尖閣諸島の国有化が閣議 決定され、政府は地権者との売買契約も結んだ。せっかく東京都が購入する方向で国民が盛り上がっていたのに、余計なことしやがって、と云う気分にはなるが、冷静に考えると国有化自体は歓迎すべき動きだ。
去る3月、わが国の領有権を明確に主張すべく、政府が排他的経済水域 や領海内の無人島や岩礁に命名して国有化を進めたのに、尖閣はその対象から外された。表向きは地権者がいるからと云う説明だが、実は支那への過剰な配慮が理由だった。
ところが、4月に石原知事が尖閣購入宣言した為、政府は放ったらかしに出来なくなった。しかも石原案に国民が賛同し、殆どのメディアが黙殺したにもかかっわらず、短期間で莫大な寄附が集まった。この勢いに乗って都と地権者の交渉が順調に進むのを見て、政府が大慌てして国有化に踏み切ったわけだ。
無人島のまま何もしないと、政府は意味不明な主張をするが、常識的にそんなことは考えられない。国際社会は、日本の領土防衛が一歩前進したと受け止めている。だからこそ支那が猛反発している。
寄附金はいずれ各種施設の建設に役立てて欲しい。一部には返せと云う声があるようだが、それもおかしな話だ。むしろ寄付したわれわれは、尖閣の所有者たる政府に対して、どしどし実効支配を強化するよう要望すべきだ。一般の地権者相手では云いにくいが、政府が血税で購入した国有地だ。尖閣防衛に向け、遠慮せずに注文をつけよう。
さて、残念なのは国有化決定に関して、石原知事を誹謗中傷する連中がいることだ。元々購入する気もないのに米国の手先になって揉め事を起こしたとか、息子の伸晃氏を首相にしたくて画策したとか、あらぬ妄想を口走る保守派の論客までいる。自分の思い描く通りに物事が進まぬからと云って、陰謀論を持ち出して知事を人格攻撃するとは、何ともはしたない。
モノの売り買いはいろいろな思惑が入るし、つまるところ売主・買主相互の条件や判断が折り合って成り立つ。売り主がこうと決めれば、周囲がどうこう云う筋合いじゃない。真偽や愛国心まで持ち出して地権者を非難する向きもあるが、こればかりはご本人しか分らぬ事情があるのだろう。
もっとも、ひとつだけ気になるニュースがあって、埼玉県で栗原秀子さんと云う方が殺害された事件だ。8月27日付産経MSNは「事件直前に『早く来て』と娘に電話、数日前から異変察知か。さいたま・南区の77歳女性殺害」 と報じている。地権者の姻戚関係ならもっと大ニュースになっていた筈で、赤の他人だろう。でも、地権者の栗原さんが何気なく新聞を広げ、こんな記事を読んだら、飛び上がって震えたに違いない。
ついこの間まで是非、都に売りたいと語っていた地権者だ。突然の心変わりには石原知事も得心がいかないと云う。もしや脅されて恐怖を感じていたのでなないか。女性殺害の事件はその後2週間まったく続報がない。ちょっと気になる。
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