正式名称は「零式艦上戦闘機」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 



【教育漢字考 特別編】

「ゼロ戦」はいいけど「零(ゼロ)戦」は×

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140105/wlf14010514000016-n1.htm



昨年8月まで開かれた特別展「日本の航空技術100年展」で展示される旧日本海軍の主力戦闘機「ゼロ戦」=埼玉県所沢市の所沢航空発祥記念館

正式名称は「零式艦上戦闘機」

 常用漢字の「零」の部首は【雨】。本来の意味は「静かに降る雨」のこと。表内音訓は「レイ」しかない-。

 宮崎駿監督の劇場アニメ「風立ちぬ」や百田尚樹氏のベストセラー小説「永遠の0」で一躍脚光を浴びている旧日本海軍の主力艦上戦闘機「ゼロ戦」。

 正式名称は「零式艦上戦闘機」と言い、通称の「零戦」は「れい戦」と読むのが正しい。表内音訓のない読みを用いて「ゼロ戦」とするのは間違い。ただし、当時の隊員らは「ゼロ戦」とも言っており、「ゼロ戦」とカナ交じりで書くことはおかしくはない。

 読者からの問い合わせに答えたり、間違いの指摘を受けたりする「読者サービス室」(東京本社)に、千葉・銚子市の64歳男性から次のようなクレームがあった。

 「○日付総合面『零戦ブーム“長期飛行”』で『零戦』に『ゼロ』とルビが振ってあるのはおかしい。漢字の『零』は『ゼロ』とは読まない。昔からプラモデルが好きで気になるんでね」

 読者サービス室員がなんと答えたかはわからないが、ご指摘通りでまったく弁解の余地はない。

社内のネット掲示板にアップされた「読者サービス室便り」を読みながら、「戦後は遠くなりにけりだな」と思っていたら、BS・CS・ラジオ面(大阪本社)の番組紹介記事にも「元零(ゼロ)戦搭乗員の証言から~迫る」とルビ入りの表記があって、びっくり。

 

良かれと思ったのに

 

 番組表の配信会社から送られてきたもとの原稿は、見出しは「零戦」、本文は「ゼロ戦」とカナで書かれていた。見出しと本文の表記の違いを嫌がった担当者が、本文の表記を見出しに合わせて「零戦」とし、「ゼロ戦」の読みを生かすため、見出しにルビを付けたらしい。

 この番組のホームページを見ると「零戦」の表記だけ。「零戦」にルビはなく、「ゼロ戦」表記もなかった。

 配信会社も担当者も「零戦」を「ゼロ戦」と読むのだ、と丁寧な編集作業をしたために“不適切表記”を生んでしまい、読者にミスリードをしてしまった。他山の石としたい。

ゼロ・ファイター

 なお、「ゼロ戦」は、戦後に米軍が「ゼロ・ファイター」と呼んだことからできたという説があるが、これは前述のように根拠がない。『考証要集』(大森洋平著)は、「ゼロ戦」表記が広まったのは、昭和30年代の戦記漫画ブームからという。