帰天されたるみ子さんの母増元信子さんに | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 

 

十二月十二日午前六時、北朝鮮に拉致された増元るみ子さんの母
増元信子さんが死去された。
十五年前に、ご主人の増元正一さんが、
娘のるみ子さんに会えないまま、
「日本を信じろ」と子供達に言いのこして帰天され、
今また、母親の信子さんが、
娘に会えぬまま、逝かれた。
享年九十一歳だった。
信子さんの死去によって、
鹿児島県内の政府認定の拉致被害者の親御さんは、
全員帰天された。

告別式は、鹿児島県姶良市で、十四日午前十時から行われ、参列させていただいた。
北朝鮮に抑留されて参列できない娘のるみ子さんの明るい和服姿の写真を
姉のフミ子さんの娘さんが抱えて、るみ子さんに代わって焼香した。
そして、「会葬御礼」の挨拶状には、
子供達四人が、
喪主増元信一、るみ子、照明、平野フミ子と、そろって名を連ねていた。
北朝鮮にいる、るみ子さんも、母を見送ったのだ。

増元照明さんに、弔辞を、と頼まれ、
私は、次の通り増元信子さんの霊前で申し上げた。

娘のるみ子さんとの再会を念じながら、
会うことかなわず、旅立たれたこと、
実に、悲しく、また、無念であります。
そして、
まことに、申し訳ありません。
ご主人の正一さんは、「日本を信じろ」と言いのこされて、
十五年前に旅立たれました。
そのご主人のお言葉通り、あなた様は、日本を信じ、
娘さんのるみ子さんとの再会を、念じ、待たれていました。
しかし、我が国政治は、
未だに、自らの力で、るみ子さんを救出できず、現在に至っていること、
まことに、申し訳ありません。

我が国の政府、安倍内閣は、
拉致被害者を救出して日本に連れ帰るために
自衛隊を北朝鮮域内に投入するには、
「北朝鮮政府の同意がいる」
という見解を未だに維持しています。
しかし、本年末から新年、そして春に向かって、
北朝鮮が、
かつてのアルバニアのように、またカンボジアのように、
無政府状態に陥る事態が現実味をおびてきています。
その時、我が国政府は、「北朝鮮政府の同意」を待つのではなく、
総理大臣が、
北朝鮮政府の同意ではなく、
自らの決断によって、
直ちに、自衛隊に、
「北朝鮮から拉致被害者を救出せよ」との命令を発せねばなりません。
あなた様は、帰天されましたが、
それは、この世に留まっている我々と、
存在する場所が異なっただけのことであり、
ご主人とともに「拉致被害者救出」を念ずるあなた様の思いは、
今や、さらに強く、
現在ここにいる我々と共にあると全身で感じています。
これからは、どうか、ご主人と共に、
いざという事態が発生した時に、
総理大臣が、
直ちに自衛隊に対して拉致被害者救出命令を発するように、
そこから、安倍総理を励まし
、突き動かしていただきますようお願いいたします。
その意味で、生き死にの隔てはあろうとも、
我々の心は隔てなく一つです。

そして、私は、次の歌(蛍の光の歌詞)を歌わせていただいた。
  筑紫の極み 路の奥 海山遠く隔つとも
  その真心は隔てなく 
  一つに尽くせ国のため

 

 

平成29年12月15日(金)

西村眞悟の時事通信より。