日本に行くならまず西成へ行け(笑) | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



大阪・西成がバックパッカーの聖地に!?〝昭和っぽい〟街並み…。
簡易宿泊所が外国人のお気に入り。

産経ウェスト


あいりん地区にある簡易宿泊所のフロント。宿泊料などの案内を英語で表記して外国人宿泊者の増加に対応している=大阪市西成区


「あいりん地区」をはじめ日雇い労働者で支えられてきた大阪・西成が、次は外国人によって活気が生まれている。以前から料金の安いゲストハウスなどの簡易宿泊所の人気が高まっていたが、最近は“昭和”の雰囲気が残る街並みが好評だという。昨年1年で12万人以上の外国人が利用。主要駅に近く利便性もあり、2020年東京五輪でさらに利用増が見込まれるだけに、経営者らは「日本に行くならまず西成へ行け、となるのも夢ではない」と期待を膨らませている。

あれこれ世話を焼く住民の人情も魅力

 「木造住宅が多く、難波や心斎橋にはない昔の大阪が残っている。住民も気さくで、すごく気に入っている」。昨年秋から西成のゲストハウスを利用しているイギリス人のソニア・パーキンズさん(28)は街の魅力を強調する。

 このゲストハウスを経営する伊東祐美子さん(35)によると、利用者の約9割が外国人。立ち飲み屋やカラオケ居酒屋といった老舗の商店や、「これも食べてみて」と外国人に気後れすることなく世話を焼く住民の人情が好評で、リピーターも多いという。

 国内では過去の暴動などのマイナスイメージもあったが、メキシコ人のデビッド・シュピラーさん(25)は「治安が悪いなんて思わない。メキシコより安全だよ」と笑い飛ばす。伊東さんは「地元住民も好意的に受け入れている。タイのカオサン通りのように日本のバックパッカー(旅行者)の聖地になれる」と話す。

年間宿泊者数…古都・奈良を超えた

 西成に転機が訪れたのは平成17年春、あいりん地区の簡易宿泊所の若手経営者が集まって「大阪国際ゲストハウス地域創出委員会」(OIG)を結成したことだ。日雇い労働者の高齢化で経営は厳しくなり、「外国人なら治安を気にせず、低価格を重視するはず」と経営方針を大転換した。

 1泊1千~3500円の低価格を武器に、主にバックパッカーが利用する全世界向けの宿泊サイトに登録して海外にアピール。21年にはOIG顧問の松村嘉久・阪南大教授(観光地理学)がJR新今宮駅近くに観光案内所を開設し、英語の観光パンフレットの無料配布も始めた。

 伊東さんのようにOIGに加盟していない経営者にも外国人が利用する宿泊サイトの助言をするなどして支援。その結果、OIGに加盟する主要8施設の外国人利用者は、19年が約5万2千人だったのが25年は約12万2千人に急増した。奈良市の24年1年間の外国人宿泊者数は5万6千人で、関西の代表的な観光地を上回った。

大阪・西成にある簡易宿泊所の外国人利用者数の推移。低価格を武器に海外にアピールした結果、増加傾向を示すようになった

ネット環境、洋式トイレなど設備に課題

 あまりの急成長に課題も浮かび上がってきた。

 あいりん地区には約60軒の簡易宿泊所があり、OIGに加盟しているのは17軒。いずれも利用者の急増によって収容能力が限界に達しつつある。東京五輪に向けてさらなる需要が見込まれるが、外国人に必須のインターネット環境や洋式トイレへの改修など初期投資で足踏みする宿泊所が多いという。

大阪市の橋下徹市長は24年、子育て世帯の流入促進や不法投棄対策などを通じて西成の活性化を目指す西成特区構想を提唱。産業・経済ではバックパッカー向けの観光振興も重視し、西成を変えようという動きは行政にも広がっている。

 松村教授は「外国人が増えれば街のイメージが変わり、西成に住みたいという日本人も増える。このチャンスを生かすため、行政にはホテルや旅館などへの支援も進めてほしい」と話している。