【都道府県 伝統の教え】岩手県
東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市では震災で壊滅した高田松原を10月から、小学校4年生の授業に取り入れている。同市では社会科副読本「わたしたちの陸前高田」を作成し、小学校に配布。先人の苦労を知るとともに、子供たちの防災意識を高めていく。
高田松原は江戸時代に植栽され、その後も増林され、約7万本もの松原となった。観光名所として知られ、明治三陸津波や昭和三陸津波などたびたび津波に襲われたが、その度に被害を防いできた。しかし東日本大震災では「奇跡の一本松」といわれた松を除き、壊滅状態となり、一本松も9月に保存処理のため、伐採された。
副読本では7ページにわたり、植栽した先人の苦労や地域の歴史などを詳しく紹介している。
市教委では「高田松原は市のシンボル。これからの子供たちが松原を知らずに大きくなるのは避けたかった」と話す。
さらに現在でも接ぎ木を育てながら、高田松原の再生を願う「高田松原を守る会」の活動も取り上げている。市教委では「過去だけでなく、未来にも目を向け、故郷を愛する心を育てたい」としている。