「きゃああ!たたた大変よ!」妻の絶叫で目が覚めた。気がつけば、ごうごうたる爆音が寝室を、いや東京湾 に面したマンション全体を包んでいる。カーテンを開けた窓辺に立ち尽くす妻に駆け寄り、外の光景にわが目を疑った。雲霞の如く上空を覆い尽くすのは軍用機だ。金色の朝日に光る翼には日の丸が輝く。間違いない。日本軍の襲来だ。
「見ろ、零戦だ!」そう云いながら振り向くと、妻も空を舞う海軍航空隊の勇姿を凝視していた。「零戦だけじゃないわ。97式艦上攻撃機もあるわ。あ、あそこで爆撃してるのは99式だわ」いつの間に軍用機を学んだのか知らないが、正確に機種を言い当てつつ、妻が指さすお台場で、フジテレビが黒煙に包まれている。
そうか、昨晩、テレ朝のニュースステーション で古館キャスターが興奮気味に報じていたのはコレだったのか。千葉県房総半島の沖合に集結する軍艦を映し出して、軍国主義の復活とか軍靴の響とかお決まりのフレーズを連発し、最後には何もかも日本の右傾化が悪いと安倍政権を非難していたが、まさか本当に大日本帝国連合 艦隊が現れるとは思わなかった。
「おい、テレビをつけてみろ」この大空襲でフジテレビだけを攻撃対象にするワケがない。実際、大半の航空機が頭上を超えて都心部に向かう。妻が慌ててテレビのスイッチを入れると、NHKの臨時ニュースに「敵機襲来」のテロップが踊る。一体こいつら何処まで反日なのだ。と思ったが、それもその筈、彼らも空爆に晒されていた。NHKビルの屋上で高射砲を操る人民解放軍の兵士たちが、零戦の機銃掃射で薙ぎ倒される場面が幾度も繰り返される。
チャンネルを変えると、テレ朝では、爆撃で建屋の半分ほどが吹き飛んだ朝日新聞本社ビルが大写しになっている。フジでは、爆風でカツラを失ったか、つるっぱげのオズラが煤けた黒い顔で半泣きの表情だ。TBSでは、チマチョゴリを着た女性アナウンサーが甲高い声で朝鮮語を叫ぶ。テロップに「日本軍に対し無慈悲な報復を」とあるから、ここもかなりの攻撃を受けたに違いない。
振り返れば、多くの大手メディアは敵国の思想工作機関と化して久しい。捏造と嘘でひたすら日本を誹謗中傷し、政治を歪め経済を国力を毀損してきた。いつかは反日マスゴミをぶっ叩かねばならないと感じていたが、時空の壁を飛び越えて、幻の連合艦隊が復活するとはなあ。神様はわれわれ日本人を見捨てなかったのだ。
そう思うと、感動で涙がこぼれる。もう一度、窓辺に立ち、東京湾 を金色に染める朝日に向かい、かしわ手を二回打って礼をした。
そして力の限り叫んだ。「大日本帝国万歳」
妻も声を張り上げた。「神国日本万歳」
二人が共に声を揃えた。「天皇陛下万歳」
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目を開けると、ベッドの隣に寝ぼけ眼の妻がいる。お正月から万歳、万歳って目出たい人ね、そういうと、迷惑そうな顔でトイレに立った。
な、何だ、夢か。初夢か。ま、いいさ。もうひと眠りして、夢の続きを見よう。だって連合 艦隊は兎も角、正夢になるかも知れないからな。