【お金は知っている】
中国人の「爆買い」に支えられる日本経済。今こそ「消費減税」決断を。
7~9月期の国内総生産(GDP)1次速報によると、実質成長率は前期比年率マイナス0・8%で、4~6月期に続き2期連続のマイナスとなった。国際常識ではリセッション(景気後退局面)入りである。
消費税増税しても景気に響かないと言い続けてきた学者や日経新聞などメディアの多数派は、この期に及んでも「景気は大丈夫だ」と言い張るのだから、なんとも始末が悪い。はっきりと、「消費税増税は失敗だった」と潔く認め、政府にはさっさと2017年4月からの消費税率再引き上げの見送りを求めるべきなのだ。なのに、四の五のと言い続けられる背景には、景気後退の速度がかなり緩いことがある。
いったい何が消費税ショックを和らげているのかと思い、作成したのが本グラフである。
今年度の第1、第2四半期の主要名目GDP項目の前年同期比増減額を、外国人旅行者の支出額増減と比較してみた。一目瞭然、外国人旅行者の消費支出増加額は他の内需項目をすべて上回っている。GDPの6割を占める個人消費をはるかにしのぐし、7~9月期は民間設備投資増加額の3倍もある。
観光庁によると、7~9月期の外国人支出を国籍・地域別にみると、中国が4660億円で全体の47%を占める。中国人による「爆買い」が増税でふらつく日本経済を支えているわけである。なんとも面妖な。
訪日外国人客数は14年に1341万人で、15年は政府がもともと20年の達成を計画していた2000万人を上回る勢いだ。このまま増加基調が続けば、15年は4兆円前後になりそうな外国人客消費は20年には年7兆~10兆円になるという。
こうした皮算用にはどれだけ意味があるのだろうか。「爆買い」は円安効果そのものである。円高・人民元安に為替相場のトレンドが変わった場合、爆買いの勢いはかなりそがれるだろう。中国は資本逃避の急増により、外貨準備が急速に減少している。北京はいつ爆買い規制に乗り出すかわからない。それに、アベノミクスが中国人客頼みというのでは、薄気味悪いではないか。
再確認すべきは、安倍晋三首相がめざす20年度前後での名目GDP600兆円達成は内需の拡大なくしてありえない点だ。今年前半の名目GDPは年換算で約500兆円(14年度490・8兆円)にとどまっている。14年度を基点に20年度に600兆円にするためには、年平均3%台半ばの名目成長率が必要で、15年度は510兆円程度を確保したい。今のペースでは7兆円余りのハンディを負うことになる。
スタートでつまずくと、16年度以降の成長率のハードルは高くなり、600兆円は画餅に終わりかねない。
安倍首相はこの際、消費税減税を決断してはどうか。消費税増税のたびに勤労者や低所得者のフトコロを痛め、あわてて補正予算でバラマキ、あとは外国人客の買い物次第とは、無策の極みではないか。
(産経新聞特別記者・田村秀男)
zakzak夕刊フジ
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ここ十数年は自分で髪を刈ってますが、選ぶとすれば「技術」ですかね。