ノーベル賞
山中夫妻会見。妻・知佳さん娘と「大変なことに」
■山中教授「失敗…泣きたくなったことも」 「家族いなければ続かなかった」
ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった京都大教授の山中伸弥さん(50)は、発表から一夜明けた9日午前、妻で皮膚科医の知佳さん(50)とともに京大で記者会見に臨んだ。前夜から報道各社の取材などで大阪市内の自宅に戻れなかった山中さんが「家族がいなければ研究を続けてこられなかった。改めて感謝している」と話すと、知佳さんは「家族だけでは支えられなかった。皆さまに深くお礼申し上げます」と語った。
「家内は自分の仕事を中断して、留学先の米国まで一緒についてきてくれた。改めて家族に対する感謝が強まっている」
会見の冒頭、山中さんが水を向けると、知佳さんは「たくさんの方に喜んでいただいたことが、本当にうれしい」と涙ぐんだ。
受賞の一報を受けたとき、山中さんが洗濯機を直す傍らで、知佳さんは冬用の布団カバーを掛け替えていたことも明らかにした。
「和やかな秋の夕方を過ごしていると、主人が英語で『サンキュー、サンキュー』と言っていて『大変なことになったのかな』と娘と顔を見合わせた」。しばらく後に「良かったね」と言葉をかけたという。
「何十回トライしても失敗ばかりのこともしょっちゅうだった。やめたくなったり、泣きたくなったりしたこともあった」。山中さんは「家族の支援がなければ、研究は続けられなかった」と断言する。
知佳さんは「少し寝不足気味ですかね」と夫を気遣い、趣味のマラソンに話が及ぶと、強いて挙げる欠点として「疲れているときでもあえて走りに出てしまうこと」とユーモア交じりに指摘。
「皆さんも街で走っているところを見かけたら、ほどほどにするよう声をかけてください」と、夫と同様、ちゃめっ気たっぷりに話した。
山中さんは前夜から未明にかけ、京大iPS細胞研究所の研究員から仮装姿で祝福されたり、米国の研究仲間から感謝を伝えられたりと大忙しだったが、「気持ちを切り替えて、来週からは研究の現場に戻りたい」と語った。