【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】(474)
中国チキン「ものすごい異臭を放つ」手羽先も
「上海福喜食品有限公司」の鶏肉加工品の生産ライン=20日、中国上海市(共同)
誰もが不毛の戦いであることを知っていながら〈今回の戦闘が始まって最初の9日間で、パレスチナ人の子供59人が死亡。大半は12歳以下だった。今では、1時間に1人の子供が犠牲になっている〉。
『ニューズウィーク日本版』(8・5)、11ページの大特集「イスラエルの暴挙」は日本の他の週刊誌にはできない特集だ。
〈海岸でサッカーをして遊んでいたときに砲撃を受けて死んだ4人の子供は、ただの数字の4ではない。4つの物語があり、4つの人生があった。断食明けの食事を前に死んだ一家6人もそうだ。6つの限りなく豊かで、計り知れない深さを秘めた物語があった(中略)。
抑え切れない欲望や耐え難い苦痛、幸せな日々や心に抱いてきた夢、揺れ動く気持ち、まなざし、秘密……そうしたものがすべてただの数字になる〉
「私はただの数字になりたくない」というタイトルのアテフ・アブサイフ(ガザ在住の作家)の寄稿は胸を打つ。
〈誰もが不毛な戦いであることを知っている〉のに、なぜ悲劇は続くのか。
「上海福喜食品」の鶏肉汚染問題。
これはもう『週刊文春』(8月7日号)の独擅場(どくせんじょう)だ。昨年、7回も、8回も「中国猛毒食品」を告発した同誌、情報の厚みが違う。
なんと、上海マクドナルド食肉工場従業員が告白。「本誌告発スクープから1年余、中国チキンの恐怖」
〈「上海万博が開催された時には(中略)、ファストフード向けの鶏肉が足りなくなりました。すると、どこからか、ものすごい異臭を放つ二十トンくらいの腐った手羽先の山が工場に運び込まれてきました。その手羽先に業務用スプレーで(細菌殺菌薬の)菌敵の溶液を吹きつけて消毒してから、利用しました」〉
もうマック喰(く)えん。
『文春』も『週刊新潮』(8月7日号)も佐世保の事件を、プライバシーに踏み込んで報じているが、読む気になれない。『文春』グラビア、顔を白くつぶしてまで、逮捕された少女の写真を出す必要があるのか。(『WiLL』編集長)