「権利のための闘争」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

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日本日本日本


冒頭にドイツの法哲学者イエリング(一八一八~一八八二年)の

次の警告を記しておく(同人著「権利のための闘争」より)。

「隣国によって一平方マイルの領土を奪われながら、

膺懲の挙にでない国は、その他の領土をも奪われてゆき、

ついに領土を全く失って

国家として存立することをやめてしまうであろう。

そんな国民は、

このような運命にしか値しないのだ。」

さらにイエリングは、次のように主張する。

「自己の権利が蹂躙されるならば、

その権利の目的物が侵害されるだけではなく、

己の人格までも脅かされるのである。

権利のために闘うことは、

自身のみならず国家・社会に対する義務であり、

ひいては法の生成・発展に貢献するのだ。」


以上の、十九世紀のイエリングの言葉を掲げた所以は、

この言葉こそ、二十一世紀の現在の我が国に対する

「国家として存立できないぞ」という警告であるからだ。

我が国は、

十九世紀後半にロシアに全樺太を奪われ、

二十世紀初頭に樺太の南半分を取りもどし、

二十世紀の半ばにソビエト(現ロシア)によって

全千島と樺太を奪われ、

次ぎに韓国に竹島を奪われ、

さらに現在、中共によって尖閣諸島を奪われようとしている。

しかし、現在に至るも、

我が国は何ら「膺懲の挙」にでた形跡は無い。


斯くの如く云えば、日本政府の能吏は、

直ちにそつなく自らの不作為を否定し、

ソビエト、韓国そして中共に対し、

「領土の主張」は続けてきたと抗弁するだろう。

しかし、「口先」だけで

何ら「膺懲の挙」にでたことは無いことは確かだ。

従って、我が国は

「その権利の目的物(領土)が侵害されるだけではなく、

己の人格まで脅かされる」事態に至っているのだ。

つまり、

「軽蔑されている」ということだ。


このこと、本年二月二十四日の

ロシア軍のウクライナ侵攻によって、一挙に鮮明になった。

もはや、ロシアのプーチン大統領を「ウラジーミル」と呼び、

プーチン大統領から「シンゾー」と呼ばれて

両者の親密さと信頼関係を誇示していたことは、

「お人好しの馬鹿・無能の証明」以外の何ものでもない。

まことに、ロシアのウクライナ侵攻は、

二十一世紀における世界史の転換

即ち、十九世紀的な

軍事力による領土拡大への回帰を見せつけており、

我々戦後の日本人に、

「日本国憲法」の想定を超えた事態が

我が国に襲いかかることを警告している。

そこで、ロシアのウクライナ侵攻以来、

ロシアと中共が

ウクライナから遠く離れた我が国周辺海域において

何をしてきたかを概観するとともに

歴史を回顧してこの中露二国の「本性」を明らかにする。

その上で、我が国が従来の対応を継続することは、

我が国が「国家として存立することをやめてしまう」ことを促す

亡国の不作為であると認識しなければならない。


我が国から観て、中共とロシアとは何かを語るに際し、

まず日清戦争終結の一年後になされた

露清密約(明治二十九年)を知らねばならない。

これはロシアと清国の対日攻守密約であるとともに、

清国の李鴻章が超巨額な賄賂をロシアから受け取り、

事実上、満州をロシアに売却した密約である。

この結果、ロシアは、

「銀行と鉄道建設」(現在は、中共の一帯一路)による

満州領有を開始して、

満州において日本との戦争必至の事態を造りだした。

そして、我が国は、この痛恨の密約を知らず、

明治三十七・八年の日露戦争で、

血みどろになってロシアと戦って満州からロシアを追い払い、

清国が密約でロシアに売却していた満州を

清国に還してやったのだ。


この日露戦争の十二年後、ロシアに共産革命が勃発し、

一九一七年、レーニンが主導するボルシェビキが権力を握った

共産党独裁国家ソビエトが誕生する。

そしてボルシェビキは、中国共産党に対して、

レーニンの「内乱から戦争へ、戦争から革命へ」という

革命戦略を指令し、

中国共産党は、国民党との内戦のなかから、

「戦争から革命へ」の戦略を実践するために

日本との戦争を画策して日華事変を勃発させる。

そして、レーニンの革命戦略通り、

一九四九年に

中国共産党独裁の中華人民共和国(中共)が誕生した。

そこで、この中共誕生に関して、

ソビエト共産党と中国共産党は連携しており、

現在の中共主席の習近平(一九五三年生まれ)と

ロシア大統領のプーチン(一九五二年生まれ)は、

共に両国共産党のエリートで、独裁者であることを確認したい。

その上で、

以上の中露の歴史と習近平とプーチンの出自からみて、

現在においても、

対日攻守同盟としての露中密約が機能していると申しておく。


ロシアのプーチン大統領は、

日本の首相と、

「シンゾー、ウラジーミル」と呼び合っている時から、

毎年、シベリアや千島でボストーク(東方という意味)という大規模な陸上軍事演習を行っており、

近年は中共軍もこの演習に参加するようになった。

また、中露両国海軍は、毎年、日本周辺海域、

即ち、オホーツク海、西太平洋、東シナ海、日本海で

順繰りに合同軍事演習を続けている。

そして、本年二月二十四日から、

ロシア軍がウクライナに侵攻したことに関し、

中共はロシアを非難していない。

これは、

ロシアのウクライナ侵攻は、

中共の台湾侵攻と同じく正当性がある、

と言う中共の認識の表明である。


また、五月下旬、中露両国は、

インド・太平洋上空で合同軍事演習を行い

友好関係と戦略的パートナーシップを誇示している。

さらに、

東京で日米豪印首脳会談(クアッド)が開会されていたとき、

中共軍のH-6爆撃機とロシア軍のTu-95爆撃機が

十三時間にわたって我が国周辺海域上空を飛び続けた。

また、ロシア軍の艦艇と航空機と陸上部隊が、

ロシアがウクライナに侵攻してから、

オホーツク海や国後・択捉で

軍事演習を繰り返したことを忘れてはならない。

そして、これらは、

ロシアの対日恫喝ではなく

対日恐怖心の現れだと理解すべきである。

つまり、ロシアは、西のウクライナで手が一杯の時、

東で日本に動かれるのが恐いのだ。

このロシアの対日恐怖心は、

二十世紀に、ノモンハンや千島北端の占守島で

ソ連軍を撃破した

日本軍の想像を絶する強さの記憶が甦ったものだ。


さて、以上の通り、

我が国の海を隔てた西方に北からロシアそして南に中共があり、

これら両国の独裁国家権力は、

百年前の日清・日露両戦役以来、

国の呼び方は変わっても全く変わっていない。

はっきり言って、

対日合同軍事演習を続ける中露両国の願望は、

日本が弱体化した時に、

北のロシアが北海道を奪い、

同時に、

南の中共が沖縄を奪うことにある。

北の北海道と南の沖縄を失った日本がどうなるか?

これ、

冒頭に掲げたイエリングの警告通りではないか。


しかも、現在、その「日本弱体化」の絶妙の方策は、

日本国民に

「原子力発電放棄」と「脱炭素社会実現」を同時に推進させ、

日本のエネルギーを枯渇させることにある。

これは、我が国に向かうシーレーンを封鎖するという

十九世紀的な露骨な古典的方策よりも、

密かに効果を発揮する絶妙の秘策である。

令和四年酷暑の夏の参議院選挙の最中に、

我が国政府は、

国民に節電を呼びかけながら、

熱射病による死亡者増加を恐れて冷房を要請している。

このような相矛盾することをヌケヌケと要請するとは、

つまり狂っているのだ。

しかし、

選挙中において原子力発電再開を呼びかける動きは無い。

これは、

マインドコントロールによる日本政治と国民の思考停止で、

中共の巧妙な対日工作活動の成果ではないか。

従って、今こそ、国民は

まず生活の場におけるエネルギー問題を見直し、

原子力発電の再開を強く促さねばならない。


同時に、我が政府と与党は、

ウクライナに侵攻しているロシアと、

台湾に侵攻しようとしている中共が、

共に侵攻は当然としているのに対して、

我が国は、

彼ら以上に堂々たる正義を有していると主張すべきだ。

即ち、我が国政府は、

我が国が、

ロシアから千島と樺太を奪還すること、

同時に、

中共から尖閣諸島・沖縄を守り台湾を守り抜くことは

当然の国際的な正義であると、

堂々と表明すべきなのだ。


その上で我が国は、

ユーラシアの西方において

フィンランドとスウェーデンが

NATO(北大西洋条約機構)に加入することに祝意を評し、

ユーラシアの東方においても

ロシアと中共の両独裁政権に対抗する

「西太平洋条約機構」を結成することは

人類の福祉にとって必要である旨表明すべきである。


そこで我が国は、

かつて西ドイツのシュミット首相が、

ヨーロッパの総ての主要都市に届く

ソビエトの中距離核弾頭ミサイルSS20に対抗して、

アメリカから

モスクワに届く中距離核弾頭ミサイルパーシングⅡを導入して

軍事的バランスを回復して軍縮交渉を開始したように、

アメリカから

中共とロシアの主要都市に届く核弾頭ミサイルを導入して

軍事的バランスを回復しなければならない。

軍事的バランスの回復は、

平和の為に死活的に重要なのだ。

要するに、

今までの戦後日本は、

中共とロシアに対して援助ばかりして、

何ら「膺懲の挙」にでることは無かった。

しかし、これからは、

堂々と「膺懲の挙」にでようではないか。


以上、

「月刊日本」誌への投稿文に加筆したもの。


西村眞悟FBより。

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