャズバーでライブ演奏したりしていた。セッションの即興が楽しいというが、ジャズに疎いこの親にはよくわからなかった。
その倅が、研究会にスゴイ先輩がいるというので、どうスゴイのか訊いたら、サッポロ・シティ・ジャズの「パークジャズライブコンテスト」に自己の「ピアノトリオ」で出場して優勝し、翌年のカナダ・トロントジャズフェスティバルに出場する権利と賞金(渡航費用)100万円を獲得したという。ほほう、そりゃまぁ、スゴイのう。
倅は卒業まで、ジャズ研の活動には熱心だったが、のめり込むことなく、就活ののち社会人となった。“スゴイ先輩”のほうは、カナダトロントジャズフェスティバルに2度出場したが、ピアノに打ち込み過ぎて留年したり、卒業後は道内の企業に就職したものの3か月ほどで辞めてしまったと聞いた。ピアノのことしかアタマになかったようだ。
現在、“スゴイ先輩”のサイトには、ピアニスト/キーボーディスト/ 作編曲家として、ライブツアーをしながら音楽制作、CM音楽などの提供、演奏家としてもジャズ等多岐にわたるジャンルのミュージシャンの演奏を支え、全国ツアーなどをサポート、と紹介されている。
音楽でメシを食っていくことのタイヘンさを想像すれば、倅に“スゴイ先輩”のような音楽に対する熱量がなかったことは、親の身として今もホッとしている。一方で、高1の夏の“ロックギタリストになる”宣言が半年で撤回されたときには、安堵しながらも、コイツは夢に向かう一途さがないのうと、複雑な心境になったりもしたから、好きな音楽に突き進んだ“スゴイ先輩”には、活躍を願ってやまない。
まぁ、きょう新聞に紹介された高校生諸君は、オープニング演奏で興奮を味わったようだが、そのまま傾倒し過ぎてはイカンよ。札幌は演奏家や音楽施設、団体など環境はよくても、職業となると話は別だ。音楽そのものを楽しめなくなる‥などと、つい親の目線になって記事をみてしまった。