
米仏軍、報復空爆開始 NATO対「イスラム国」全面戦争へ
パリ同時テロ

イスラム国空爆のため発進する仏空軍の戦闘機=15日(ロイター)
フランスが報復攻撃に踏み切った。130人以上が犠牲となった、パリの同時多発テロを受けて、フランス空軍は15日夜(日本時間16日未明)、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のため、米軍と連携して、シリア北部の都市ラッカのIS司令室などを空爆した。オランド大統領も標的にしたとみられる、周到極まるテロ計画。欧米では、NATO(北大西洋条約機構)として「集団的防衛」を発動すべきとの声も出始めた。今後、NATO軍がIS掃討作戦に加わる公算が大きくなってきた。
死者132人、負傷者349人にも上った前代未聞の凄惨な無差別テロにフランスが怒りの鉄槌を下した。
フランス軍は15日、戦闘爆撃機など12機を出動させ、ISの拠点であるラッカを空爆したと発表した。司令室や訓練所のほか、弾薬庫などを破壊したという。同空軍は、ダッソーラファールF1戦闘機や、ダッソーミラージュ2000戦闘攻撃機、同戦闘爆撃機などを保有している。
有志国連合に加わるフランスは約1年前からISへの空爆に加わり、今年9月からシリアまで対象を拡大した。今回の空爆は、その中でも最も大きい規模だったという。
オランド大統領は今回のテロを「戦争行為」と指弾しており、あらゆる手段で報復を行う構え。バルス首相も「敵を壊滅させなければならない」と、空爆継続の決意を示している。
フランス警察は15日、ベルギー在住のフランス人、アブデスラム・サラ容疑者(26)の顔写真を公開した。生死や役割は不明として、事件前後の足取りや交遊関係などの情報提供を求めている。

シャルル・ド・ゴール空港に集結した兵士。イスラム国への報復攻撃が始まった=14日、パリ(AP)

アブデスラム・サラ容疑者(共同)
折しも、トルコのアンタルヤでは、15日からG20(主要20カ国・地域)首脳会合が開幕した。本来であれば世界経済が主要テーマとなるはずだったが、「テロ対策」が最大の議題となっている。
議長国トルコのエルドアン大統領は、テロに関する声明を別に発表する考えを表明した。国際社会は無差別テロへの断固たる措置を支持する流れで、オバマ米大統領は「文明世界への攻撃」と厳しく非難した。
今後、焦点となるのは、米英仏を中心とするNATO軍の動きだ。
欧米メディアでは、パリでの同時多発テロをNATO加盟国に対する攻撃とみなし、北大西洋条約5条に明記された「集団的防衛」を発動すべきとの声が広がっている。
米共和党のリチャード・バー上院議員は15日、NBCの報道番組で「米国はフランスと協調すべきだ」との見解を示したうえで、「5条」を適用して、NATO軍がISを攻撃すべきだとの考えを述べた。
北大西洋条約「5条」は、「ヨーロッパまたは北アメリカにおける1、2以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する」としている。
5条は2001年9月11日に発生した米中枢同時多発テロで、1949年のNATO創設以来初めて適用され、NATO軍の作戦行動がアフガニスタンで行われた。まさに「伝家の宝刀」とも言うべき強力な条項だ。
シリアをめぐっては、内戦終結に向けた外交努力が続いているが、ISの掃討が最優先になるのは明白だ。NATO軍による本格的な空爆が実施される日は遠くない。
今回のパリ同時多発テロでは、国家元首であるオランド氏が狙われた可能性も指摘されている。
オランド氏はテロ発生時、サッカーのフランス代表とドイツ代表の親善試合を、パリ郊外のスタジアムで観戦していた。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、武装グループの1人が、試合の観戦チケットを持っており、スタジアム侵入を企てたという。このもくろみは阻止され、犯人は自爆したという。
武装グループが自爆テロで使用した、高性能爆薬「TATP」も注目されている。TATPは作製材料がありふれており、比較的合成しやすく、「検知しにくい」性質を持つため、「魔王の母」との呼称を持つという。
これから、「テロとの戦い」はどうなるのか。
ISのテロに詳しい、軍事アナリストの黒井文太郎氏は「現在、ISを含むイスラム過激派によるテロは流行期に入っている。彼らが『ジハード(聖戦)』と呼ぶ自爆テロへの志願者は、日を追うごとに増えている。欧米各国はどこも危ない。米国、欧州、オーストラリアなどの人の集まる場所は、引き続き警戒が必要だ」と指摘している。
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