「元祖・猫島」「ありがとう。たま駅長」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 
震災復興に「猫の手」が一役。宮城県・石巻沖に浮かぶ「元祖・猫島」

 

夕焼けに染まる仁斗田漁港で、海を見つめる猫。1メートル以上地盤沈下が発生した影響で、港内ではかさ上げ工事が今も続く

「ニャーン…」午前5時前、まだ薄暗い漁港を歩いていると小さな声に呼び止められる。振り返ると数匹の猫がこちらをじっと見つめていた。

 宮城県・石巻沖に浮かぶ田代島は、猫を祀った猫神社の存在からも分かるように、古くから大漁と航海の安全の守り神として猫を大切にしてきた。「猫の天敵」として、犬の持ち込みは原則禁止という徹底ぶりだ。

 

 

猫を祭る「猫神社」。猫好きの参拝者が供えた、さまざまな猫グッズで埋め尽くされている
 
 島の至る所で数多くの猫がのびのびと暮らす様子がメディアで紹介され「元祖・猫島(ねこじま)」として、海外からも猫目当ての観光客が訪れるなど、賑わいを見せていた田代島だったが…。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、島では1メートル以上の地盤沈下が観測され、定期連絡船の桟橋や漁港も使用が困難に。また、多くの漁師が携わっていたカキの養殖棚も津波によって流された。人的被害こそ1名だったが、島の生活は大きなダメージを受けた。

 そんな田代島の緊急事態を心配した人々による募金活動も行われ、わずか3カ月で目標額の1億5千万円を集めるという驚きの“猫の手パワー”も話題となった。

 しかし、カキの養殖を行っていた漁師の多くが高齢ということもあり、震災後は刺し網漁などを細々と営むなど、島民すべてに支援の手が届いているとは言えないのが現状だ。

 そんな漁師の1人、阿部頼男さん(77)は「ゼロからじゃない、マイナスからの再スタートだから難しい」とため息。また「震災前はたくさんとれたシャコがすっかり減った。今が最盛期のはずだけどな」と海の変化にも不安げだ。

 震災から5年目を迎えてもそんな状態の田代島に、猫目当ての観光客がひっきりなしに押し寄せる…。住民はどのように思っているのだろうか。

 民宿「海浜館」を営む尾形あやめさん(82)は「(猫目当ての観光客が来ても)いいことばかりじゃないよ。騒々しくて嫌だという人もいるし。ただ、石巻と田代島を結ぶ定期船の便数維持のためにも、たくさんの人が乗船して、島を訪れてくれるのは感謝している。住民だけでは(便数が)減らされる恐れもある」と話す。

 仁斗田の集落で、玄関先にひときわ多くの猫が集まっているお宅にお邪魔すると、出迎えてくれたのは畠山和子さん(76)。毎朝、集まった猫たちに特製の「卵チャーハン」を与えている、田代島の猫たちの母のような存在だ。船着き場で連絡船の綱取りなどに従事するご主人の博さん(76)とともに、島の猫たちの面倒を見ている。「震災前も今も、支援があろうと無かろうと、お父さんと一緒にこうやって猫たちにご飯を食べさせてきた。これからも変わらない」和子さんは笑う。

 
 
畠山博さん宅の玄関先は毎朝、食事目当ての猫で埋まる。妻の和子さんは「震災前も今も、支援があろうとなかろうと食べさせる。これからも同じ」と笑った

 かさ上げ工事が進む中、震災の爪痕を大きく残しながらも、猫に癒やしを求める来島者を受け入れる田代島の夕刻、人の気配が消えた港にたたずむ猫が1匹。自分の存在が復興に一役買っている事など知る由もなく、きらめく海を見つめていた。(写真報道局 尾崎修二)

 

早朝の仁斗田港、漁師からもらった豪華な〝朝食〟をくわえて悠然と歩く猫。魚の正体はこの地方で「ボッケ」と呼ばれるカジカの一種

 

朝焼けに染まる仁斗田港で網の手入れをする阿部悦子さんのそばには、おこぼれをちょうだいしようと数匹の猫が行儀良く座っていた

 

仁斗田港でじゃれ合っていた2匹の猫。何かのきっかけでバトルが勃発!

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産経ニュース

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最後は「名誉永久駅長」の辞令 たま駅長社葬にファン涙



ネコの駅長として国内外で人気を集めた、和歌山電鉄貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市­)の三毛猫「たま駅長」の社葬が28日午後から同駅構内でしめやかに営まれた。同駅に­は、たま駅長にお別れを言おうというファンが朝早くから殺到し、冥福を祈る姿が見られ­た。また葬儀委員長を務めた同電鉄の小嶋光信社長はあいさつで言葉を詰まらせながらも­「あなたの功績というのは、日本の地方鉄道をすくったというように私は思っています」­と語り、たま駅長に「名誉永久駅長を命ずる」と最後の辞令を出した。