【歴史戦】「慰安婦」像撤去訴訟
原告側は新たな代理人 抗日連合会に「シリコンバレー」の影
【ロサンゼルス=中村将】
米カリフォルニア州グレンデール市の「慰安婦」像撤去訴訟で、在米日本人ら原告側は新たな代理人チームの選任を固めた。一方、像撤去の訴えを退けるよう求める「意見書」を裁判所に提出し、訴訟に介入してきた中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」は、3日に行われる同州の中間選挙の予備選でも水面下で影響力を誇示しているもようだ。訴訟と選挙。抗日連合会の動きから、おぼろげながらに浮かぶのはIT(情報技術)の聖地「シリコンバレー」というキーワードだ。
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原告側関係者によると、新たな代理人チームは、ロサンゼルス近郊のパサデナ市の法律事務所に所属する弁護士や、ワシントンDCで活動する弁護士らで構成され、近く正式契約を結ぶ。
当初の代理人を派遣していた法律事務所は4月下旬、訴訟から撤退。訴訟を引き受けたことで、「契約解除」を迫る企業が続出し「圧力」がかかったという。関係者によると、そうした企業は「シリコンバレーに多かった」とされる。
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シリコンバレーの一部を選挙区に含む同州の下院第17区はアジア系有権者が半数を占める。中でも中国系が一番多い。抗日連合会は慰安婦問題で日本政府を非難する下院決議を通した民主党のマイク・ホンダ氏(72)を支持してきたが、今回は同じ民主党の知的所有権専門の弁護士、ロー・カンナ氏(37)に乗り換えたとされる。
カンナ氏は職業柄、シリコンバレーの企業とつながりが強いとみられ、実際、アップルやグーグルなどの幹部は個人的に支持を表明した。抗日連合会がカンナ氏を支持するのは、「尖閣諸島は中国、台湾のもの」との認識を彼が示していることに加え、将来性に期待しているからだとされる。